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毒魔女は殿下の猫のお気に入り  作者: すみ 小桜


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第二十話

 ビスナさんが、変な事を言うから周りがまた騒ぎ出した。注目の中、一番最初は私達の部屋。それぞれ荷物の中身をジェールエイトさん達に見せる。


 「毒なんてあった?」


 あるわけないと、アルザンヌさんが質問をした。


 「ありませんね」

 「そりゃそうでしょう」

 「でも探しているのはそれではありませんから」


 ビスナさんが、にっこり微笑んでアルザンヌに言う。あの目が笑っていない微笑みだわ。


 「……ところで、あの件はどうなったのかしら?」

 「あの件とは?」

 「ネツレスアさんの容疑よ」


 アルザンヌさんが、傍にいたネツレスアさんを見て、堂々と言った。


 「まだ晴れていませんよ。あなたもね」

 「何それ」

 「おわかりでしょう?」


 とぼけているけど、彼女が犯人なら倒れた彼がまだ低体温症のままだとわかっているはず。つまりビスナさんが自分に、彼が目覚めるかもと聞かせたのだと気がついている。


 「どうしても私を犯人にしたいのね」

 「わかりました。証拠をお見せしましょう。いえ、証拠になるはずです」

 「一体何をする気?」


 って、アルザンヌさんとビスナさんが睨みあう。アルザンヌさんは、猫を被るのをやめたようです。


 「本物の聖女に、偽聖女の毒を除去して頂きます」

 「なんですって!」

 「さあ行きましょう」


 ビスナさんは、医務室に向かって歩き出す。ネツレスアさんも歩き出すと、ふんっとアルザンヌも後をついて行く。私とジェールエイトさんも向かう。

 医務室には、先に寝込んでいるエーネルさんが奥に寝ていて、手前のベットに偽聖女が横たわっていた。


 「で、聖女ってどこよ」

 「あなたの後ろにいますよ」


 ビスナさんが答えると、アルザンヌさんは振り返った。そして私と目が合う。


 「え……」

 「はい。私が聖女です」

 「何をバカな事を言っているの? あなたが出来るのは毒を撒く事でしょう?」

 「証明してみせますわ」


 私は偽聖女に触れた。すると、彼女は目を開ける。


 「な……」


 アルザンヌさんは、凄く驚いていた。


 「な、なんで……おかしいわよ」

 「おかしいとは?」


 そう言いながら私は、アルザンヌさんに振り向く。もちろんわかっていて聞いた。あの毒なら何もせずに、今まで生きていられない。


 「あ、あの人です!」


 偽聖女が、アルザンヌさんを指差した。


 「な、何よ!」

 「彼女が持ちかけてきたんです。上手く行くからって!」

 「ちょっと待って! 偽聖女の話をまともに聞く気?」


 みんながアルザンヌさんを見るので、彼女はそう叫んだ。


 「自分から白状すれば、まだ救いもあるのだがな」


 スッと奥から現れたレイサード様を見て彼女は、顔色を変えた。


 「もちろんレイサード様もお助けしましたよ」

 「い、言っている意味がわからないわ」

 「そうか。では説明してやろう」


 レイサード様がそう言うと、ごくりとアルザンヌさんは唾を飲み込んだのだった。

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