登場兵器紹介 航空機編1
神楽「というわけで今回は登場兵器紹介、戦闘機・爆撃機編よ」
深海「前の予告では戦闘機だけじゃなかった?」
神楽「いやぁ、爆撃機って1機種しかないからさ。まとめたの」
J14N<白刃>
(データは32型甲)
全長:15m
全幅:9m
空虚重量:6600kg
速度:M1.4
航続距離:2800km
乗員:1名
エンジン:F23ターボファン(3500kg/AB使用時)×2
兵装:M61バルカン20ミリ機関砲×1 ハードポイント×6 積載量3400kg
帝國空軍初の実用超音速ジェット戦闘機である。
1949年に米国がベルX-1により超音速飛行に成功した。それを受けて陸軍と海軍は協同で超音速飛行を目指す試作機MXY9/キ209の開発を開始した。そして完成した機体は1953年12月に初飛行し、翌年1月に超音速突破に成功した。しかし実用機として生産されることはなかった。
折しも大陸では国共内戦が激化し、国民党政府を支援する為に国産のキ201<火龍>及び米国から導入した<セイバー>を投入した帝国陸軍航空隊はソ連から貸与された中共軍のミグ戦闘機と交戦し、多くの教訓を得た。それを基に陸軍は1953年に超音速戦闘機キ210の開発を開始し、翌年に計画は新設の帝國空軍に引き継がれた。
国産のネ60ターボジェットを2発搭載した試作小型戦闘機が完成し、1958年には初飛行して同年中に超音速突破に成功した。優れた能力を示した本機は直ちに採用され<白刃>11型として空軍に配備された。この時の<白刃>は20ミリ機関砲2門と翼下にAIM9<サイドワインダー>ミサイルを1発ずつ搭載可能なハードポイントを持つだけの純粋な戦闘機であった。
1962年初めに中国戦線に投入され短期間の活躍であったが数機のミグ撃墜に成功した。その後、順次改良が施されている。1967年より配備が開始された21型はハードポイントを増やして対地攻撃能力を付与された。
さらに1970年代に入って本格的な改修が行なわれている。エンジンをF23型ターボファンエンジンに換装して航続距離、積載能力を向上させ、それによる余力を利用して新型のアヴィオニクスシステムを搭載している。これによりレーダー誘導型空対空ミサイルの運用が可能になった。また20ミリ機関銃2門をM61バルカン型20ミリ機関砲1門に換えている。この機体は32型と呼称され1972年に初飛行し、翌年から実戦配備されている。通称は<白刃>改である。
初飛行から40年以上経過して如何せん旧式化しているので順次<旋風>戦闘機に更新されているが、2000年現在でも32型が100機ほど実戦配備されている。
派生型
キ210 試験機。超音速を突破
J14N1 11型甲 初期生産型。1961年より配備開始。
J14N-K 11型乙 11型の複座型。機種転換訓練に使用。
J14N2 21型 対地攻撃能力向上型。翼端及び翼下にハードポイントを増設。
J14N3 32型甲 エンジンをF23に換装。<白刃>改
J14N-K2 32型乙 32型の複座型。
神楽「帝國日本で初めて超音速を突破した記念すべき軽戦闘機よ」
深海「最初の超音速戦闘機がそのまま現役ってどうよ」
神楽「別に良いじゃん。初飛行が同じ1958年のF-4ファントムIIだって今だに現役なんだからさ」
深海「でも性能的には限界でしょ?」
神楽「うん。ルックダウン・シュートダウン能力も無いしね」
深海「で、ルックダウン・シュートダウン能力とは?」
神楽「…いや、あんた軍事関係の仕事してんだろ?」
深海「いや、読者にはあまり軍事に詳しくない人だって多いんだぞ。第二次大戦中心の人もいるだろうし」
神楽「うん。そうだね。つまりだね。まずレーダーというものは電波を発して、目標に当って返ってくるのを捉えて目標の位置を探るメカだ」
深海「航空機の場合、問題なのは自分より低空の敵を捜索する場合だ。下方向にレーダー波を放つと、まず敵機から返ってくる。そして地面からも返ってくる。つまり目標の反応が地面からの反応の中に隠れてしまうんだ」
