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毒魔女は殿下の猫のお気に入り  作者: すみ 小桜


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第二十九話

 静かだわ。というか物足りない。あ、そっか、毎日シルーが夕方来ていたものね。

 まさかシルーがレイサード様だったなんて。

 そう言えば、私が毒魔女だと知っていて毎日会いに来てくれたのよね? まあ王族なら恐れなどないかな……。


 トントントン。

 控え目なノック。

 もしかして、レイサード様?

 なぜかドキドキしながら開けると、見知らぬ女性が立っていた。薬師の制服ではないし、顔を合わせた事がないのだから薬師ではない。


 「私は、ミリアーラと申します。レイサードの事でお話宜しいかしら?」

 「え? もしかしてレイサード様のお母様?」


 こくりと頷かれた。母親が乗り込んできたわ。どうしましょう。


 「話はサラッと聞いたわ。私、運命だと思うのよ。あなたのおばあさんと一緒に薬師として、ここで一緒に働いていたのよ」

 「え!? おばあちゃんってここで働いていたのですか?」


 知らなかったわ。


 「あなたがなぜ、毒魔女と呼ばれているか知ってる?」

 「毒々しい紫色のピアスだからですよね?」


 また唐突に聞いて来たわね。

 でも首を横に振って否定された。


 「え? 違うの?」

 「実はね、毒事件があったの。あなたがまだ一歳ぐらいの時、あなたの両親を含め毒で亡くなった。だけどあなただけ、生き残ったのよ」


 そんな話知らないわ。おばあちゃん、何も話してくれなかった。でも生き残ったのは、毒に耐性があるからよ。


 「一人息子とその嫁を亡くし、あなたを引き取ってここを辞めて行ったの。その時に、あなたが生き残っていた事からあなたの魔法は毒なのではないかという噂が流れたのよ」

 「そっか。それで森に……」

 「いいえ。違うわ」

 「え? 違うの?」


 どういう事? 驚いてミリアーラさんを見ると、優しく微笑んだ。


 「当時からあなたのピアスは、紫色をしていたそうよ。でもね、死んだ原因は、毒花だったの。知らずに摘んできた者、つまり犯人がそういう噂を流したのよ。でもすぐにバレて、あなたの疑いは晴れたの」

 「じゃなんで、森になんかに」

 「それで知ったのではないかしらね? あなたが聖女かもしれないと。だから森へと引っ込んだ。だけどもし自分が死んだら困るからと、あなたに薬師としてやっていけるように育てた。本来は資格がいるけど、自分が教え込んだから大丈夫だと、お店の人に言ってあったそうよ。つまりお店の人は、あなただと知っていたの」

 「えー!!」


 一番最初は、おばあちゃんと一緒に行った。もちろんその時から変装していた。知り合いの薬師だと紹介してもらって、体調が悪いおばあちゃんの代わりにそれからは私が薬を卸しに行ったのよね。

 バレバレというか、最初から変装だと知っていたなんて!

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