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平成23年度防衛省概算要求紹介

というわけで前年に引き続き来年度の防衛費概算要求を紹介したいと思います

神楽「というわけで、今年もこの季節になりました!」

深海「平成23年度防衛省予算概算要求が8月31日に発表されました!」

荻原「というわけで前年に引き続き概算要求の実態を紹介したいと思います!」



深海「まずは海上警備とレーダーシステムについてだね。海上警備については…」

神楽「延命措置ばかりだね。潜水艦に、護衛艦に、哨戒機が対象」

深海「潜水艦については前に報道されていた定数増加を念頭においたものだろう」

神楽「産経新聞が7月末に報じたんだっけな?現状では実戦部隊配備の16隻と練習艦2隻、合計18隻だっけか」

深海「それが20隻代まで引き上げられるんだね。ところで帝國海軍の方が何隻?」

神楽「うーん。確か攻撃型原潜12隻、戦略原潜5隻、通常動力潜水艦16隻、練習潜水艦2隻の35隻だ」

深海「うらやましい」

荻原「ようするに数を増やすってことですよね?それがどうして延命に繋がるんですか?」

深海「潜水艦はだいたい毎年1隻ずつのペースで建造されているから、だいたい18年で退役する。今の防衛予算の状況では建造数を増やすのは難しいから

配備数を増やすには寿命を延ばすしかない」

荻原「だから延命をするんですね」

神楽「今は研究段階のようだが。日本の潜水艦は他国に比べて早々と退役してしまうとはよく言われるが、潜水艦が水上艦より老朽化しやすのは事実だからな。

深く潜ればそれだけ高い水圧に晒されるのだから。だから研究が必要なのだ」

深海「それに比べて護衛艦と哨戒機は“実施”となっているね」

神楽「護衛艦と哨戒機は一刻の猶予もないということだろう。新型機や新型艦の導入ペースでは古いものの退役に間に合わず定数割れは確実だ」

深海「代わりに新型護衛艦の建造はストップのようだ」

神楽「延命措置に必要な費用を捻出するためか…噂によれば新護衛艦は低コストの小型護衛艦らしいと言われていたが…」

深海「しかし延命措置は結局のところ延命措置だ。いずれ新しい艦が必要になる。防衛力維持のためには巧くバランスを取っていかないと」

荻原「難しいですね」




荻原「次に弾道ミサイル防衛に関する項目があって、それの次は島嶼有事対策を取り上げていますね」

深海「まずは前々から話題になっていた先島諸島への自衛隊配備か。今回の要求では研究費用を取得することになっている」

神楽「まぁ、あんまり大部隊を置いても有事の際には孤立化して遊兵になりかねないからな。象徴的に連絡部隊を置く程度になるだろうとは言われているが」

深海「それからP-1に引き続きC-2の配備開始か。国産機の配備は嬉しいね。それにUH-60Jに代わる次期救難ヘリコプターか。なにになるんだろう?」

荻原「新護衛艦は先送りですが、載せる物の研究は進めるんですね」

神楽「ソナーシステムとステルスアンテナの研究をするようだ」

深海「どちらも興味深いね。ソナーシステムはバイ/マルチスタティック戦術に対応したソナー開発を目指すらしい」

荻原「バイ/マルチスタティック戦術?」

深海「対ステルスレーダーとしてバイスタティックレーダーが有用であるという説は割と知られているが、ソナーバージョンはあまり聞かないな」

神楽「筆者も概算要求と政策評価を読んで初めて知ったそうな。つまりだ。普通のソナーは自分で音波を発して、その反射を捉えて敵を見つけるわけだ」

深海「しかし新型ソナーでは自艦だけでなく他艦や哨戒機のセンサーが発した探信音波をも捉えて、それらを総合して静粛性が発達した最新の潜水艦を発見しようという構想らしい」

神楽「理屈は分かっても、いまいち理解が及ばないな」

深海「次は統合空中線システムだね」

荻原「空中戦?」

神楽「空中の線、つまりアンテナだね」

深海「こちらも各種レーダーやESM、電子妨害などの電子戦用アンテナを一まとめにして、SPY-1みたいな平面レーダーにしてステルス性を上げようということだ」

神楽「相手のレーダー波を一番反射するのは、実は当方のレーダーアンテナだからね。欧州のステルス艦は、船体をステルス化してもレーダーが盛大にレーダー波を反射するので、レーダー映りは実は在来艦と大して違わないという話も」




