表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/46

陸軍地位向上委員会2 なぜ陸上自衛隊が必要か?

今回は前回に引き続き陸軍地位向上委員会です

陸上自衛隊の意義に迫ってみたいと思います第一弾です

神楽「さて二回目だが。次期防衛大綱について続報が入ったぞ。大砲も400門に削減だとさ」

深海「陸上自衛隊が歩兵だけの軍隊になっちまうな。しかも旧軍と違って兵の頭数が全然足りない…」

荻原「大変ですね」

深海「今回は国防における陸上戦力の意義について考えよう」

荻原「よろしくお願いします」

深海「さて。我が国の国防問題を語る上で、常に主張されるのが“陸上自衛隊不要論”ないし“陸上自衛隊軽視論”だ」

神楽「つまり、“海空自衛隊が洋上で敵部隊を撃滅してしまえば、陸上自衛隊に出番はない!”って意見ね。日本は島国で敵国が侵攻をしようとすれば海上か空中から部隊を派遣しなくてはならない。強力な海空戦力があれば、陸地に到達する前に全滅させることができる。そういう理屈よ」

荻原「それは間違っていると?」

深海「作者はそう思っている。作者は島国である我が国において強力な陸上戦力が必要である理由として以下を挙げる」

・陸上戦力があってはじめて海空戦力が威力を発揮できる

・敵上陸部隊第1派の阻止は困難であり、その対処のために陸上戦力が必要である

・敵コマンド部隊対処に必要である

荻原「災害出動とかは?」

深海「あくまで敵の侵攻に対する戦力として必要な理由を挙げた」

神楽「今回は一番上の“陸上戦力があってはじめて海空戦力が威力を発揮できる”を説明したいと思います」



1.敵国がまず考えるのは陸上自衛隊の戦力だ

深海「さて自衛隊の使命は2つある。まず平時よりその戦力をもって抑止力となり相手国の侵攻計画そのものを諦めさせること。そして有事の際には実力をもって侵攻部隊を排除することだ。まずは抑止力として陸上自衛隊の意義を考えてみよう」

神楽「じゃあ、まず思考実験をしてみましょう。里美さん。もし貴方が敵国の司令官だったら日本を侵攻するとして、まずなにを考える?」

荻原「えぇと。お財布の中身?」

深海「…」

神楽「…観光じゃないんだから」

深海「敵国はなにかしらの目的があって軍を送り込んでくるんだ。だからまず目的達成の為にどれだけ陸軍部隊を上陸させればいいかを考える」

神楽「離島占領なり、コマンドによる破壊工作なり、日本征服なり目的はその時々によって様々だけど、敵国側が送り込む戦力を目算する上で最も重要な要素はなにか、それは陸上自衛隊の戦力よ」

深海「敵国はまず陸上自衛隊の抵抗を排除しつつ目的を達するにはどれだけの兵力を送り込まなくてはならないか考える。そしてその兵力を海空自衛隊の防衛網を突破して送り込めるかを考える。つまり敵国が日本侵攻を企てるとしたら、真っ先に考えるのは陸上自衛隊の戦力なんだ」

神楽「つまり海空自衛隊の抑止力も陸上自衛隊の存在が前提となるわけ」

深海「陸自を“海空自衛隊を万が一にも突破された時の用心”とか“海空の撃ち漏らし掃討役”くらいにしか思っていない人も居るだろうけど、抑止力という観点から見ると陸上自衛隊こそが第一関門なんだ」

