表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/46

反論文

 私が“小説家になろう”に投稿しております作品“日韓大戦”について寄せられた意見について私の見解をこの場で述べたいと思います


 まず申し上げておきたいのは、私自身、私の書く小説が現実に即したものであるとは考えておりません。できる限りリアリティーのある作品にしようと心がけておりますが、知識・経験や調査、筆力の不足から実際と異なった描写をしている場合も多々あるでしょう。また物語の流れからあえて嘘をついている場合もございます。しかしながら周辺国の正規軍による日本への着上陸の可能性については私は十分にありえることだと考えておりますし、読者の皆様方にも考えていただきたい事柄でありますので、私の考えを述べさせていただきたいと思います。


 まず奇襲であるとはいえ海空自衛隊の守る日本に対して上陸を成功させたことについて。確かに海軍力では韓国、また小説内の高麗連邦と比べても日本が優勢です。しかし、だからどちらかが必ず勝つ、ということでもありません。どこかの海域にそれぞれの海軍艦艇が全て集まってヨーイ・ドンで海戦を始めたら海上自衛隊が確実に勝利するでしょうが、そのような状況で戦争が行なわれることはありえないのです。

 まず戦域と開戦時間の決定権は常に攻撃側にあり防御側にないということをご理解ください。防御側は常に受身なのです。攻撃側である高麗海軍は開戦日時と攻撃点を決定すれば、その時、その場所に戦力を集中することができますが、日本側は諜報活動で決定的な情報を入手でもしない限りはそれを特定することは不可能なのです。つまり日本側が敵国の攻撃に備えようとするには24時間、即応待機している必要があるのです。

 そして軍隊は常に全部隊が即応状態にあるのではありません。人間でしたら睡眠・休息が必要でありますし、機械なら整備・点検も必要です。また錬度を維持するには十分な訓練が必要です。ですから海上自衛隊は主力部隊である護衛艦隊を4つに分けてローテーションを組んでいるのです。つまり日本の方が海軍力が上と言っても、奇襲攻撃を仕掛けてきた敵に対して対応可能なのは全兵力の3分の1か4分の1程度に過ぎないのです。つまり全兵力で相手を上回っているからと言っても、戦場で相手を上回る兵力を用意できるとは限らないのです。

 おまけに政府レベルで先制攻撃を決断しない限りは、例え現場指揮官に十分な権限を与えたとしても相手側の第一撃を許してしまう可能性は十分にあるでしょう。そして劇中でも第一撃を行ったのは高麗側でした。現代戦―というより古来からの戦闘の鉄則として―では第一撃を放った方が圧倒的に有利なのです。

 さらに言えば制海権という概念は相手が大規模な揚陸船団を用意して行動を起こした場合において意味があるのです。詳しくは後述します。



 また韓国海軍の上陸能力については韓国海軍は独島ドクト型強襲揚陸艦1隻の他に高峻峯コージュンボン型戦車揚陸艦4隻を保有しています。また小説内の高麗海軍には独島艦の2番艦が配備されておりますので都合6隻となります。劇中で福岡に上陸をした連隊戦闘団規模の部隊であるならば十分に輸送可能です。

 また陸上兵力を海を越えて敵国に送り込む場合、その手段を揚陸艦に限定する必要はまったくございません。港湾さえ奪取すれば、一般の貨物船、カーフェリーなどを使い陸軍部隊を上陸させることができます。劇中でも高麗軍は少数のコマンド部隊を用いて北九州港を確保して陸軍部隊主力をカーフェリーや一般の貨物船を使い上陸させました。



 漁船などを使用したゲリラ作戦なら可能であるという見解もありますが、上述したように兵力輸送の手段を揚陸艦など軍用船舶に限定する必要はございません。では漁船ではなくカーフェリーや貨物船でゲリラ戦をしてみればどうでしょうか?劇中の高麗軍はそのパターンです。完全に無線を封鎖して徴用した貨物船やフェリーに陸軍部隊を乗せて独航で日本に送り込んだのです。そして残念なことに日本周辺は国際海域であり常に何十隻、下手をすると百をこえる様々な国籍の船舶が行き交っているのです。それら中立船の中から偽装した敵性の貨物船・フェリーを見つけるのは簡単なことではありません。最終的には1隻1隻を確認するしかないのです。



