登場兵器紹介 歩兵の兵器編1
神楽「というわけで、今回は登場兵器紹介、歩兵の兵器編よ!」
深海「ところで彼女がなぜここに?」
荻原「はじめまして。荻原里美です…」
神楽「いやねぇ。やっぱり前回の騒動もあるし、疑問を提示をする役の人が居た方がいいと思ってね」
深海「なるほど。つまりド素人を配置することで、軍事に詳しくない読者目線で進めていこうというわけだね」
荻原「よろしくおねがいします」
深海「しかし最初に歩兵の兵器か。こういう場合は戦車からいくもんじゃないの?」
神楽「チッチッチッ。なにを言っているの?戦場を占領する能力を持つのは歩兵だけ。歩兵こそが陸戦の主体であり、全ての中心なの。戦車も大砲も戦闘機も爆撃機も軍艦も全て1人でも多くの歩兵を1メートルでも前進させるためにあるの。そこらへんのところをキッチリと理解していないと困るよ?」
深海・荻原「ハイ!」
―拳銃―
現在、軍隊において拳銃は補助火器として扱われ、将校や砲兵、戦車兵、飛行兵など小銃を携行しない兵種の下士官兵の自衛火器として用いられる。帝國陸海空軍の正式採用拳銃は中央工業により開発・生産されている国産の四〇式拳銃である。
しかしながら、世界第二位の経済大国に成長したにも関わらず貧乏くさいことに未だに将校の拳銃は私費調達ということになっている。将校は各人がそれぞれ自分の好みで銃を選び購入している有様で、それ故に陸海空軍ともに欧米各国の様々な拳銃が氾濫している状況である。
ただ国費で調達され支給される弾薬は9ミリパラペラム弾のみなので、それを使用する拳銃を購入する場合がほとんどである。
四〇式拳銃
全長:約200mm
重量:約1kg
帝國軍の正式採用拳銃。日本人の体格に合わせて設計が成されているので銃把も握りやすく外国製のものに比べると扱いやすいと言われている。しかしながら軍採用型は弾倉はシングルカラムのみで、しかもシングルアクション仕様というのが嫌われて、わざわざ外国製の拳銃を購入する将兵も多い。
弾薬は9ミリパラベラム弾を使用し、弾倉には8発装填できる。
なお民間販売型にはダブルカラム仕様やダブルアクション仕様も用意されていて、それを購入する者も多い。
神楽「というわけで、最初は拳銃よ。まぁ補助兵器だけどね」
深海「未だに自費調達なんだ(汗」
神楽「うん。私は国産の32口径(注1)小型オートマチックを使ってる。兄貴はスイス製のP228。うちの相棒(小野寺くんの事)は四〇式使ってるかな?時々、マグナム弾使う大型リボルバーとか購入してるバカもいる」
深海「カオスだ…」
荻原「あの…?」
神楽「はいなんでしょう?」
荻原「シングルなんとか、とか、ダブルなんとか、とかよく分からないんですけど…」
深海「よし。これでこそ君を呼んだ甲斐があったってもんだ。早速、解説しよう」
神楽「では、ここに兄貴のP228と相棒の四〇式がある。前者はダブルカラム、ダブルアクション、後者はシングルカラム、シングルアクション。では早速、撃ってみよう」
突如として3人の目の前に現われた…
深海「なに!なんで!」
いちいち、驚くなよ。とにかく目の前に現われたテープルの上に2丁の拳銃が置かれている。弾倉は外された状態で、弾も込められていない。
神楽は2つの弾倉を手にとった。
神楽「見て。こっちのP228の弾倉は四〇式の弾倉より太いことが分かるでしょう?」
荻原「はい」
神楽は四〇式の弾倉をテーブルに置くと、どこからともなく現われた弾薬を…
深海「またかよ!」
…弾薬を弾倉に込め始めた。
神楽「ダブルカラムの弾倉の場合、互い違いに弾丸を装填して、前から見た場合に二列に並んで装填されることになる」
5発、弾を込めると弾倉をP228のグリップに差し込んだ。そしてそれテーブルに置くと今度は四〇式の弾倉を手にして込め始めた。
