竜神山脈 22連目
あの攻撃を避けられていた……?
いや違う、足だけ残して避けたりはしないだろうし、聞こえていた叫び声とは違った落ち着いた声だ。
別なドラゴンだろう。
子分を殺されて怒って来た……?
くそ、槍が遠い。駆け寄ってもそのあいだに殺されそうだ。
会話はできそうだし、なんとか交渉できないだろうか。
「……あー、ええっと、はじめして。俺……いや私は杉槍克也。ええと、すぎやりが家名でかつやが名前です」
「ふむ?バカ丁寧な挨拶じゃな。儂はヨオキ。今代の竜神を務めておる。見るにお前は別世界から来たのであろう?」
早速バレた。
てか竜神て、いきなり神様と遭遇かよ。
いや、でも理知的だ。いきなり喰い殺されるとかは無い……といいなあ。
「はい、その通りです。ヨーキ……様?ええと、眷属の方を私が殺害した事、謝罪いたします。」
「あんなトカゲどうでもよいわ。それと、ヨオキで構わん。堅苦しい呼ばれ方にはうんざりしておる。して、ガチャとはなんじゃ」
トカゲ……まあ、怒ってないならいいか。
それに、呼び捨てでいいとかずいぶんきさくな神様だなあ。
しかし、ガチャの説明か。どう言ったもんかな、魔力を使ってるから……
「そうですね、魔力を使って……ええっと、ランダム?不特定な?物を生成する異能です。前の世界の神様より頂きました」
「ほう、召喚ではなさそうじゃな。錬成に近い力といったところか」
いや、召喚と錬成が何かわかんねーよ。とはツッコめないしなあ。
「召喚や錬成が意味するところを私が理解しておらず申し訳ないのですが、恐らくそう遠くはないかと思います」
「ふむ、今使うことは可能か?」
目がらんらんと輝いてる……興味深々だなこの神様。
ちょうど11連分残ってたしやってみせるか。
そう思い、スマホを起動する。
【竜神山脈ガチャ 1回 消費10 11回 消費100 魔力残量 102 】
気絶してた時間分だろうか、魔力が少し回復している。
「見慣れん発動体じゃなあ。それが媒体となって錬成されるのか」
だから、はつどうたいってのがわかんないっての。まあ合ってるだろ多分。
「そうです、私の魔力を使って錬成?します」
11連ぽちーっと。
画面に竜の頭が出てきてブレスを吐く。
「おお、儂ではないか」
「えっ、ヨーキなのこれ!?」
思わずヨーキのほうを見る。
確かに、同じ顔だわこれ。
「うむ、ようできておるなあ」
竜神山脈ガチャだから竜神の演出なのか……?
【レア!ライトエッジ】
あ、炎演出見逃した!!!
くっそ、虹が出る瞬間に脳汁が出るってーのに、ヨーキめ……
しかもライトエッジってさっきも出てたよなあ。
もういいや、スキップスキップ。
----------------
R/ライトエッジ
R/竜酒
R/フリンツ王国大金貨
R/不酔酒
R/聖なる土
SR/虫よけテント
LR/旅神の羽帽子
R/竜神山脈のおいしい水
UR/たんすの角の加護を受けた聖石
SR/レアリティ上昇チケット
SR/光神貨
----------------
グェェ……やばい。
なんだよURって!!!レアリティまさかの5段階かよぉ!!
トラウマで吐きそう。排出率を表記してくれ、頼むから。
しかもなんだこれ、タンスの角の加護ってなんだよ……
ぜんぜん聖なる感じがしないんだけど。
いや、でもLRはなんかよさそうだ。だれだ旅神。
あ、今回はSSR出てないな。
てか、レアリティの基準がわかんねえ……演出見逃したの地味に痛いぞこれ。
「おお、酒があるではないか、竜酒はわかるが不酔とはなんじゃ?」
やべ、ガチャ結果に気を取られ過ぎて竜神サマの事忘れてた。
「あー……ええっと、これ俺もわからない物が出てくるんですよ、取り合えず別画面で説明されるんで見てみますね。」
---------------------------
不酔酒
酒神の嫌がらせによる加護で酔えない酒。
味は悪くない。
残数5
【すべて取り出す】【1袋取り出す】【戻る】
---------------------------
「酒神の嫌がらせ?なんだこれ」
「あ奴め……。あー、まあ良い。対価は払うのでそれを1本貰っても良いか」
まあ、レア枠のハズレだしなあ。1本と言わず全部持ってってくれて構わないくらいだ。
すべて取り出す、っと。
「俺は酒飲まないんで全部どうぞ」
「そうか、悪いのう。だが、嫌がらせとはいえ神の加護を得た酒じゃぞ。対価に何を望む」
何をと言われましても。
何貰えばいいのかもわからないし……っと、そうだ。
「それなら、私にこの世界のことを教えてもらえませんか。」