荻原「えぇと、つまりどういうことですか?」

神楽「簡単にまとめるとこういうことだ。陸上自衛隊軽視論では自衛隊の抑止力をこのように考える」

1.海空自衛隊は強力だ

2.それを突破するのは難しい

3.だから日本侵攻は諦めよう

深海「これなら確かに陸上自衛隊の必要性は薄いように思える。しかし実際はこうだ」

1.陸上自衛隊の抵抗を排除しつつ目的を達するにはこれだけの陸軍戦力を送り込まなくてはならない

2.それだけの戦力を送り込むには海空自衛隊を突破しなくてはならない

3.海空自衛隊は強力だ

4.それだけの戦力を送り込むのは難しい

5.だから日本侵攻は諦めよう

神楽「陸上自衛隊のウェイトがさっきよりずっと大きいことが分かるでしょ?」



2.陸上自衛隊の存在が洋上阻止を可能にする

荻原「でも、結局は海上で阻止しちゃえば陸上自衛隊の出番はないんですよね?」

神楽「それでは質問だ。どうすれば航空自衛隊ならびに海上自衛隊は敵部隊を海上で阻止できる?」

荻原「えぇと。自衛隊が強ければ阻止できるんじゃないですか?」

深海「それも重要だが。それだけでは十分とはいえない」

神楽「当らなければどうということもない。重要なのは敵を発見できること。そして十分な戦力を集中できること」

深海「さて。もし日本に陸上自衛隊が無かったら。その場合には1000人くらいの軽歩兵部隊に迫撃砲でもつけて送り込むだけでも大きな打撃を与えることができるだろう」

神楽「そして、その程度の戦力であれば偽装漁船を100隻くらい用意すれば簡単に上陸させられる。海空自衛隊がこれを阻止するのは難しいだろう」

深海「偽装してるんだから護衛はいらん。むしろ有害。ほぼ同時に出発してバラバラに行動し、上陸地点で集結する。発見、捕捉、そして戦力の集中は難しい」

神楽「あまつさえ日本周辺は国際航路で数多くの様々な国籍の船が航行しているから、そこに紛れれば、多くの敵船が防衛線をすり抜けるでしょう」

荻原「つまり洋上阻止は困難ってことですか?」

深海「そういうことだ。敵部隊は小さいから、見つけづらい」

神楽「敵輸送船団が大規模であればあるほど海空自衛隊による捕捉、攻撃は容易になる。そして敵輸送船団を大規模化させる要因はなにか?」

荻原「陸上自衛隊ですね!」

神楽「その通り。陸上自衛隊が存在し、戦車や大砲のような重装備を持つことによって、敵国はそれに対抗できるだけの兵力、重装備を送り込まざるをえなくなる。そして、その分だけ洋上輸送の負担が大きくなる」

深海「そして敵の洋上輸送が大規模であるばあるほど、海空自衛隊が洋上阻止できる可能性が高まる」

神楽「簡単にまとめるとこうなるね」

1.強力な陸上自衛隊が存在する

2.陸上自衛隊を排除するために敵国は大兵力、重装備を送りこまなくてはならない

3.大兵力、重装備を送り込むには大規模な輸送船団が必要

4.船団が大規模であればあるほど洋上阻止の可能性が高まる

深海「海空自衛隊が海上で敵部隊を撃退すれば陸上自衛隊はいらない!という意見もあるが、まったく逆だ。陸上自衛隊があるからこそ海上で撃退できる可能性がうまれるんだ!」



3.空自基地は誰が守るか?

深海「では別の観点から空海自衛隊の威力発揮に陸上自衛隊の必要性を考えてみよう」

神楽「陸上自衛隊と空海自衛隊には徹底的な違いがある。それはなんでしょうか?」

荻原「えぇと。名前が違う!」

深海「…」

神楽「…」

深海「基地への依存度だ」

荻原「依存度ですか?」

神楽「陸上自衛隊の基地は、基地と呼ばず駐屯地と呼ぶ。それは陸上自衛隊にとって駐屯地はあくまでも駐屯する場所、つまり“とりあえずそこに居る場所”に過ぎないの。必要なら別の場所へいつでも移動できる」

深海「一方、海上自衛隊や航空自衛隊にとって基地は文字通り“基”となる土“地”、あらゆる作戦行動の拠点となる場所だ」

荻原「なにが違うんですか?」

深海「陸上自衛隊にとって駐屯地は必ずしも必要な場所じゃないってことさ。作戦行動をする場合には駐屯地から完全に離れて行動できる。それが陸上自衛隊の、いや陸軍の利点だ」

神楽「一方、海上自衛隊や航空自衛隊は作戦行動中も常に基地に依存している。船内に必要な物資をたくさん搭載して長期間行動できる海上船舶はまだマシだけど、航空機は発進してから数時間後には必ずどこかの基地に着陸しなくてはならない」

荻原「つまり海上自衛隊や航空自衛隊にとって基地は大切ってことですか?」

深海「その通り。陸自駐屯地は幾つか破壊されても、その地域の陸上自衛隊部隊が作戦能力を失うことはない。だけど航空自衛隊や海上自衛隊の基地が破壊された場合、戦場から離れた場所にある基地に拠点を移さなくてはならない」

神楽「そうなれば空海自衛隊の行動の幅は大きく制限されることになる。だから港湾や航空自衛隊の基地は敵軍にとって最優先目標よ」

深海「基地への攻撃は様々な手段が考えられる。ミサイル攻撃?空爆?しかし一番やっかいなのは敵工作員による攻撃だろう」

神楽「航空自衛隊は自前の警備部隊を整備しているが、それでも限度はあろう。近頃の迫撃砲は小型のものでも射程が5キロもある。守るべき範囲は広大ね」

荻原「つまり空海自衛隊の基地を守るためにも陸上自衛隊が必要ということですか?」

深海「そういうことだ」


神楽「というわけで今回の作者の主張をまとめるよ」

・敵が日本侵攻を企てる場合に真っ先に考えるのは陸上自衛隊の戦力である

・強力な陸上自衛隊の存在が敵輸送船団の大規模化をもたらし海空自衛隊の阻止を容易にする

・海空自衛隊の作戦行動に必要不可欠な基地防衛のために陸上自衛隊が必要である

深海「次回は“敵上陸部隊第1派への対処”を考えてみよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