神楽「そこで考案されたのがドップラー効果を利用する方法よ。ドップラー効果というのは、まぁ救急車のサイレンが近づいてくる時と離れる時とは違って聞こえるってあれ」
深海「音波とか電波とか波と呼ばれるモノは相手との相対速度、つまり相手と自分の間の距離が縮まったり離れたりすることのスピードが変化すると
周波数も変化する特性がある」
神楽「それを利用したのがパルス・ドップラー・レーダー。地面は動かないから、飛んでいる自分の速度と同じ。一方、目標機は自分で動いて接近したり離れていたりするから相対速度は地面とは異なる。つまりそれによって生じるレーダー波の周波数の違いを捉えて、地面の反応の中から目標を見つけ出すの」
深海「そうした能力をルックダウンという。そして、それで発見した敵を攻撃する能力がシュートダウンだ」
J15N <天雷>
(データは31型)
全長:21.9m
全幅:11m
重量:12000kg
速度:M2.3
航続距離:3000km(増槽なし)
乗員:2名
エンジン:エイボンMk301ターボジェット(7421kg/AB使用時)×2
兵装:30ミリリヴォルバーカノン×1(弾数250) 誘導弾×6
日本空軍がソ連軍爆撃機迎撃のため開発したマッハ2級の迎撃機。60年代から80年代前半にかけての日本空軍の主力戦闘機。初飛行は1964年4月12日で、67年より実践配備された。配備後も改良が続けられ、現在でも現役である。
日本空軍は1950年代、アメリカからF-86D迎撃機(空軍ではJ13A2と呼称)を輸入して迎撃任務に使用していたが不慣れな電子兵装から故障が頻発し、東側がM-4やTu-95などの新鋭爆撃機を完成させるとF-86Dの迎撃能力では不十分だと考えられるようになった。後継機として開発中の新鋭ジェット戦闘機<白刃>や海軍の<麗風>を改造したもの、英国のライトニング迎撃機の導入が検討されたが、広大な日本領海を守るには能力が不十分として新型迎撃機を開発することが決まった。なお、新型機がF-86Dの退役に間に合わない為、偵察機として導入したRF-101の一部を一時的に迎撃機に転用している。
完成した機体は東側に多い水平尾翼つきのデルタ翼機で、エンジンにはライトニングと同じものが搭載され、最高速度マッハ2.3をマークした。しかしアヴィオニクスは同世代の機体に比べ劣っており、特にルックダウン能力の欠如は後のソ連空軍機亡命事件でミグ25の侵入を許す要因となる。
<天雷>は空軍の自動防空システムであるBADGEシステムに対応した最初の戦闘機であり、データリンクを通して防空指揮所からの誘導を受けることができた。
初期の11型は赤外線追尾式の国産空対空ミサイルか無誘導ロケット弾を4発搭載するだけで機関砲を装備していなかったが、迎撃任務に支障があったのでレーダー誘導式ミサイル運用能力と30ミリ機関砲を装備した21型が開発配備された。
1970年代に後継機の開発が<白刃>後継と併せて四六試陸上戦闘機として開始されたが、石油危機により中止となった。代替として<旋風>が空軍に配備されたが、迎撃機としては能力不足として、<天雷>を近代化改修した既存機の寿命延長及び新規生産が行われた。アメリカからF-15を導入する案もあったが、前線航空部隊への<旋風>配備を優先する為と、国産の戦闘機開発技術の維持の為に高価なF-15の導入は退けられた。
近代化改修型は31型という形式番号が与えられ、上述の後継機用に開発されたパルス・ドップラー・レーダーを搭載してルックダウン・シュートダウン能力を獲得した。またソ連戦闘機の航続距離が伸びたことから、爆撃機迎撃用に開発された<天雷>を対戦闘機戦闘に投入できるように翼の形状をクリップトデルタ翼に改良して機動力を向上させるとともに、HOTASの概念を取りいれてコクピットを改善して操縦性を高めた。さらにハードポイントを2基増設して、そこに対戦闘機戦闘に最適な短距離赤外線追尾式ミサイルを搭載するようにした。
