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ガチャを餌にぶら下げられると飛びついてしまう生態

狭い和室で鎧武者と相対している。


「あれ……なんだここ」


最近少し調子が悪かったから、病院に行こうとバスにのって……そこから記憶がない。


『此処は百世神社、汝はこれより黄泉路へと下る事となれり』


脳内に直接声が!って奴か。

そうか、俺は死んだのか。

ちょっと眩暈がすることが多かったり、頭痛がひどくて鎮痛剤に頼る日々だったせいかね?

それにしても、家の裏手の神社から死後の旅に出る事になるとは思っていなかった。

ちょいちょいお参りしてたせいだろうか。


『例よりいかにも狂ひしぞと思ひたれど、おのれの死にも然際興のなささうなるにはな』


言葉のチョイスが古すぎる。死んだ割にショックなさそうだね、とかそんな感じか?


「あーいや、そうですね。でも心残りはありますよ?」


あ!それで思い出した!

やってたソシャゲで次に実装される予定だった銀髪眼鏡っ子がドストライクだったのに!

ガチャすら回せずに死ぬのは心残りすぎる……課金させてくれ……!!


一人悶絶していると、武士がため息をつきながら話を続ける。


『さるほどに、汝は狂ひし男なれど、賽銭の借りは返しやらむと思ふ。見るに未練があるんじゃろ』


賽銭の借り……?

そういや、ガチャ更新のメンテ中に願懸けでちょいちょい来てたっけ。

なら新しいガチャまわさせてくれないかなー。


『汝が望まば、別な世にやりやる。汝はガチャとやらに執心のやうなればそれを異能にてつけやらむ』


「望みまうす!!!」


勢いよく返事したら噛んだ。


『ならば話ははやし。あなたにやりやらむ』


まった!!ガチャについて説明を……


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気が付くと俺は上下スウェットの姿で木々の生い茂る山の中にいた。

高所なのか、季節のせいなのかはわからないが少し冷える。


「いや、ガチャはどうなってんだよ。ガチャは。」


……返事はない。

ポケットに重みがあったので見てみれば、スマホは持ってこれたようだ。取りあえず起動してみる。


【竜神山脈ガチャ 1回 消費10 11回 消費100 魔力残量 200 】


起動画面やいつものホーム画面もなく、唐突にガチャだけ出てきた。

説明も排出確率の表示もないのは糞ガチャの香りがするぜえ……

竜神山脈ってのはここの地名だろうか。土地で排出が変わるのかね。


取り合えず11回を回してみようとタップしてみると、画面にリアルな竜の頭が出てきてブレスを吐いた。

青いブレスが金色に変わり、虹色に変化していく。

なるほど、多分これがレアリティ示唆なんだろうな。


【レア!竜神山脈のおいしい水】


なんだこのハズレ臭しかしないレア……取り合えずスキップだスキップ。


----------------

R/竜神山脈のおいしい水

R/ライトエッジ

SR/竜巫女の短刀

R/竜神山脈のおいしい水

R/メリオ帝国大金貨

R/竜酒

SSR/甘味の指輪

SR/竜巫女の杖

R/術法酒

R/おいしい棒

LR/竜神の爪

----------------


うわあ、これはいわゆる闇鍋ガチャって奴だな。

消耗品や装備品がゴッチャになっているせいで、特定のアイテムを狙うと底なし沼のようなガチャ地獄にハマる種類だ。

レアリティが4段階設定されてるとこから見ても、LRの排出率は1%以下とかな気がする。


とはいえ、魔力消費で体調に影響は感じないし、多分ほっておけば回復するだろうから悪い点ばかりではないか。


さて、あとはこのアイテムはどうやったら貰えるんだ?

【ホームに戻る】ボタンがあるのでタップすると、先ほどの画面表示に箱のアイコンが追加されている。

魔力はきっちり100減って100になってるな。すぐには回復しないか。

箱のアイコンを押してみると、今出たガチャアイテムが表示された。適当に見てみる。


「LRが多分一番当たりだよな……?」


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竜神の爪

竜神の爪を穂先に使用した槍

あらゆる物体を貫く

【取り出す】【戻る】

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「書いてることは当たりっぽいな。取り出すっと。」


鈍い色の金属の先に爪が括り付けられた槍が出てきた。

爪というよりは尖った骨に見えて、蛮族感がすごい。

スマホの画面を見ると、アイテムリストから竜神の爪が消えていた。

他にボタンも出ていないし、一度取り出すと元に戻せなそうだな。


うん、まあ持っておくか。

見た目のわりにかなり軽いから、歩く時の杖代わりに使えそうだ。


他にはっと……


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竜神山脈のおいしい水

竜神山脈から湧き出た水。

残数100。

【すべて取り出す】【1袋取り出す】【戻る】

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「水はまあ要るよなあ」


1本取り出すを選択すると、革袋に入った水が出てきた。

動物くさそうと思ったがそんなことはなく、普通においしい水だったので案外これも当たりかもしれない。



『ギィィエエェエエェェェェ……』


ガチャにばかり気を取られていたが、遠くから何かの声と羽ばたく音で我に返る。

でかい鳥とかだろうか……?

この槍で身を守れるレベルだといいんだけど。


隠れられる場所を求めてあたりを見回すが、山と森しか見えない。

人の住んでいるような痕跡が見当たらない。

道らしきものもない。

空には青白い太陽が浮かんでいるだけで、方位すらわからない。


これ、どうすりゃいいんだ……?

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