荻原「次は航空優先がテーマになっています」

神楽「既存の機体の能力向上に重点を置いているようね」

深海「AAM-4に引き続いてAAM-5も改良か」

荻原「AAM-5ってなんですか?」

神楽「航空自衛隊の戦闘機に搭載するミサイルだよ。主に敵飛行機を攻撃する」

深海「空対空ミサイルにはレーダーで敵を追尾するタイプと赤外線センサーで敵を追尾するタイプがある

神楽「AAM-5は後者のミサイルよ。単に熱源を追尾するだけでなく、赤外線画像認識を併用することで追尾能力を高めている」

深海「今回の改修は探知システムの能力向上が主な狙いのようだね」

荻原「そして次期F-Xの調査とありますが…」

神楽「一部で話題になってたF-35戦闘機のカタログ閲覧費用のようだね」

深海「資料見るだけで7億円か。吹っかけられたもんだね」

神楽「まぁ開発側としては開発の延滞振りを思えば、どんな名目でも資金は欲しいだろう」

深海「まぁロシアがPAK-FAを飛ばして、中国も第5世代機を研究している今において空自がステルス機欲しがるのも分かるけどさ」

荻原「PAK-FA?第5世代?」

深海「戦後開発されたジェット戦闘機は世代ごとに分類される。第5世代はステルス性能がその必須条件とされ、今のところ実用機ではF-22だけ」

神楽「航空自衛隊は最初にF-22の獲得を目指したのだけど、それが無理となったので、その次の候補がF-35」

深海「これはF-22についで実用化される第5世代戦闘機と目されている」

神楽「PAK-FAというのはロシアが開発中の次世代主力戦闘機のことよ。第5世代相当でステルス性能を有するといわれているの」

荻原「つまり周辺国がステルス戦闘機を開発中だから、日本も対抗してステルス機であるF-35が欲しいということですか?」

神楽「だいたいそんなところ」

深海「ただF-35は開発そのものが遅滞している上に、国際共同開発機だから開発参加国優先で日本は後回しにされると言われている」

荻原「なるほど。それじゃあ間に合わないと?」

神楽「そういうこと。F-XはF-4EJ改の後継機だけど、それでは退役に間に合わない可能性が高い」

深海「それで揉めているわけだ」

神楽「ネット上ではユーロファイター・タイフーンを推す声が強いようだけど」

深海「なんか反米ありきで叫んでいる奴が多い気がするけど。作者はF-15FX派かな。さすがにサイレントイーグル仕様はないと思っているけど」

荻原「なぜですか?」

深海「日本は国土面積に比して領海・経済水域がやたらと広い上に、国土も細長いから守るべき防衛線がとてつもなく長いんだ。だから機体規模がそれなりに必要だ」

神楽「タイフーンは小型戦闘機だからね。それにレーダーが未だにフェイズド・アレイ・レーダーじゃない在来型だし」

深海「日本でJ/APG-1に載せかえるにしても、載せる機体が違えばそれに合わせて改良しないといけないし、試験とかも一からやり直しだし」

神楽「その点、F-15FXならAN/APG-63(V)3あたりの搭載を見込めるからね」




荻原「次は特殊部隊対策、NBC兵器対策、災害対策を取り上げていますね」

深海「まずは新多用途ヘリコプターの開発か。UH-1Jの後継とあるね」

荻原「多用途ヘリコプターって何ですか?」

神楽「小規模の部隊や物資を輸送したり、連絡や負傷者の搬送などに使われる中型の多目的ヘリコプターのこと」

深海「敵地への空中からの殴りこみ作戦にも使われるから、強襲ヘリコプターとも」

神楽「自衛隊ではUHー1JとUH-60JAの二種類をハイローミックスで運用している」

深海「本当は高性能なUH-60JAを主力にしたいんだけど高価だから旧式のUH-1を改良して併用しているんだ」

神楽「でもUH-1Jには性能的に不満があるみたいね」

深海「新多用途ヘリコプターの政策評価を見ると、エンジンが単発である故の安全性への不安、航続距離の不足が指摘されているね」

神楽「島嶼戦では航続距離の不足は拙い」

荻原「それで新しいヘリコプターを開発しようというわけですか」

深海「既存機の改良でコストを節約するそうな。OH-1の多用途ヘリ化(川崎重工案)とUH-1J(富士重工案)の更なる改良が選択肢にあがっていると聞く」