後継機のJ16N<鎮守>の配備が始まって交代が進められているものの、一部の機体は21世紀まで使用される見込みであり、その為に後期生産型にはアクティブレーダー誘導ミサイルである五四式空対空誘導弾の運用能力の獲得と新型データリンク端末の搭載などの改修が行われている。
長距離飛行能力と加速性能からRF-101後継の偵察機としても使用されている。
J15N1 11型 初期生産型。
J15N2 21型 アヴィオニクスを改良。30ミリ機関砲を搭載。
J15N3 31型 新規生産仕様。ルックダウン能力を獲得。
J15N-R 偵察仕様。現役。
J15N-V ECM機。能力の不足から夜鷹改と交代して退役。
J15N-V2 SEAD機。ファントムIIと交代して退役。
神楽「これは既に本編登場済みね。外見は旧ソ連のSu-15フラゴン(注2)か中国のJ-8二型(注3)のようなものを想像するといいよ」
深海「どっちも東側だね。さて、次はアヴィオニクスとHOTASだ」
神楽「アヴィオニクスってのはあれだ。レーダーとか、通信機とか、コンピューターとか、飛行機に載っている電気で動くもの全般のことだ」
深海「なんか凄い簡単に済ましちゃってるな」
神楽「いいんだよ。簡単のが分かりやすい。でHOTASだけど。戦闘機はこうやって右手で操縦桿を握って…」
神楽は右手をお腹の前になにかを握っているような風に出した。
神楽「それで左手でスロットルを…どうした?」
深海「いやぁ。その右手がナニを握っているみた…」
バキッ(深海がぶん殴られダウン)
神楽「ともかく操縦桿とスロットルを動かして操縦するわけだ。しかし、なにぶん戦闘機だから戦闘をしなくちゃいけない。昔なら機関銃の引き金を引くだけでいいが、今ならレーダーの操作とか、使う武器の選択とか、ロックオンとかいろいろとやることがあるわけ。それをするために一々操縦桿やスロットルから手を離したら危ないでしょ?」
深海「まぁ隙ができるわな」
神楽「もう復活したのか…というわけで、手をスロットルと操縦桿から離さないで操縦できるコクピット、略してHOTASの概念が生まれた」
深海「つまり戦闘に必要なスイッチをみんな操縦桿とスロットルレバーに内蔵したってことだ」
A14DファントムII
日本海軍航空隊は国産の<麗風><南風>戦闘機を主力艦載戦闘機として使用していたが、どちらも軽戦闘機であり将来のミサイル空中戦に対応できないものと考えられた。そこで米国より大型レーダーとレーダー誘導式ミサイル運用能力を持つF-4ファントムII戦闘機を導入することとなった。
1967年にアメリカからF-4Jを輸入して翌年より国内でライセンス生産を開始し、1969年には海軍航空艦隊への配備が開始された。電子戦能力と積載能力が高く評価された。特にアヴィオニスクは当時最新のもので、帝國軍初のルックダウン・シュートダウン能力を持つ戦闘機となった。しかし大型のために当時はまだ現役であった大戦型空母には搭載できない短所があった。
それでも海軍主力戦闘機として地位を確立し1990年代まで配備され続けたが、後継の<旋風>戦闘機の配備が開始され、1991年の湾岸戦争に12機が派遣されたのを最後に海軍から退役した。
しかし一部の機体は空軍に引き渡され、アメリカ海軍のF-4S相当の近代化改修を施して後継機開発が遅れていた防空部隊に配備されている。特に独立二六一戦隊に配備された機体は敵防空網制圧のためにワイルドウィーゼル仕様に改造されている。
A14D1 米国のF-4Jをライセンス生産したもの。
A14D-J 近代化改修仕様。F-4S型相当。空軍に配備。
A14D-V ワイルドウィーゼル仕様。空軍に配備。
深海「帝國日本もファントムを導入したんだね」
神楽「まぁね。ただし海軍仕様だから、機関砲は外付けのオプションのみ」