神楽「逆にシングルカラムの四〇式は縦に一列に装填する。この違いの意味、分かる?」
荻原「同じ長さの弾倉ならダブルカラムの方が倍、弾を込められます!」
神楽「その通り!これがダブルカラムとシングルカラムの違いね。確かに弾数が多い方が有利ってのもあるけど、でもダブルカラムだと必然的に太くなるから、細いシングルカラムの方が持ちやすい。特に手の小さい人にはね」
深海「だから自衛隊の9ミリ拳銃(注2)もシングルカラム形式だ。日本人にはそちらの方が握りやすい」
神楽「では、早速撃ってみようか」
例によってどこからともなく射撃の的が現われて…
深海「…」
どこからともなく…
深海「…」
どこからとも…
深海「もうつっこまねぇよ!」
チッ。とにかく、どこからともなく射撃の的が現われた。
神楽「自動拳銃と撃つときは銃上部の遊底を引く。こうすることによって弾倉から弾が1発、銃の薬室に装填されるとともに撃鉄が起きる。銃というのは、この撃鉄が銃弾のケツの雷管を叩く事で火薬に点火して、その爆発で弾を飛ばすんだ」
神楽は四〇式のスライドを手前に引いた。
神楽「これでこの銃は何時でも撃てる状態ってことになる。この状態をコッキングと言う。では早速」
神楽は銃口を的に向けて、引き金を引いた。銃弾は見事に的に命中した。
深海「お見事!」
神楽「銃を撃つと、その反動でスライドが自動的に引かれ、薬室から薬莢を排出するとともに弾倉から新たな銃弾を装填し、撃鉄をまた起こす。これで連続して射撃ができる」
再び引き金を引き、また的に命中。
神楽「さて、とりあえず射撃を終えよう。今も撃鉄が起きたままのコッキング状態だ。これでは危険なので撃鉄を戻さないといけない。この作業は昔は暴発の危険がある作業だったけど、今はデコッキングレバーによって安全に撃鉄を降ろすことができる。これで安全装置を掛ければ、この銃は安全だ」
撃鉄を降ろし、安全装置をかけた銃を神楽は深海と荻原に見せた。
神楽「では、射撃を再開しよう。まず安全装置を外す。さて、ここから注目。こいつはシングルアクション仕様だから、このままで撃鉄が降りてるから引き金を引いても撃てやしない。なので」
神楽は撃鉄に指をかけて、そのまま起こした。
神楽「こうして自分の手で起こさなくてはならない」
引き金を引いて1発撃つ。さらに連続して撃って弾倉の弾を撃ちおえると、弾倉を外して銃をテーブルの上に置いた。
神楽「これがシングルアクション。さて、今度はダブルアクションのP228だよ」
テーブルから今度はP228を手にとる。遊底を引き弾を装填すると、デコッキングレーバで起きた撃鉄を元に戻した。
神楽「さて。シングルアクション式の銃の場合、自分で撃鉄を起こさないと射撃はできない。ではダブルアクションだと」
神楽が引き金を引くと、それに連動して撃鉄が自動的に起き、最後には銃弾の信管を叩き、9ミリ弾を放った。これも見事に命中。
神楽「このようにダブルアクションでは引き金を引きだけでいいわけよ」
荻原「なるほど。で、なんでシングルアクションの銃を採用しているんですか?聞いているとダブルアクションの方がよさそうですけど」
神楽「まぁ撃鉄起こす機構の分、引き金が重くなるから、シングルアクションの方が撃ちやすい、当てやすいってのはある」
深海「まぁ、自衛隊の9ミリ拳銃みたいなダブル・シングル両方使えるようにすれば済む話だけどね。だから実際的な理由はお役所仕事だからかな」
荻原「というと?」
神楽・深海「「だってお役所的には薬室に銃弾込めたままの拳銃を持ち歩くなんてありえなーい、からさ」」
荻原「・・・」
―小銃―
小銃は陸軍歩兵の主力兵器である。ライフルとも。歩兵1人に1丁程度の割合で配備がなされ、主に近距離における対人戦闘に利用される。
