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毒魔女は殿下の猫のお気に入り  作者: すみ 小桜


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28/30

第二十八話★

 はあ……。


 「珍しいですね。大きなため息など。よほど彼女に断られた事が堪えているようですね」


 俺がため息をつくと、ビスナが言った。

 まさか、リリナージュに断られて初めて自分の気持ちに気づくなんて、マヌケ過ぎてため息が出たのだ。


 確かに会いに行っていた。でもそれは、興味からだと思っていた。ビスナが言う恋心ではないと否定していた。でも心の奥深くでは、すでに彼女を選んでいたのかもしれない。


 聖女と結婚させられると思っていたからだ。王族、特に我々は秘密を持っているので、結婚する相手も選ばなくてはいけない。

 秘密を守り、力を受け継ぐ子孫を残してくれる相手。


 母上は、聖女ではないが魔力が高い者だったらしい。動物好きで、特に凛々しいヒョウなどが好きだったらしく、一発OKという珍しい相手。いや寛容な方だと父上が言っていたか……。


 「ただいま!」

 「お帰りになったようですね」

 「聖女様はお見えになった?」

 「お帰りなさい。母上。まあ、一応」

 「一応? 断られちゃった?」


 う。察したならそっとしておいてほしい。


 「おかえり。ミリアーラ」

 「ただいま。あなた」

 「レイサード様も、あぁなるのでしょうかね?」


 父上は、ぽんとクロヒョウに姿を変えた。それに母上は抱き着いている。母上は、父上のあの姿がお気に入りだそうだ。


 「俺は別に、膝の上で構わないがな……」

 「そうですか。尻に敷かれそうですね」

 「でも、断られた……」

 「一度で諦めるのですか? 王宮内にいるのですから陛下を見習って、シルーで攻めてはいかがですか?」

 「あの姿で逢いに行くのを阻止しようとしていなかったか?」

 「もう今更でしょう。せめて婚約だけでもして頂きましょう。妥協案として、薬師を続けてもよいという事で」


 わかっている。種族の為、聖女と結婚しなくてはいけない事を。だから口説き落とさなくてはいけない。でも俺は、リリナージュが聖女だから手に入れたいと思っているわけではない。

 それより無理強いをして嫌われたくない! というのが本音だ。


 「困りましたね。あんなにお止しても会いに行っていたというのに。恋愛感情と言うモノはめんどくさいですね……」


 ぼそりと呟くビスナの声が突き刺さる。

 自分自身でもそう思う。逆に好きでも何でもなければ、とにかく口説き落としていただろう。

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