表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/20

第7話 かしこさ:2

 

 肝心の能力測定は私がぼーっとしている間にてきぱきと検査員の人が終わらせてくれた。



「ユノさんはあのルーンベルグ家の一人娘ですものね、心配せずとも素晴らしい数値が得られるでしょう」


私の間抜けな表情を何か勘違いしてるらしい検査員のおばちゃんが微笑む。

すいません、別に数値の結果が気になっているわけではなくどうやって魔王の住むところに行こうか考えてたんです。

それにえっと、あのルーンベルグ家と言われてもピンと来ないのですが……。

さっきの生徒たちの反応を見るに、有名なのだろうか?


「はははー、そうですかー」


当たり障りなく笑って見せると、突然目の前にホログラムのようなものが浮き出てきた。


「さあ結果が出ましたよ、えっと……え? 」


おー、凄いこれが魔法の世界なのか。どれどれと結果を見てみる私。



名前:ユノ=ルーンベルグ


年齢:17


性別:女


職業:聖女候補


Lv:測定不能


体力:測定不能


魔力:測定不能


かしこさ:2



あれれ……ほとんどの項目が測定不能なんですけど。それにかしこさ2って……あまり良くない結果なのは私にも分かる。


「えーっと、このかしこさが2というのは」


「五歳児の平均が大体50ですね」


つまり、私めっちゃ馬鹿ってこと?


まぁ確かに高校生だった頃は赤点ばっかり進級ギリギリではあったが……。


すると、隣の測定ブースから歓声があがった。


思わずそちらに視線を移すと、腰の辺りまである金色の髪をさらさらとなびかせ、人形のように整った顔立ちの少女が唖然とした表情で検査を受けていた。


「魔力、かしこさ共に999!? まさかこんな人間がいるなんて……」


彼女の検査をしていたらしき男がでかい声で叫ぶ。個人情報ぐらい黙っとけと思うのは私だけだろうか。


「999……!? 嘘だろ、いったい誰が……」


「マリーという女らしいぞ、ほらあの平民の」


 モブたちがざわざわと話をしている。


マリー……。


ああ、聞いたことあると思ったら乙女ゲームの主人公でこの世界の主役の女の子か。流石は主人公補正、ステータスもぶっ飛んでる。


で、本当はこの子をいじめるのが私の役割なんだろうけど……。


めんどくさい。


なんで私がそんな生産性のないことをしなきゃいけないのか……。人をいじめる暇があるなら素振りの100回でもした方が良い。


マリーは視線を集めていることに気づいてか、顔を真っ赤にして目線を泳がせた。


うん、注目を集めるのは主人公として仕方ないことだよね、大変そうだけど頑張って!


「で、私のクラスは……」


「もちろんDです」


デスヨネー。こうして私の聖女への道は無事に閉ざされたのである! めでたしめでたし。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