 上陸部隊の補給については現地調達をすれば良いのです。確かに日本陸軍は太平洋戦争でそれをしようとして失敗しました。しかし現在の日本は未開のジャングルではございません。

 劇中でも述べていますが軍隊が必要とする補給品は大きく別ければ弾薬、燃料、食糧となるでしょう。そして流通システムが完備されている現在日本の一定規模の都市ならば後者2つは常に一定量備蓄され末端のガソリンスタンドや食料品店に過不足無く供給できるようになっております。つまり食糧、燃料の現地調達が十分に可能なのです。

 そして弾薬は戦闘により消耗するものであり、陸上自衛隊との交戦により補給の必要性が発生するのです。そして近年の軍縮により陸上自衛隊の弱体化が急速に進んでいます。

 では“日韓大戦”を振り返ってみましょう。高麗軍の目的は日本の一部を占領して、そこからの撤退と引き換えに日本から外交的経済的な譲歩を引き出すことです。つまり一定の地域を確保してしまえば後はそこに居座るだけで、高麗は自分から戦域を広げて自衛隊に戦闘を挑む必要はないのです。そして劇中の高麗軍は北九州と福岡という政令指定都市を2つも確保しました。そして上陸させた戦力は九州の陸上自衛隊の戦力を上回っていて、自衛隊がそれに立ち向かうには全国から戦力を集めなくてはなりません。とくに高麗軍の防衛線を突破して2つの都市を奪還するには十分に機甲化装甲化された機動打撃部隊である第7師団の投入は必要不可欠です。つまり高麗側にはそれらの部隊が集結するまでの猶予があるわけです。それをどのように勝利に結び付けるかは次の話です。



 日韓の間で戦争が発生した場合には国力の差があり、日本が優位であると見る向きがありますが、実は現代戦において“国力の差”にどれだけの意味があるのか私は疑問に思っています。近年は正規軍同士が戦争を行なう場合、長くても数ヶ月程度で決着がつく場合がほとんどですし、国家がその国力の全てをつぎ込むような総力戦は発生しておりません。例えば戦争中に新たな兵器を開発して投入したり、予備役ではなく新規に大規模な部隊を編成して戦場に投入なんてことは起きないでしょう。つまり現在の戦争は、開戦時にある戦力で戦い通すものなのです。でありますから、まず準備段階で国力の差は影響するかもしれませんが、開戦時に十分な戦力を用意できれば“国力の差”というものは大きな意味をもたないのではないでしょうか?

 そもそも具体的になにをもって勝利とするのでしょうか?もし第二次世界大戦のように相手国の領土を完全に占領してしまうことを勝利とするなら、韓国が勝利するのは不可能でしょう。日本もですが。しかし劇中の高麗軍は日本全土を占領することを目指しているわけではありません。

 戦争とは国家がある目的を達成するために武力を用いる行為だと私は理解しています。つまり目的さえ達成できれば、それが勝利なのです。では劇中の高麗軍はなにを目的にしているのでしょうか?それは前述したように日本の一部を占領して、そこからの撤退と引き換えに日本から外交的経済的な譲歩を引き出すことです。つまり前述したように陸上自衛隊が戦力を揃えるまでの猶予の中で日本側に譲歩を決断させれば高麗の勝利です。私は高麗側にも戦争を決意するだけの十分な勝算があると思います。逆に言えば日本が譲歩しないことを決意した時、つまり本編の33話<獅子、目覚めるとき>で烏丸首相が武力による解決を決断した瞬間に高麗の敗北が決定したと言えるかもしれません。

 以上が私の意見です。ご意見があれば感想欄にお書きください。

(一般論への反論という形に改訂してみました)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