四六試陸戦
(数値はN案の機体)
全長:19m
全幅:13m
乗員:2名
空虚重量:12000kg
エンジン:スペイMk202ターボファン(9305kg/AB使用時)×2
1968年、帝國空軍は主力戦闘機であった<白刃>と主力迎撃機であった<天雷>の後継となる次期主力戦闘機計画を開始した。仕様要求は、強力なエンジンを搭載して高性能な火器管制システムを装備し十分な視程戦闘能力を保持しつつ、機動性能にも優れ格闘性能でミグ戦闘機を圧倒し、標準的な迎撃ミッション時の戦闘行動半径が1200km以上という過酷なものであった。
特に問題になったのが搭載するエンジンである。当時はまだ高出力ターボファンエンジンを帝國は開発することができなかったのだ。それにはイギリスからターボファンエンジンを導入する事で解決した。スペイは英国仕様のファントム戦闘機に装備された実績があった。そして空軍は1970年に民間2社にスペイを装備する戦闘機の設計案製作を命じた。
翌年、提出された設計案を検討したが甲乙つけ難く、競争試作を行なうことを決めて両者に試作機が発注され、2年後にそれぞれ初飛行した。
N案では可変翼を採用し、あらゆる状況に対応可能な複座の大型戦闘機を目指した。言うならば小型のF-14である。しかし整備性に疑問符がついた。一方、K案では固定翼機で、任務に応じて複座の迎撃型と単座の戦闘攻撃型を使い分けるものであった。しかし、迎撃に必要な高性能レーダーシステムを搭載するために(同じ機体なら複座型の方がアヴィオニクスの能力で不利になるため)複座型と単座型の機体構造が大きく異なるという問題があった。これは<白刃>と<天雷>の後継機を統一するという空軍の意向に反する。ただ、まったく異なる任務に投入する機体を完全に統一すれば無理が生じるものであるし、この程度の統一でも十分意義がある、という反論もあった。
しかし、どちらを採用するか決定する前に四六試陸戦のプロジェクトは中止されることになる。1973年から翌年にかけて発生した石油危機により政府は大幅な財政削減を迫られ、あわせて軍事予算も削減されたからである。当時、海軍も次期艦上戦闘機の開発を開始しており、同時に二つの戦闘機プロジェクトを推進は無理であるとして兵部省は単一のプロジェクトへの統一を決定した。そして検討した末で四八試艦戦を空軍でも採用することを決定したのである。その理由としては純粋な空軍機として設計された四六試陸戦を艦載機に転用するよりも、四八試艦戦を陸上戦闘機に転用するほうが容易であること、四八試艦戦は比較的安価であることが挙げられる。かくして四六試陸戦計画は中断されることになる。
神楽「つーわけで、幻のF-Xでぇす」
深海「なんか設定考えたら本編に出したくなったらしい。スペイだから」
神楽「気持ちは分かるな。スペイだもん」
深海「なかなか楽しそうだよね。スペイだし」
A15M<旋風>
(データは11型甲)
全長:14.1m
全幅:10m
空虚重量:8800kg
最高速度:M2
乗員:1名
エンジン:F-50ターボファン(6500kg)×2
兵装:M61バルカン20ミリ機関砲 (弾数560)×1 ハードポイント×9 積載量5400kg(A14M-2以降は6100kg)
日本海軍がA13M南風及びA14DファントムII、B9Dスカイホークの後継として開発した多機能戦闘機。A14Dはそれまでの日本の戦闘機には無かった高度なレーダーシステムを有し機動艦隊の空の守りとして期待されたが、大型の機体は大鷲以降の満載排水量4万トン級の航空母艦でなければ運用できず、第二次大戦型の翔鶴、大鳳、翔鷲の3隻は旧式の南風に防空を託すしかなかった。その反省から新型艦上戦闘機には小型化、軽量化が求めら、仕様要求が纏められた。
1972年、海軍は次期艦載機計画を正式にスタートさせ、翌年に民間の航空機製造会社に四八試作艦上戦闘機の製作が発注された。試作機は1976年(昭和51年)完成し、同年初飛行した。そして海軍航空隊に採用されて1980年より配備が開始された。