かつては手動で一発ずつ装填するボルトアクション式が主力であったが、第二次世界大戦以後には連射が可能な自動小銃が台頭し、現在では特に反動が小さく連射性能に優れる小口径弾を使用する軽量な型が各国で使用されている。そのような自動小銃は突撃銃とも呼ばれている。
大日本帝國陸軍及び海軍陸戦隊では国産の小銃を利用している。1988年に正式採用された国産の突撃銃四八式の配備が行なわれているが、旧式の二〇式も多く用いられている。
四式小銃
全長:約1100mm
重量:4kg
かつてより自動小銃に大きな関心を寄せていた陸軍が昭和19年にはじめて制式採用した半自動小銃である。
本銃は99式7.7ミリ実包を使用する半自動小銃で、箱型弾倉に10発装填することができた。日本陸海軍に配備され、大陸方面で使われた他、韓国やタイなどに輸出された。
後継の二〇式の採用によって主力小銃としては現役の前線部隊から引退したが、後方部隊や予備役・民兵部隊には主力として装備され、現代でも保管され続けている。また一部は民間や警察に払い下げられ、警察ではMP5が配備されるまで警官突撃隊の主力火器であった。
軍の現役部隊では、憲兵隊の儀杖隊のみが使用している。
神楽「帝國版M1ガーランドってところかな?」
深海「史実の四式はいまいち実情がわからない銃だけど、こちらの方はいい感じみたいね」
神楽「そりゃ、ガーランドの真似事は違うからね。有坂弾に最適化された銃なんだから」
荻原「で、民兵とか警官突撃隊とか…」
神楽「まず民兵とはね、各都道府県知事および庁長官の下に編制されている郷土防衛隊を指します。帝國では陸海空軍に加えて郷土防衛隊、国家憲兵、海上公安局とあわせて帝國六軍と呼んだり。詳しくは後に」
深海「で、警官突撃隊は?」
神楽「こっちは史実でも存在した警察の特殊部隊で、今のSATに相当するの。まぁ2.26の時には叛乱軍にまっさきに制圧されちゃったけどさ」
二〇式小銃
全長:約1000mm
重量:4kg
日本軍は四式小銃を配備していたが、1950年代にソ連が中共軍にSKSカービンやAK-47を供与すると歩兵同士の近接戦闘で圧倒されるようになった。陸軍は鹵獲したSKSやAKの徹底的に研究し、使用弾薬である7.62mm×39弾に着目した。帝國陸軍は一六式普通実包という名称で7.7mm×38弾(通称、アリサカショート)を開発し、それを使用する国産SKSとも言える十六式小銃を完成させた。試験で良好な成績を記録したが、一部がシナ戦線に持ち込まれただけで正式採用はされなかった。だが研究は続行され、フルオートとセミオートの切り替え機能を付与してクリップ式弾倉を20発装填可能な箱型弾倉に改め、折畳式銃剣を廃止して日本軍標準の三十年式銃剣を装着できるようにし、さらにクロムメッキを施すことで銃身寿命を向上させた改良型が二〇式小銃として正式採用され、四式の後継として各部隊に配備された。
二〇式は7.7ミリ有坂弾に比べると装薬量が少なく射程が短くなったが、従来型の九九式や四式に比べると射撃時の反動が低下している為、現場の部隊では歓迎された。60年代後半以降の生産型には軽機関銃的な運用を想定して二脚の使用が可能になっている。
日本を代表する小銃として長年親しまれたが、後継の四九式小銃が採用され第一線部隊から姿を消しつつある。
深海「日本版SKSか。でもいいのかな?7.62ミリNATO弾を思いっきり否定して」
神楽「ええやん。フランスだって自前の7.5ミリ弾使ったんだし」
深海「アメリカとマジ喧嘩したイギリスさんはなにを思うかね」
荻原「あの?なんの話をしてるんですか?」
神楽「その昔ね。アメリカとその同盟国は同じ銃弾を使おうという話があったわけよ。そうすればいろいろと融通が利いて便利だからってね」
