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竜神山脈 初日

『グィェエエエェェェ……』


また声がする。距離はあるようだけれど、さっきよりは近くなっている気がする。

今のうちに隠れられる場所を探そう。

できれば山小屋、そうでなくても洞穴とかがあるといいんだが……。

幸い、山の傾斜はきつくはないから歩くのには困らなそうだ。


体が軽いのは転生特典だろうか。

死ぬ前と比べて歩くのが苦にならない。

今の体は健康体みたいだな。


羽根の音は次第に大きくなってくる。


まっすぐこっちに来ている……?

余りゆっくりはしていられなそうだ。


かけ足で道なき道を進んでいると少し開けた場所が見えた。

音はまだ距離がある、隠れる場所を探そう。


木々が途絶えた場所に出ると、そこには小さなクレーターのような地面のへこみがあった。

見ると、斜面の中腹に2メートルほどの横穴が見える。

隠れられそうだ。斜面をゆっくりと下る。


『ギィェエエェェエ……』


音が近いな。やっぱりこっちにまっすぐ来ているのか?


横穴は浅く、地面に足跡もない。

熊の巣とかではなさそうだ。取り合えず中に入る。


羽根の音はやはり近づいてきている。

これは覚悟が必要かもしれない。


穴の入り口から見える隣の山のほうをにらみつつ、槍を構える。


そうしていると、よくわからない感覚がある事に気づいた。

槍と体が一体化したような……?


試しに石突を地面に触れてみると、ひんやりとした土の感触がある。

槍の効果だろうか。

力を籠めれば、穂先から何かを出せそうな気がする。

攻撃手段だとは、なんとなくわかるが詳細な効果はわからない。

……これで怯んで逃げてくれるといいなあ。


そうこうしているうちに、いよいよ羽根の音は真上まで来た。

そのまま通り過ぎることを祈ったが、俺を中心に旋回しているように聞こえる。

俺を探しているんだろうか?


羽根の音が止む。

ズン、と鈍い音が地面を揺らす。


着地した……?

歩いて近づいてくる……!


穴の入り口から巨大な爬虫類の顎が見えた。

でかい……ドラゴンなんだろうか?


爬虫類が頭を下げ、洞窟を覗いてくる。

目が合った瞬間、恐怖から穂先に力を込めた。



轟音が響き、世界が白く染まる。



槍から発した光は俺の視界を奪い、穂先から発する力の反作用で体は吹き飛ばされた。

壁に打ち付けられ、薄れゆく意識の中遠くで何かが崩れる音が聞こえた。



---



頭が痛い……

気を失っていた……?


気が付くと、視界が大きく広がっていた。

槍先から放たれた光が、洞窟を壁ごと削っていたようだ。

少し先に槍が見える。2メートルくらい吹き飛ばされたのか。


その先に爬虫類のものと思われる足が、地面に転がっているのが見える。

他の部分は消し去ってしまったんだろうか。


そういえば、遠くの音はなんだったんだろうと見渡すと、隣の山が半円系に削れていた。


「はは、はははは……なんて威力だよ。」


もはや笑うしかない。

とんだぶっ壊れ武器だったようだ。

安心感からか、全身の力が抜ける。

取り合えず助かったんだろう。


「まったくじゃなあ、儂の魔法でも上位でなければああはならんぞ。小僧、その力どこで得た?」


「ガチャの当たりだよ。これほどとは思わなかったけど」


「ふむ、ガチャとな?なんじゃそれは」


ん……?安堵感から気を抜いたまま答えたけど、誰だ?


そう思い声の位置を見上げると、ドラゴンがこちらを見下ろしていた。

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