一方、空軍も制空戦闘機<白刃>及び迎撃戦闘機<天雷>の後継となる次期主力戦闘機計画が第二次石油ショックの影響で中止となり、代わりに本機を改良して配備することを決定した。空軍型は海軍型から更なる軽量化が図られていて、ランディングギアなどはより華奢なものに換えられている。これは無謀なことに聞こえるかもしれないが、空軍にしてみれば“制御された墜落”とも称される空母への着艦を念頭に設計された<旋風>の頑丈さは過剰性能もいいところであった。かくして空軍型は海軍型に比べ100kg程度の軽量化に成功している。空軍型は1982年から配備が開始された。
A15DファントムIIに比べると4t近い軽量化に成功し、運動性能・格闘性能に優れている。各種空対空ミサイルや対艦ミサイル、レーザー誘導爆弾の運用能力を持ち、対空・対地・対水上戦などあらゆる場面に対応している。その反面、後続距離が短く加速性能は低い。空軍が迎撃機として本機ではなく天雷近代化改修型を選んだ背景にはそれがある。
1987年より配備が開始された32型ではF/A-18と同型のF404ターボファンエンジンを装備し、推力が1.5tほど向上して搭載量が増えた。特に対艦ミサイルと増槽を同時に搭載できるようになった点が搭乗員からは喜ばれた。アフターバーナー点火時の推力重量比はF-15戦闘機に匹敵し、格闘戦では高い能力を発揮する。
またコクピットの計器にブラウン管ディスプレイが導入され、従来のアナログ計器は最小限に抑えられている。このグラスコクピット化により、パイロットはそれまでにあった多く計器の確認する手間を減らすことが出来る。
空軍も同様に改良した機体を1989年から配備している。最終量産型ではアクティブレーダー誘導ミサイルである五四式空対空誘導弾に対応している。また空海軍とも既存の機体に五四式を装備できるように改修を進めている。
1997年生産分を最後に生産を終了したが、開発企業からはさらなる派生型を開発・提案している
A15M1 11型甲 海軍向け初期量産型。
A15M-K 11型乙 11型の複座型
A15M-J 21型甲 11型甲の空軍仕様。
A15M-K2 21型乙 11型乙の空軍仕様。
A15M2 32型甲 エンジンを換装。搭載量が増加。
A15M-K3 32型乙 32型の複座型
A15M-J2 42型甲 32型の空軍仕様。
A15M-K4 42型乙 42型甲の副座型。
A15M-V 11型乙を改良した電子戦仕様。
神楽「というわけで現在の帝國日本の主力戦闘機よ」
深海「天城由梨絵大尉の愛機だね。これも軽戦闘機だね」
神楽「元はF/A-18ホーネット(注4)並の機体だったんだけど、スケールダウンしてこうなったの」
深海「換装するエンジンがF404なのはその名残すか」
J16N <鎮守>
全長:18m
全幅:10.5m
空虚重量:9550kg
最高速度:M2
航続距離:3000km(増槽なし)
乗員:1名
エンジン:F-90ターボファン(7500kg/AB使用時)×2
兵装:M61バルカン20ミリ機関砲(弾数410)×1 ハードポイント×11 積載量7000kg
帝国空軍が天雷の後継として採用した防空戦闘機であり、対地・対艦攻撃能力は付与されていないが、次世代の主力戦闘機として様々な新機軸が採用されている。
レーダーは四七式ろ3号レーダーを装備している。四七式は世界に先駆けて実用化された航空機搭載用のアクティブ・フェイズト・アレイレーダーであり、数十の目標を同時に追尾して8目標に対して同時に攻撃を行う事ができる。また単一目標に対してレーダー波を集中すれば、150km以上先の目標を探知できる。
コクピットはグラスコクピット化が進められて従来のアナログ計器は最小限に抑えられており、主にレーダーや兵装システムの状況は液晶ディスプレイに表示される。