深海「詳しい経緯を話す前に銃弾の大きさの表し方を教えておこう。例えば、上の二〇式の場合は一六式普通実包(7.7mm×38)となるのだけど、この7.7mm×38ってのは、弾の直径が7.7ミリで薬莢の長さが38ミリってことを意味するんだ。直径が太ければ太いほど威力が増すし、薬莢が長ければ長いほど火薬の量が多くなってやはり威力が増す。ただし火薬の量が多すぎると反動が強くなって撃ちにくくなるけどね」
神楽「で、アメ公は“やっぱ銃弾は威力があってなんぼだぜ!”って思って30口径(7.62mm×51)弾を開発したんだ。一方、イギリスは“自動銃の時代は反動をなんとかしなきゃな”と考えて、威力は控えめだけど反動の小さい280口径(7.1mm×43)弾を開発したんだ。で、どっちをNATO標準にするかで揉めたんだけど、結局アメリカが30口径弾の採用を強行して、NATO標準弾になった。それで50年代以降に西側で開発された小銃は大抵、7.62ミリNATO弾を使っている」
深海「自衛隊の64式小銃もそうだね」
荻原「へぇ」
深海「で、この話にはオチがあってね。その後、ベトナム戦争が起きたんだけど、その戦訓から“やっぱ時代は小口径弾だよな!”と考えたアメリカ軍は、威力は控えめだけど反動の小さくて使い勝手のいい5.56mm×45弾にとっとと移行。それでイギリス激怒(笑)」
荻原「あらー(苦笑)」
三二式騎兵銃
全長:750mm
重量:3kg
大戦中に導入した各種の機関短銃の後継を探していた陸軍はアメリカがベトナム戦争中に導入したM16突撃銃の短銃身モデルであるCAR-15カービンに着目し、二〇式小銃の短銃身モデルの開発を決意した。
銃身を切り詰めるとともに、伝統的な曲銃床を折畳式の直銃床と銃杷に改めてフルオート時の精度を向上させている。またフォアグリップを装着することもできる。弾層は従来と同じ20発装填型に加えて30発装填型が用意されている。
1972年に正式採用された本騎兵銃は主に空挺部隊や機械化部隊に配備されたが、四九式小銃によて更新されている。しかし5.56ミリNATO弾よりも威力が優れている7.7ミリ弾を使うことから、今でも特殊部隊などでは広く使用されている。また5.56ミリを上回る高威力に加えてカラシニコフ小銃よりも命中精度が高いのでPMCなどにも愛用する者が多い。その為、海外でも弾薬が入手しやすいようにカラシニコフ規格の7.62ミリ×39弾を使う仕様も生産されている。
深海「なんだこれ?こんなもんが何時の間にか追加されているぞ?」
神楽「唐突に思いついたらしい」
四八式小銃
全長:約900mm
重量:約3.5kg
二〇式小銃の後継として開発された自動小銃。
仕様弾薬は新たにNATO軍の標準的弾薬となった5.56ミリ×45弾を国産化した四八式普通実包で、30発装填可能な箱型弾倉を用いる。
射撃時の反動は同クラスの他国の小銃に比べても低く抑えられている。また従来の単射、連射に加え3点制限点射モードも加わっていて、その機構は独立したユニットになっており、簡単に取り外して整備が可能であり、また外したままで単射および連射だけの小銃としてそのまま使用することもできる。
二〇式小銃に代わって歩兵部隊を中心に配備が進められているが、完全に更新するに至っていない。
派生型として折り畳み銃床型の四九式小銃と銃身を延長して照準眼鏡を取り付けた五〇式狙撃銃がある。
深海「まんま自衛隊の89式小銃だね」
神楽「うん。そうだね。取り外し可能な独立した3点バーストユニットは89式の優れた部分だからね」
深海「今度はさすがにNATO標準弾を採用すか」
荻原「ところで3点バーストって何ですか?」
神楽「それはね。それまでは自動小銃ってのは、引き金を引くごとに1発ずつ銃弾を発射する単射と、引き金を引いている間は弾が供給される限り何発でも撃ちつづける連射のどちらかを選択して使う場合がほとんどだったわけよ。やっぱり威力があるのはフルオートなんだけど、どうしても弾を無駄遣いしてしまう傾向がある」
