登場兵器紹介 艦艇編2
神楽「というわけで、今回は“世紀末の帝國”第5部その4に登場した艦艇を紹介するよ」
深海「まぁ、別に活躍したわけじゃないけどさ」
神楽「いいじゃない。これから活躍するんだから」
<芙蓉>型対潜巡洋艦
排水量:8700t(基準)/10750t(満載)
どちらもシステム化艦の数値
機関:蒸気タービン×4
兵装
六五口径九八式一〇糎連装高角砲×2
二六式連装誘導弾発射機×1(三三式艦対空誘導弾<石楠花>40発)
三連装短魚雷発射管×2
八連装アスロックランチャーMk16×1
20ミリCIWSファランクス×2
搭載航空機
艦載ヘリコプター×6
帝国海軍は旧式化した大戦型空母を対潜空母として活用していたが、1960年代後半になると二次大戦時の空母が次第に退役してゆき、1970年代後半には対潜空母は雲龍型3隻を残すのみとなったので代替艦の建造が必要になった。当初は対潜空母として計画されたが正規空母への予算集中のため「対潜空母」計画は中止され、同時期に進められていた「防空巡洋艦」計画と合体し「艦隊護衛巡洋艦」計画へと発展した。
こうして誕生したのが芙蓉である。芙蓉は多数搭載する対潜ヘリと大型ソナーを駆使して潜水艦を駆り立てる一方で、帝国海軍の第2世代対空ミサイルシステムである<石楠花>を装備して防空駆逐艦と協同し艦隊防空の中核を担う万能艦となった。現在は各水雷戦隊の旗艦となっている。
3番艦からデジタルコンピューターを搭載してシステム艦化されたので1、2番艦に比べると350tほど排水量が増している。近代化改修により1、2番艦も同様の仕様になっている。
艦載機の最大搭載機数はSHー60を基準にして6機となっているが、通常は4機を搭載している。
艦名 就役年 備考
芙蓉 /1975 /艦名は千島列島松輪島の芙蓉岳から
韓国 /1977 /艦名は九州霧島山の韓国岳から
青葉 /1978 /艦名は京都の青葉山から。帝國海軍初のシステム化艦
新高 /1980 /艦名は台湾の新高山から
神楽「というわけで、第一弾はこの艦。言うならば日本版ヴィットリオ・ベネット(注1)かな?」
深海「もしくはモスクワ(注2)か。それにしても2番艦、韓国って」
神楽「“かんこく”じゃない、“からくに”。ちゃんと実在する山なんだから。まぁ作者自身も洒落のつもりでの命名だけど。厳密な意味では命名規則から外れているかもしれないけど」
深海「たしか対象は“山”だけで“岳”は対象外なんだっけ?」
神楽「作者がどこかで聞いたことあるかもしれないってだけのことだけど。詳しくは分からない」
深海「まぁ、大和の排水量を間違えるアホだしね」
神楽・深海「というわけで詳しい人、教えてください」
深海「さて装備についてだが、<石楠花>というのは?」
神楽「後で詳しく解説するけど、一言で言えば日本版スタンダードSMー1」
<冬月>型防空駆逐艦
全長:154m
排水量:5500t(基準)/6600t(排水量)
機関:ガスタービン×4
兵装
127ミリ単装速射砲MK45mod2×1
Mk41VLS64セル(前部32セル・後部32セル/スタンダードSM-2対空ミサイル)
四連装誘導弾発射機(四九式艦対艦誘導弾<百合>)×2
三連装単魚雷発射管×2
20ミリCIWSファランクス×2
イージスシステム一式
冬月は帝国海軍が空母直衛艦として建造した防空艦であり、米国から導入したイージスシステムを搭載したので連合艦隊の防空能力が大幅に向上した。
1980年代後半になって<舞風>型に続く新型防空艦建造が計画された。当初は石楠花システムの改良型の搭載が考えられたが、その能力はオケアン演習で高いミサイル攻撃能力を西側に見せつけたソ連に対抗するには不十分であった。
折しも日本はアメリカとの貿易摩擦が発生しており、アメリカからは兵器輸入で巨大すぎる黒字を是正するようにアメリカに求められていたので帝国海軍は政府からの圧力もありイージスシステムの導入を決定した。
船体はアメリカの<アーレイバーグ>型駆逐艦を参考にしているが、建造費削減の為、小型化されている。しかしソフトウェアに関しては<タイコンデロガ>型巡洋艦とほぼ同一のものが搭載されていて、防空能力はもとより指揮・管制能力についても<アーレイバーグ>型より高いとされる。
艦名 就役年
冬月 /1995
秋月 /1996
夏月 /1997
春月 /1998
涼月 /1999
霜月 /2000年3月
宵月 /2001(公試中)
初月 /2002(予定)
神楽「第二段はこちら。帝國版イージス艦。ちなみに劇中には3番艦<夏月>と5番艦<涼月>が登場しているね(2009年3月現在)」
深海「自衛隊の<こんごう>型に比べても小さいね」