さらに空軍が独自に開発した新型デジタルデータリンクシステムが装備されており、地上の迎撃誘導管制やAWACSとの交信できる情報量が格段に増加した。従来機のデータリンクシステムは防空管制官の誘導指示を伝達するだけに過ぎなかったが、新型の場合はレーダーサイトやAWACS、さらに僚機の<鎮守>が捉えた目標の情報を直接伝達でき、自機のレーダーの情報と合成して同じ画面に表示することができる。
搭載するF90エンジンはアフターバーナー使用時の推力こそ<旋風>後期型のF404エンジンより劣っているが、アフターバーナーを使用しないドライ推力は5000kg以上に達している。それ故にアフターバーナー無しでの超音速巡航が可能であり、遠距離まで迅速に展開することができる。
機体には日本が得意とする炭素繊維複合材を使用し重量を抑えることに成功し、またステルス材によりレーダー断面積もF-22など本格的なステルス機には劣るものの従来機よりは低い。
機体設計は迎撃機として航続距離と加速性を重視し、燃料搭載量は他国の同クラスの機体より多い。しかし、その為に運動性については妥協しており、天雷より向上しているが旋風には劣っている。
初飛行は1990年で、1996年より量産が開始され、現在北海道に優先的に配備されている。1999年に北部方面軍の防空部隊が実働態勢に入った。
発展型としてエンジンをより強力なものに換装し、対地攻撃能力を付加した副座型を<白刃>や<ファントム・ワイルドウィーゼル>の後継として配備することを計画している。さらに海軍には<夜鷹>後継の対艦攻撃機としても提案がなされている。
この機体は、土地の守護神を意味する<鎮守>と名づけられた。
J16N-1 11型甲 量産型。現行生産機。
11型乙 11型甲の複座型
神楽「今度は再登場が何時になるか分からない八木桂一少佐の愛機よ」
深海「劇中じゃボロクソ言われてたけどね」
神楽「まぁ主にエンジン推力の不足がくるところだけど。やっぱ強力なエンジンを搭載している方が単純に良いのよね。アヴィオニクスの処理能力ならソ連機より格段に上だけど」
深海「なるほど」
神楽「まぁエンジン推力って言っても大型戦闘機との比較だけどさ。あとは機体を軽量化して航続距離を伸ばしているよ」
深海「“機体を軽量化して航続距離を伸ばしている”ってどこかで聞いたことがあるようなフレーズだな」
神楽「まぁ確かに(汗)。でも新素材使ってるから、そう脆くはないし。今日び、戦闘機に防弾板仕込む時代じゃないでしょ」
深海「まぁね」
神楽「ちなみに“神楽学校”に出てくる数値は基本的にそれっぽく見せるためのデマカセだから真に受けても仕方がない」
深海「…そう言う事は言うなよ!」
G13M<夜鷹>
全長:23m
全幅:29m(最大時)
重量:21000kg
速度:M2
航続距離:4200km(増槽なし)
乗員:2名
エンジン:オリンパスMk320ターボジェット(13900kg/AB使用時)×2
兵装:最大8000kg
軽爆撃機として空海軍で使われた英国製キャンベラ爆撃機の後継機として開発された爆撃機である。空軍は戦術任務の軽爆撃機と戦略任務の重爆撃機を並行開発したが、重爆撃機である四〇試陸爆は予算不足により中止された為、本機には能力不十分ながら戦略任務も付与されることになった。日本本土からは中国沿岸の都市しか攻撃できないが。
当機の開発は1950年代後半に始まる。この時、大陸で泥沼の国共内戦を戦っていた空軍部隊―正確に言えば陸軍航空隊―が直面した問題は十分な滑走路を備える飛行場があまりにも少ない事であった。ミサイルやジェット戦闘機が発達し、爆撃機にも高速化が求められる中で、不十分な滑走路からも離陸できる短距離離着陸能力を確保するのは困難なことであった。そこで空軍が注目したのは可変翼である。1950年代半ばに可変翼実験機を製造し実験を繰り返して十分な感触を得た空軍は実用機への採用を決断した。かくして新型戦術爆撃機G13Mは1966年に初飛行した。しかしながら国共内戦は4年前に終了し、夜鷹と命名された爆撃機が投入されることはなかった。