深海「そこで、一定数の弾を撃つと銃撃が止まるようにしたのがバーストモードさ。3点バーストでは、3発撃つと引き金を引いても弾が出なくなる」
荻原「なるほど」
―機関銃―
機関銃は銃弾を連射する強力な自動火器である。突撃銃も銃弾を連射する機構を備えているが、持続射撃能力や安定性が機関銃とは段違いである。機関銃は他の火器に比べるとベルト給弾方式を利用するなど長時間連続して射撃できるような造りになっていて、しかもその反動に耐えられるように小銃に比べると頑丈に造られていて重いのが一般的である。また安定した射撃ができるように三脚や二脚を利用する事も多い。
日露戦争の頃から野戦部隊で一般的に利用されるようになった。主な役割は弾幕を張って敵が動けないように釘付けにして、味方小銃兵の攻撃を支援することである。第一次大戦では各分隊に1丁以上の機関銃を配属する戦闘群が編み出された。友軍部隊の支援を受けなくても分隊が独立して敵に攻撃を行なえるようになり作戦の柔軟性が大きく向上した。この戦法・編制は現在の帝國陸軍にも受け継がれている。
二〇式軽機関銃
全長:約1200mm
重量:約10kg
16式普通実包を使う二〇式小銃の採用にあわせて弾薬を共有できるように九九式軽機関銃を改良して16式普通実包を使えるようにしたもの。
給弾は弾倉式でベルト給弾式に比べると持続射撃能力に劣るという欠点があるが、原型である九六式及び九九式の高精度を受けついでおり、命中精度と機械的信頼性の高さから陸軍兵士に高い評価を受けている。また何故か銃剣装着機構も廃止されることなく継承されている。
陸軍は分隊支援火器として各分隊に一丁の割合で配備してきたが、新型のミニミ機関銃に更新され、退役しつつある。
神楽「というわけで機関銃だよ」
深海「九九式改かぁ」
神楽「まぁイギリスだってブレン機関銃を湾岸の頃まで使ってたんだし」
深海「劇中はもう世紀末だぞ!」
普式軽機関銃ミニミ
全長:約1040mm
重量:約7kg
ベルギーで開発された分隊支援火器である。日本陸軍及び海軍陸戦隊が二二式軽機関銃の後継として採用、ライセンス生産をして、各分隊に1丁の割合で配備が行なわれている。
弾薬には四八式小銃と同じ四八式普通実包を用いていて、ベルト給弾の他に小銃用弾倉もそのまま使用できる。
日本軍版では三脚や照準眼鏡を装着できるように改良が施されている。
深海「こちらも、そのままミニミ機関銃ですか」
神楽「後述のように四八式の軽機関銃バージョンと競争試作をして勝ったの」
二二式機関銃
全長:1200mm
重量:12kg
陸軍が始めて開発した汎用機関銃。三脚を装着することで重機関銃、二脚を装着することで軽機関銃として運用が可能である。世界の機関銃の趨勢に併せてベルト給弾式を採用し、それまでの機関銃に比べると持続射撃能力が向上している。
二〇式機関銃の短射程、低威力を補う目的で九九式普通実包(7.7mm×58)を使い、各歩兵小隊に1丁の割合で配備され、小隊全体の支援を行なう。また戦車やヘリコプターの搭載機関銃としても利用されている。
二〇式機関銃の方はミニミ機関銃と交代しつつあるが、こちらの方は現在も生産が続けられ、引き続き配備される予定である。
また二二式機関銃を基に二八式車載重機関銃が開発された。
深海「これは現実の自衛隊には無いカテゴリーのものだね」
神楽「位置付けとしては旧ソ連のPK汎用機関銃(注4)に近いよ」
深海「それにしても採用年は1962年…まさか!」
神楽「大丈夫。こっちは信頼性の高い良い機関銃だよ。どっかの欠陥機関銃(注4)とは違って“言う事を機関銃”とか“無い方がマシンガン”とかは言われない」
深海「ならいいけど」