神楽「スペックはスペインの<アルバロ・デ・バザン>型イージス艦(注3)と韓国のKD−2<忠武公李舜臣>型駆逐艦(注4)を参考にしているそうな。というわけで劇中の帝國海軍は3月を過ぎればイージス艦6隻態勢に突入するわけ」
深海「その6隻の他にも防空艦が10隻以上あるんでしょ?海上自衛隊とは比べ物にならない戦力だね」
<舞風>型ミサイル駆逐艦
排水量:4500t(基準)/5800t(満載)
機関:ガスタービン×4
兵装
六五口径九八式一〇糎連装高角砲×2
二六式連装SAM発射機×1(<石楠花>40発)
八連装アスロックランチャーMk16×1
20ミリCIWSファランクス×2
三連装短魚雷発射筒×2
<舞風>は第一世代ミサイル防空艦である<黒潮>型に次ぐ空母直衛艦として開発され、1980〜90年代にかけて艦隊防空の主力を担った。
帝國海軍は第二次大戦中に<奮龍4型>を開発し、さらにそれを発展させて二六式艦対空誘導弾<雛菊>を開発して<黒潮>型駆逐艦に装備していた。しかし、どちらも誘導にビームライディング方式を採用していた。これは目標に照射されたレーダー波ないしレーザーを感知してそれに沿ってミサイルがまっすぐ飛行するというものであったが、そのために高速で移動する物体に対する命中精度に問題があった。そこで敵にレーダーを照射してその反射を捉えるというセミ・アクティブレーダーホーミング形式を採用した新型ミサイルが開発されたのである。それが三三式艦対空誘導弾<石楠花>である。
<舞風>型は<石楠花>システムを搭載した新型防空艦であり、デジタルコンピューターを使用した戦術情報処理装置の採用によるシステム艦化、機関のオールガスタービン化など様々な新機軸を盛り込んだ意欲的な設計がなされたが、それ故に開発が難航したのでミサイルシステムを<石楠花>に換装した<黒潮>型の建造が継続され、1980年にようやく一番艦の<舞風>が就役した。
空母直衛艦として機動部隊に配備されたが、<冬月>型イージス駆逐艦の配備に伴い駆逐艦戦隊の防空部隊に配属された。
艦名 就役年
舞風 /1980
吹雪 /1981
天津風 /1982
河風 /1983
春一番 /1984
峯風 /1985
朝風 /1986
朝凪 /1987
夕凪 /1988
深海「これは。自衛隊で言うのなら<はたかぜ>型(注5)か。しかし、なんちゅう数だ」
神楽「空母を守るためにはこれだけ必要ってこと。“自衛隊も空母を持て持て”と言う人間はよく見かけるけど、ちゃんとトータルでどれほどコストがかかるか考えているのかしらね?それに、なにに使うつもりなのか?」
深海「インド洋でインド海軍と決戦をするんは必要なんじゃないかい?まったく」
神楽「そうそう。それよりTu-22Mを買おうよ!」
深海「…それが言いたかっただけなのかな…」
来週へ続く
深海「いや、来週とか絶対に無理だろ!学校も始まるし」
注1―ヴィットリオ・ベネット―
イタリア海軍のヘリコプター巡洋艦。満載排水量9550tで、ヘリコプター9機(UH-1クラスを基準とする)を搭載することができる。1969年就役、2003年退役。ヴィットリオ・ベネットの退役によりEU諸国から巡洋艦が姿を消した。現在はタラントで記念艦として保存されている。
注2―モスクワ―
旧ソ連海軍のヘリコプター巡洋艦。満載排水量17500tで、ヘリコプター14機を搭載することができる。1967年就役、1996年除籍。後のミンスク級、アドミラル・グツネツォフ級などに繋がるソ連航空巡洋艦の元祖的な存在である。同型艦は<レニングラード>。
注3―<アルバロ・デ・バザン>型イージス艦―
スペイン海軍のイージス艦。スペインは日米に次ぐ三番目のイージスシステム導入国であるが、特徴としては日米のそれに比べると小型化されていることである。満載排水量は劇中の<冬月>型より更に小さな5802tに過ぎない。スペイン海軍はイージス艦6隻の配備を計画している。
注4―KD−2<忠武公李舜臣>型駆逐艦―
韓国海軍の駆逐艦で、同海軍初の艦隊防空艦である。満載排水量は5500tでスタンダードSM2型ミサイルを搭載しているがイージスシステムは搭載されていない。6隻が建造、配備され韓国海軍の主力艦となっており、ソマリアの海賊対策にも派遣されている。対空捜索レーダーの探知距離がSM2ミサイルの最大射程より短いなどの弱点が指摘されている。
注5―<はたかぜ>型―
海上自衛隊のミサイル護衛艦。<あまつかぜ>、<たちかぜ>型に次ぐ第3世代艦。満載排水量は5900t。ターターシステムとスタンダードSM1型ミサイルを搭載しているので新鋭の防空艦に比べれば劣るものと言わざるえないだろう。