1969年より空軍に配備が開始され、翌年には海軍にも40機ほどが採用された。海軍は爆撃照準用レーダーの代わりに対水上捜索レーダーと赤外線探知装置IRSTを装備し、対艦攻撃能力を付与した。
しかしその頃、<夜鷹>は新たな危機に直面した。1960年にはU-2偵察機がソ連軍の地対空ミサイルに迎撃された。さらにベトナム戦争が始まりアメリカ軍による北爆作戦が実行されたが、北ベトナム軍の防空網により多くの被害が出た。地対空ミサイルにいかに立ち向かうかが爆撃機の新たな課題となったのである。
その回答はレーダーで探知がしにくい超低空侵入作戦であり、速度に応じて翼を動かし最適な飛行状態を保つ事ができる<夜鷹>はそれに適すると判断され、改良が開始された。新型の地形追随レーダーが装備され低空侵攻能力を高め、さらにベトナム戦争で活躍したレーザー誘導爆弾に着目し、アメリカからペイブ・ナイフ型レーザー照準装置を導入して搭載して精密爆撃能力も得た。現在も空軍に配備されているのは、このタイプであり、ペイブ・ナイフに代わって爆弾倉内に搭載する赤外線暗視装置も兼ねる新型レーザー照準装置を搭載する。
一方、海軍ではソ連海軍の拡大にあわせて<夜鷹>増勢を決断し、アヴィオニクスを近代化した51型の配備を開始し、1989年に最終生産機が納入された。それが最後に生産された<夜鷹>である。
空軍では戦術爆撃機として、海軍では対艦攻撃機として使われている。胴体内には爆弾倉があるが、31型を除いて当初の目的通りに使われることは珍しく燃料用増槽や各種センサーの搭載場所として利用される。
エンジンはターボジェットを使っているため、他国の同クラスの機体に比べると燃料効率が悪い。その為、F110(F-16等で使用)またはF100(F-15等で使用)のターボファンエンジンへと換装した通称“スーパー改”仕様を提案している。
初飛行から35年近い歳月を経て旧式化が進んでいる<夜鷹>であるが、後継機としては前述のスーパー改の他、<鎮守>改良型、アメリカのF-15E<ストライクイーグル>などが提案されている。空軍はストライクイーグルを採用し、海軍も2000年代初頭に三者のうちどちらかの配備を行なうと予測される。
G13M1 11型 初期生産型。全機退役済み。
G12M2 21型 1968年初飛行。海軍型。対水上捜索レーダーとIRSTを搭載。
G13M3 31型 1970年初飛行。戦略爆撃任務の為に航続距離延長を図る。全機退役、一部偵察機に転用。
G13M4 41型 1977年初飛行。低空侵攻作戦に最適化された使用。
G13M5 51型 1979年初飛行。海軍型。アヴィオニクスを近代化、対艦ミサイル運用能力を獲得。
G13M-R1 11型を改造した偵察仕様。
G13M-R2 31型を改造した偵察仕様。
G13M-V 11型を改造した電子戦機。エスコートジャマー
神楽「最後は日本版F-111(注5)。まぁエンジン的にはイギリスのアレだけど」
深海「アレねぇ。しかし<天雷>といい、これといい、幻のF-Xといい。イギリス製エンジンばっかだな」
神楽「日英同盟のよしみってヤツかね」
深海「しかし本編に登場したときは2人乗りに見えなかったが」
神楽「それは作者が下手糞だから」
深海「だね。しかし“スーパー改”(注6)って…」
神楽「ちなみに異世界情景でF-2スーパー改とP-XのFHI案だったかMHI案だったかが活躍する短編を構想中だとか」
深海「マジすか」
G14D ストライクイーグル
帝國空軍が<夜鷹>の後継として導入した戦闘爆撃機である。元はアメリカ空軍が制空戦闘機であるF-15イーグルを改良した戦闘爆撃機であるF-15Eストライクイーグルである。改良と言っても実質的にはまったく別の航空機であるといってもいいほど改造が施されている。機体構造からして60%も再設計が行なわれており、過酷な低空侵入任務に耐えられるようになっている。制空型のイーグルとは区別しなくてはならない。
