別の世界へ
新しく始めました。たくさんの人が読んでくらたら嬉しいです。
ダンジョン 異界の塔 最深階層
「ついに、手に入れたぞ異界の鍵。これで俺は別の世界に行くことができる!」
俺の名は レイ16歳。そんな俺がやっと手にしたものは異界の鍵、別の世界の扉を開く鍵だ。ただしどんな世界に行けるかはわからない。
何故そんな鍵が欲しかったか?それは………
俺にはじいちゃんが居た。じいちゃんは俺にとってヒーローだった。五年前に年で亡くなったけど。そんなじいちゃんの夢が別の世界に行くことだった。特に理由はなかったらしい。けど、その夢がいつしか俺の夢になっていた。
別の世界に行って何をするかとかは決めていない。ただ、その時々で悔いのない判断をしていこうと思う。「悔いのない判断をしろ。」じいちゃんの口癖だったし。まぁそんな感じで別の世界に俺は行く。
俺は鍵を天に掲げて唱えた。
「開け。異界の扉よ。我が道を指し示せ。」
すると、鍵が光り出し目の前が真っ白になった。
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その後、光が収まり異界の鍵は粉々に砕けた。目の前は草木しかない。どうやら俺は森にいるようだ。
俺は別世界に来れたのか?そんなことを思いながら周囲を探索していると、
「うわぁぁ!だ、誰か助けてぇぇぇ!」
助けを求める声が聞こえたので、俺は声が聞こえた方に向かった。そこには、ゴブリン六体に一人の十歳くらいの少年がいた。少年は尻餅をつき、涙を流しながらゴブリンから後退している。
ギギッ
ゴブリンはニヤッと笑って、少年に一斉に襲いかかろうとした瞬間、俺は六発の火弾をゴブリンに向けて放った。人の顔くらいの大きさの火弾が六体のゴブリンを襲い、跡形もなく消し炭になった。
「大丈夫か少年?立てるか?」
「え?え?」
俺がそう言って手を伸ばすが、少年は何が起きたのかわからないといった表情で唖然としている。すると、目の前の林から人影が見えた。
「ウィル!怪我はない?」
「あ、姉上!」
どうやら出てきたのは少年のお姉さんらしい。ウィルはお姉さんに抱きしめられている。俺と同い年くらいじゃないか?そう思っていると、
「あなた!ウィルに何かしたんですか?」
「え!?」
ウィルのお姉さんがキッとこちらを睨んでいる。何か勘違いしてるらしい。
「ち、違うよ姉上。この人は助けてくれたんだ。」
「そ、そうなの!? す、すみません。勘違いしてしまったみたいで。」
「別に気にしてないから大丈夫だよ。」
ウィルのお姉さんは顔を少し赤くして恥ずかしそうに謝った。俺はドキッとした。
「あの、自己紹介がまだでしたよね。私はブロンズ王国の王女リサと言います。」
「僕はブロンズ王国の王子ウィルです。さっきは助けていただきありがとうございます。」
二人は深々と頭を下げた。
「俺はレイ。よろしく。」
俺は二人と握手を交わした後、二人に質問した。
「なんで、一国の王子と、王女がこんなところにいるの?」
聞いた途端二人の表情が暗くなるのがわかった。そして意を決してリサが話し始めた。
「実は私達の父であるブロンズ王国国王がシルバー王国に拉致されてるんです。」
「え!?国王が拉致!?」
「…はい。ブロンズ王国と、シルバー王国は友好関係にありました。でも、一年前シルバー王国の国王が何者かに変わってその関係も崩れたんです。そして一週間前の夜、王宮に一人の侵入者が入ってきて、その際に父を攫って行きました。次の日の朝にシルバー王国から手紙で
『国王を返して欲しければ王女を差し出せ。わしの妾にする。十日間待ってやる。それでも答えを聞けない時は国王を殺す。』
と書かれていました。」
「じゃあ、今はシルバー王国に向かってる途中ってことか?」
「いいえ。私達Aランク以上の冒険者を探しにきてたんです。ギルドに寄ったら依頼でこの辺りにいるという情報を得たので。」
「なんで?冒険者なんか探してるんだ?」
「王宮に侵入した者の名はAランク賞金首ガイドです。その者を倒すことが出来れば父を返してくれるはずです。シルバー王国は弱肉強食の国ですから。」
「じゃあ決闘を申し込むってことか。」
「そうです。けど、もう日にちもありません。今日見つからなかったら私が妾になるしか………」
「ダメだよ姉上!シルバー国王はどんな奴かもわからないんだよ!そんな奴の妾になるなんて絶対ダメだよ!」
ウィルが必死にリサの考えを止めようとしている。だが、リサは首を振る。
「ウィル。私もわかってる。けどそれしか方法が……」
ウィルが悲しそう表情で下を向く。けど、すぐに何か思いついたのか顔をバッと上げて俺に言った。
「そうだ!レイさんなら倒せるんじゃないですか?ゴブリン六体をあっという間に倒したし。」
ウィルが期待の表情を俺に向けている。しかし、
「無理よ。Aランク認定者は数少ない実力者よ。オーガ一体を単独で倒せる実力なんだから。」
リサの言葉を聞きウィルがまた悲しそうな表情になるが俺は驚いていた。
「……オ、オーガを単独!? 実力者!?……何言ってるの……?」
「驚くのも無理ないですよ。それくらい強いんです。それとSランク認定者は単独で複数のオーガを倒せる実力を持っています。Aランクより更に数少ないですけど。」
え?本気で言ってるのか……?いや…そうか………!