神楽「しかしOH-1改造になったら富士重工はどうするつもりかね?次期攻撃ヘリコプターは不透明だし」

深海「それで、その攻撃ヘリコプターだが…」

神楽「今回の概算要求では一番のサプライズだね」

荻原「AH-64Dは調達中止になったと聞きましたが…」

深海「調達の再開か?他になにか意味があるのか?富士重工へのお情けだの、在庫部品の一掃だのいろいろ言われているけど今後の動向に要注目だね」




荻原「次はサイバー攻撃対策ですね」

深海「専門部隊の身辺を目指すみたいだね」

神楽「前年に引き続きネットワークへの攻撃対処を続けていくのね」

深海「サイバー空間防衛隊か。なんか漫画みたいだな」




深海「次は各国と防衛に関して協力していきましょう、というお話だね」

神楽「注目はキャパシティ・ビルディング支援についてだね」

荻原「キャパシティ・ビルディング?」

深海「つまり日本が東南アジア諸国の対災害対策、対テロ対策などの能力向上を支援しようという話さ」

神楽「ODAの防衛版ってところか」

深海「東南アジア諸国は我が国のシーレーンが通る重要地域だからね。こういう活動で地域の安定が増すなら良い事だ」




荻原「次はグローバルはどうとかありますが」

深海「PKOとか国際貢献活動とかについてのことかな」

神楽「その割にはヘリコプターの防弾装備とか、輸送機の自営装備とか国際貢献と言いつつ、なにやら危なっかしい単語が並んでいるじゃないか」

深海「海外派遣も次なるステップに向かっているということかな?」




荻原「次は宇宙関連とC4ISRですね。昨年やりました」

深海「この項目における注目点は火力戦闘指揮統制システム(FCCS)だね」

荻原「なんか凄そうですけど、よく分かりません」

深海「大丈夫だ。作者もよく分かっていない」

神楽「政策評価の説明を読んで判断すると従来の陸自野戦特科のC4IシステムであるFADS及びFADACは師団以下の砲兵部隊にしか対応できない。各地へのコマンド部隊による同時多発的襲撃や空海との統合作戦が想定される島嶼戦など蓋然性が高いと考えられる事態に対しては力不足。そこで戦域全体を統制できる新たなシステムとして開発されたのがFCCSということらしい」

深海「C4IRはやっぱ難しいなぁ」




荻原「次は将来戦闘機の研究ですか」

深海「先進統合センサーシステムに、次世代エンジン、武装の内装化。F-2後継ということだが」

神楽「イメージ図には垂直尾翼のない、いかにもステルスという感じの機体が描かれているよ」

深海「先進センサーシステムについては昨年触れたよね」

荻原「ステルス機への対処能力を高めるって奴ですね」

神楽「一番下のは、F-22やF-35みたいに兵装をウェポンベイに内臓することでステルス性を高めるってヤツね」

深海「ステルス時代に対応した機体を目指すわけだ」

神楽「そして次世代エンジン。F-2の時は高出力ターボファンエンジンを作れなかったために日米共同開発になったけど、今度は純国産機を目指すのかな?」


荻原「そして、次は防衛省開発航空機の民間転用ですが?」

深海「有力なのはUS-2とC-2だね。USー2は海自の救難用大型飛行艇だ」

神楽「飛行艇は市場は小さいけど、競争相手も少ないからね」

深海「そしてC-2は空自のジェット輸送機。旅客機なみの高速性能が売りだ」

神楽「既存の貨物ジェット機では運搬できない規格外貨物の輸送機として市場を狙えるね」

荻原「どっちもニッチを目指すわけですか」




まとめ

荻原「その他にいろいろとありますが省略して…以上が平成23年度防衛予算概算要求の注目ポイントです」

神楽「しめて4兆7123億円なり。前年比298億円増だ」

深海「あくまでも防衛省の要求だからね。今後、予算折衝で減らされるだろうけど」

荻原「民主党政権は一律1割カットを各省庁に求めていますからね」

深海「去年が4兆8460億円要求に対して実際には4兆6826億円だからね」

神楽「というわけで平成23年度防衛費概算要求概要でした」

本当は9月中にアップする予定だったのですが、10月になっちゃいました。というか、前年の紹介との間が2つしかないorz

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