小型通常爆弾から各種誘導爆弾、核兵器、さらには5000ポンド特殊貫通爆弾ディープスロートなど多彩な兵器を搭載可能で、特にディープスロートはF-111アードヴァーグかF-15Eにしか搭載できないほどの兵器である。その最大搭載量は11tに及ぶ。第二次世界大戦時最大の爆撃機であるB-29の爆弾搭載量が9tに過ぎないことを思えば、その凄さがわかるであろう。
帝國空軍はこの機体を夜鷹後継機として導入を開始し、国内でライセンス生産を行なうこととなった。2000年1月時点でライセンス生産に先立ち4機が輸入され、試験中である。帝國空軍はこの機体を200機程度配備する計画である。
神楽「というわけで最後の機体はストライクイーグル。本編でも活躍予定ですぅ」
深海「活躍ってたって4機しかないけど」
神楽「ちっちっちっ。ハイスペックな試作機が単独で大活躍、無双するのはロボットモノのお約束だろう」
深海「いや。これは架空戦記だし。作者はロボットモノなんて特に手を出していないし。そもそも、そんな大それた機体じゃないだろう」
・作者注 そんな大それた活躍はしません
神楽「というわけで今日はここまで。次回は陸軍兵器、歩兵編よ」
深海「無視かよ!」
注2―Su-15フラゴン―
旧ソ連が開発した防空戦闘機。ソ連国外へ輸出されず実戦にも使用されなかったので、その実態は謎に包まれていた。日本では1983年に大韓航空機007便を撃墜した機体として知られる。
注3―J-8II型―
中国が開発した防空戦闘機。中ソ対立によりソ連からの技術協力が絶えた中国は独自にミグ21戦闘機を双発化したJ-8戦闘機を開発し、さらに改良したのがJ-8IIである。その開発にあたりSu-15を参考にしたと言われる。
実は作者が割と好きな戦闘機の1つ。
注4―F/A-18ホーネット―
アメリカ海軍の主力戦闘機である。かつての主力であった迎撃機F-14を補佐し、対地・対艦攻撃機としても活用できる万能戦闘機として開発された。
<旋風>との比較の為にその寸法、重量を記しておく。
全長:17.07m
全幅:11.43m
空虚重量:10810kg
注5―F-111―
可変翼の戦闘爆撃機。ニックネームはアードバーク。元々は空海軍の戦闘機を一本化するために開発された機体であるが、その目的は達成されなかった。しかし爆弾積載能力、長距離航行能力、低空侵入能力に優れるF-111は空軍の爆撃機として重用された。
湾岸戦争では特に活躍をし、ステルス戦闘機に注目が集まりがちであったが最も多くの地上目標を破壊したのが他でもないF-111である。
注6―スーパー改―
元ネタはロッ○ード・マー○ン社が提案した航空自衛隊の支援戦闘機F-2のバリエーションであるF-2スーパー改。長距離飛行能力、対地攻撃能力を向上させたものであるが、多分ジョークとして提示したんだろう。
本当なら“鷲は舞い降りた”の次に更新するつもりでしたが、どうしても時事ネタを。まぁ笑い事ではないのですが。
そんなこんなで調子に乗っていたら文字数9000字越えてた…普段は3000〜4000字代なのにね・・・
しかし“復活の日”は良い作品です。映画の方を見て、今日は古本屋版で小説を買ってきました。皆さんも是非。
(追加・2011/7/30)
著作権的に問題があると考える部分を削除しました。
(追加・2011/12/3)
<旋風>と<鎮守>の推量重量比を簡単に計算してみたらエライことになったので、現実的な値になるように修正。ついでに説明文を加筆。
(改訂 2012/3/24)
実在の会社の名前が登場する部分を改訂
(改訂 2012/11/2)
内容を改訂。筆者の優柔不断の為に内容が二転三転して申し訳ございません。