「アハハハ!そういうことか!リサもウィルも優しいな。暗い話になったから冗談言って俺を笑わそうとしたんだろ?」
リサとウィルはポカーン口を開けている。
「まぁ、暗い話にはなったが俺はそんなの気にしない。にしてもさっきの冗談は酷いぞ!オーガを単独で倒せるほど強い実力者って……プフッ。そんなのそこら中にいるだろ!オーガなんか何体いようが倒せるだろ!」
俺はあまりにも冗談が酷かったのでしばらく笑っていた。すると、さっきまで唖然としていたリサが驚いた表情になって
「レ、レイさんは本気で言ってるんですか……? 私は冗談なんか言ってませんよ?」
ウィルがコクコク頷いていた。
「え!?冗談じゃないの?オーガくらい何体いようが倒せるだろ?」
リサとウィルは顔を見合わせた後俺に向かって言った。
「そ、そんな人いませんよ!!」
「レイさん、オーガってこれだよ?」
ウィルは魔物のことが書かれている本を出し俺に見せた。どうやら俺が何か違う魔物と勘違いしているんじゃないかと思ったらしい。どう見ても俺の知っているオーガだ。
「そんなに信じられないなら実際に見た方が早いだろ?オーガがいるところはわかるか?」
リサとウィルはキョトンとしていたが、立ち上がって案内してくれた。
「あ、あの本当にオーガがいるところに案内しますけど……」
リサが心配そうに言った。
「ああ。大丈夫。案内し終わったら避難してていいから。」
「は、はい……わかりました。」
しばらく歩いているとリサとウィルが立ち止まって、リサが奥の方を指差している。
「この先がオーガの住処です。あの、危なくなったら逃げてくださいね。」
「そうだよ。レイさん。姉上の前で格好つけるのはわかるけどあの先は何十体ものオーガが『大丈夫だって。そんな心配しなくてもすぐに戻ってくる。』
俺はそう言ってウィルの頭を撫でてやる。それからオーガの住処に向かって歩き出した。
グゴォォ
オーガの声だ。三十体近くいるが、オーガはオーガだ。俺の世界の魔物に比べてこっちの世界の魔物は強いのかとも思ったが、ゴブリンの強さは変わってなかったから、多分魔物の強さは同じだろう。
「よし、やるか!」
レイはオーガの群れに真っ直ぐ突っ込む。背中に背負ってる剣を抜き勢い止めぬまま剣に魔力を纏わせ一気に薙ぎ払う。半分以上のオーガが倒され、残りのオーガも一体また一体と一撃で倒されていく。ものの数秒でオーガの群れが全滅した。
「うん。準備運動にもならなかったな。やっぱ魔物の強さは変わらないな。」
レイは戻ってリサとウィルにオーガを倒したことを報告しようとするが、二人の様子がおかしい。
「ほ、ほほほ本当に倒すなんて……」
「し、ししし信じられないよ!ぼぼぼ僕、夢でも見てるのかな……?」
どうやら隠れて見ていたらしい。この反応を見るに信じ難いがさっきまで言ってたことは冗談なんかじゃなかったことを証明している。となると、この世界の人間は恐ろしく弱いだろう。
「俺の実力を証明したところでブロンズ国王を取り戻しに行くか!」
俺がそう言うと、二人は目を輝かせて
「「はい!」」
俺たちは早速シルバー王国に向かった。
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