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登場兵器紹介 歩兵の兵器編2

神楽「前々回に引き続き帝國世界の歩兵の兵器を紹介するよ。今回は重火器編」

深海「また長くなりそうだな」

荻原「それでは早速…」




―携帯対戦車火器―

七式十(センチ)半無反動砲

 口径:105mm

 重量:約200kg

 射程:約7㎞


 帝國陸軍は枢軸国の戦車の恐竜的進化に直面し、それにあわせて対戦車火器の大型化も進む中でアメリカからもたらされた成形炸薬弾の技術を駆使して軽便かつ強力な対戦車火器の開発を開始した。大戦中にアメリカから貸与された各種携行対戦車火器、ロタ砲や試製五式七糎半無反動砲などを投入し、そして戦後に決定版として導入されたのが七式十糎半無反動砲である。

 七式は口径105ミリで、その対戦車弾は当時のあらゆる戦車を破壊できた。そのうえ小型車輌に搭載できる程に小型であり、国共内戦時には対戦車戦はもとより対陣地・対人戦闘でも威力を発揮した。

 長年、帝國陸軍の対戦車火器の主力を務め自走化もなされたが、戦車の装甲の発達と対戦車ミサイルの登場により旧式化して、現在は四七式対戦車誘導弾に更新が行なわれている。それでも多くの部隊で配備が続いている。

 地上で三脚に載せるか、小型自動貨車に載せて使われる。


深海「最初は無反動砲か」

神楽「対戦車兵器としては陳腐化して久しいけど、今でもこの小さな大砲は歩兵の友として頼られているのである。というわけで荻原さん、どうぞ」

荻原「無反動砲ってなんですか?」

深海「(お前ら…台本でもあるんかい…)」

神楽「銃にしろ大砲にしろ、火薬を爆発させて金属の塊を飛ばすわけだから、当然にその分の反動が砲の方に返ってくる。そしてそれは砲の威力が上がれば上がるほど大きくなる」

深海「反動に対抗するにはより頑丈でより重い大砲を使うしかない。というわけで大砲はどんどん巨大化していったんだ」

荻原「なるほど」

神楽「特に問題なのが対戦車火器だ。第一次世界大戦の頃は小火器の延長上の兵器でなんとかなったけど、第二次大戦の頃になると大型の大砲がなければ戦車に対抗できなくなった。歩兵がそんなもの持ち運べるわけないから、歩兵隊は戦車に対して無力になってしまう…」

深海「そこで開発されたのが無反動砲さ。発射時の爆風を後ろに逃がして反動を相殺するんだよ」

神楽「なんつーか、大雑把過ぎる説明ね。軍オタとしてそれは有りなの?」

深海「いや…極力分かりやすく説明したつもりなんだけど…」

荻原「なるほど…でも爆風を逃がして威力は大丈夫なんですか?」

神楽「そこで使われているのが成形炸薬弾だ。では次」




(センチ)半対戦車無反動砲

 口径:84mm

 重量:約14kg


 帝國陸軍歩兵の主力対戦車火器で、各歩兵分隊に1門ずつ配備されている。

 帝國陸軍は個人携帯式の対戦車火器として第二次大戦中にバズーカを参考にして四式七糎噴進砲、通称ロタ砲を開発し、戦後にはそれを拡大した九糎噴進砲ロタ改が開発され長く帝國陸軍歩兵の主力対戦車火器の地位を占めていた。しかし戦車の装甲技術が発達すると両ロタ砲は時代遅れとなり、さらなる新型対戦車火器が必要となった。

 そこで帝國陸軍はスウェーデン製のカールグスタフ無反動砲を次世代対戦車火器として採用しライセンス生産した。装甲貫徹力はロタ改の1.5倍に達するとされる。

 対戦車榴弾の他に対人用の榴弾や照明弾などを発射できる多目的火器である。しかしながら現在の主力戦車を相手には力不足であり、後継兵器の配備が始められている。ただ、それらの後継火器は多用途性に欠けるため、今後しばらくは現役でありつづけるであろう。