荻原「????」
12.7粍重機関砲
全長:約1600mm
重量:約40kg
M2重機関銃をライセンス生産したもの。強力な12.7ミリ弾を使い、その威力と射程から対空・対地の各種目標に対して活躍した。
日本はそれまで航空機銃としてM2のコピー型を使用していたが、第二次世界大戦時におけるアメリカ陸軍での活躍に注目して陸戦火器としても導入を開始し、今では各種車輌の搭載火器として用いられている他、各歩兵中隊本部に対空火器として配属されている。
神楽「というわけで史上最高の機関銃キャリバー50ことM2重機関銃よ!」
荻原「80年前のものが現役なんですか?」
深海「優れた兵器は何十年も使われるものさ」
―狙撃銃―
狙撃銃とは、その名の通り狙撃に使用する銃の総称である。狙撃は遠距離から精密射撃で敵を倒す戦法であり、やり方によっては少数で多数の敵の進軍を阻止することも可能である。
九九式狙撃銃
全長:約1100mm
重量:約3.5kg
第二次世界大戦中に主力として使われた九九式小銃を狙撃銃に転用したものである。九九式小銃は大戦末期に濫造されたものを除けば、“キング・オブ・ボルトアクション”と称されるほどの精度の高いライフルで、狙撃銃としても十分な能力を備えている。
四式自動小銃や二〇式小銃の配備が行なわれ主力小銃として九九式小銃が引退してからも遠距離から精密射撃が可能な狙撃銃としては使われつづけ、現在でも配備・調達が継続されている。銃床を合成樹脂製のものに変更されているなど細部に改良が加えられているが、基本構造は60年前から変わっていない。
また軍向けの狙撃銃として以外にも、猟銃やスポーツライフルとして市販、さらに海外への輸出も行なわれている。
神楽「というわけで狙撃銃よ」
深海「君の恋人も狙撃手だったよね」
荻原「まぁ(顔を赤らめて)」
二〇式狙撃銃
全長:約1100mm
重量:約4kg
四式小銃を狙撃銃として改修したもので、四式の中から精度が高いものを選んで2脚とスコープが追加された仕様である。名称は狙撃銃であるが、実態としては選抜射手ライフルとして運用されていて、二〇式小銃の短射程を補う為に各分隊に一丁の割合で配備されている。九九式狙撃銃とともに長く帝国の主力狙撃銃であったが、射程が比較的長い四九式小銃が主力小銃として配備されると分隊狙撃銃の必要性は薄れ、後継の五〇式狙撃銃の配備が始まったこともあり、次第に姿を消しつつある。
神楽「これは日韓大戦の桜井くんが使う64式改に近いタイプだね」
荻原「それで、選抜射手ってなんですか?」
深海「簡単に言えば狙撃手と普通の歩兵の中間ってところかな」
神楽「つまりね。普通の狙撃手ってのは単独で敵地に潜入して敵の重要目標を狙撃する、まぁ暗殺者みたいな感じに対して、マークスマンは部隊と一緒に行動して普通の小銃じゃ届かない距離に居る敵や指揮官みたいな重要な敵を狙い撃ちする。機関銃と同じで歩兵を支援する役回りよ」
深海「桜井くんは狙撃手ということになっているけど、描写や武器を見る限り選抜射手に近いよね」
五〇式狙撃銃
全長:約1000mm
重量:約4kg
二〇式狙撃銃の後継として配備されている狙撃銃である。四八式小銃の派生型の一つで、四八式の銃身が延長し、照準眼鏡と2脚(固定・着脱不可)が装着したものである。
元々は二二式軽機関銃後継の分隊支援火器として開発が進められ、ミニミに敗れて不採用となったものに照準眼鏡を装着して狙撃銃に転用したものである。同様の例としてイギリスのL86がある。
弾薬には四八式普通実包を使うが、99式普通実包ないし7.62ミリNATO弾を使う仕様も開発されていて少数が導入されている。
神楽「というわけで二〇式の後継。本文中にあるようにイギリスのL86のパロディ」
深海「あの糞小銃のパロディか」
荻原「糞…ですか…」
深海「まぁ日本で言うなら62式機関銃みたいなものかな。もしくは戦前の拳銃…」
神楽「まぁ世紀末の帝國で大活躍の予定ですぜ旦那。イヒヒヒヒヒ」
深海「そうかぁ。そいつは楽しみだ(棒読み)」
荻原「…」
九七式自動砲
全長:約2100mm
重量:約60kg
元々は対戦車火器として戦前に開発された対物ライフルである。結局、当初の目的である対戦車任務には第二次大戦中の戦車の急速な進歩により力不足になってしまったが、陸軍は20ミリ弾が安定した軌道で飛び、しかも相当距離が離れていても威力が衰えない点に着目し長距離狙撃銃に転用した。特に第二次世界大戦後半の朝鮮半島山岳部での攻防ではその威力を存分に発揮し、拠点防御に威力を発揮したと言われ、目標との距離が2120メートルという長距離狙撃記録も生まれた。余談ながらこの記録は、ベトナム戦争中にアメリカ軍の著名な狙撃手が塗り替えてしまった。その時はM2重機関銃を狙撃銃に転用して使用したという。
大重量で効果的な運用に10名程度の兵士が必要など狙撃銃としては不便な点もあったが、長年歩兵の守護神として兵士たちに愛されてきた。生産は1960年代半ばまで続き、最終的な生産数は3000挺に達したと言われる。
その後も各大隊の独立狙撃班などで使われつづけたが、1980年代後半に後継の12.7粍対物狙撃銃の配備が開始され、次第に姿を消しつつある。
神楽「というわけで旧軍唯一の対戦車ライフルだ」
荻原「これで戦車と戦っていたんですか」
深海「第二次大戦前の戦車はまだまだ装甲が薄かったからね。まぁノモンハンの段階で既に時代遅れな感じだったけどね。しかし、20ミリに撃たれたらどうなるんだろうな」
神楽「そりゃ、腹に当れば大穴が空き、手足に当れば千切れて飛んでいく感じだろうね」
荻原「ひぇえ〜」
12.7粍対物狙撃銃
全長:約1450mm
重量:約13kg
M82A1対物ライフルをライセンス生産したものである。1987年に輸入が始められ、各歩兵大隊の独立狙撃班や特殊部隊、工兵部隊に配備された。本来の用途は長距離・対物狙撃であるが、工兵部隊では地雷の処理に利用している。
運用に人手が必要であった九七式と異なり、1人で使用できることで狙撃部隊の行動能力は大幅に向上したと言われる。
なお発売された当初はバレットM82シリーズはまったく売れず、日本陸軍の導入が各国の採用の皮切りになったとも言われる。
神楽「これが最後ね。長かったなぁ。ちなみに史実で各国導入の皮切りになったのはスウェーデン」
深海「ところで荻原さんは?」
神楽「さっきの千切れる発言で参ってるみたい」
荻原「…」
注1―32口径弾―
7.65mm×17の小型実包。低威力だが使い勝手のいい弾丸として主に護身用や警察用拳銃に使用されてきたが、近年では欧米の警察はより強力な9mmパラペラム弾に移行している。しかしながら日本の警察―史実でも帝國世界でも―は32口径に拘りがあるらしく、より大型の銃弾を使う拳銃の32口径使用と特注して配備しているほどである。
注2―9ミリ拳銃―
自衛隊の正式採用拳銃。スイス製のP220をライセンス生産したもの。
注3―欠陥機関銃―
自衛隊の62式機関銃のこと。部品の脱落や作動不良が多かったらしく、悪評ばかり聞こえてくる。真相は筆者の知るところではないが。
注4―PK汎用機関銃―
ソ連の機関銃。分隊支援火器として7.62mm×39弾と使うカラシニコフ小銃改造のPKK軽機関銃を使用しているが、その低威力・短射程を補うために小隊直属の支援火器として配備されているのが7.62mm×54R弾を使うPK機関銃である。二二式重機関銃と同じような位置関係にあるのだ。
航空機編を加筆修正しました。
(改訂 2012/3/24)
実在の人物、会社の名前をカット