 なお海軍陸戦隊はカールグスタフ無反動砲の派生型であり使い捨てながら軽量なAT-4を歩兵用対戦車火器として採用している。


深海「というわけで次はカールグスタフか。自衛隊でも使っていて、日韓大戦でもしょっちゅう出てるよね」

神楽「さて。威力についてだけど、徹甲弾は運動エネルギーを使って敵の装甲を貫く砲弾ね。威力を決めるのは弾の重さ、そして撃った時の弾のスピード。重ければ重いほど、速ければ速いほど威力が高くなるわけ。だが戦車の装甲が厚くなるにつれて、対戦車砲もどんどん大きくなった。重い弾を高速で撃ちださないと戦車の装甲を貫けないんだ」

深海「そして、その弱点を補うために開発されたのが化学エネルギー弾である成形炸薬弾だ」

荻原「科学エネルギー弾!?」

神楽「こう言うと、なんだか凄い兵器に聞こえちゃうけど、ぶっちゃけいえば火薬の爆発で相手にダメージを与える兵器よ。榴弾とか。被害を与えるのはあくまで爆発エネルギーだから、弾の速度には関係なく、弾に詰め込まれた火薬の量で威力が決まるの」

荻原「つまり爆風を逃がして、弾のスピードが落ちても大丈夫というわけですね」

深海「その通り。しかし、単に爆発させただけでは戦車を撃破することはできない」

荻原「なぜですか?」

深海「爆発しただけでは、そのエネルギーは四方八方に広がって、敵戦車に当るのは一部だけだからだ」

神楽「歩兵の大群の真ん中にぶちこむなら、それでもいいんだが、戦車を攻撃するとなるとエネルギーを一点に集中させなくてはならない。エネルギーを集中する事で厚い戦車の装甲を破ることができるの」

荻原「なるほど」

深海「そこでモンロー効果を利用した成形炸薬弾の登場となる。はい、次」




十一(センチ)携帯対戦車弾

 口径:110mm

 全長:約1400mm

 重量:約14kg


 陸軍が八糎半対戦車無反動砲カールグスタフの後継として配備を開始した対戦車兵器で、西ドイツのパンツァーファウスト3をライセンス生産したもの。

 実態としては推進ロケット付弾頭を発射する無反動砲で、主要部が使い捨てであるために陸軍及び海軍陸戦隊では火器ではなく弾薬として扱われている。


深海「今度はパンツァーファウストIIIか。帝國陸軍の装備は自衛隊とかなり被ってないか?」

神楽「基本的に任務は同じようなものだ。だから同じようなものをもってて当たり前さ。さて、モンロー効果について解説しよう。アメリカで火薬を円錐形にくり抜いて、凹型がある形に加工して、円錐の頂点にあたる窪みの奥底から爆破すると、衝撃波が円錐の中でぶつかりあってエネルギーが前方に集中することを発見された。発見者の名を採ってモンロー効果と呼ばれている」

荻原「つまりエネルギーを集中する事で戦車の装甲を破る事ができるということですね」

深海「そして、それにノイマン効果を利用することで威力を上げることができる。詳しくは次」




試製軽対戦車誘導弾

 直径:140mm

 重量:約11kg


 十一糎携帯対戦車弾とともに八糎半対戦車無反動砲の後継となる小型対戦車ミサイルで、兵士1人で持ち運びし射撃をすることが可能なほど小型である、

 第3世代対戦車ミサイルに分類され、誘導方式に赤外線画像追尾方式が採用されており、照準をセットして発射すれば後は誘導が不要な撃ちっ放し型のミサイルである。

 まだ正式採用はされていないが、試験的に一部部隊に配備が開始されている。


深海「今度は01式携帯対戦車誘導弾の帝國バージョンか」

神楽「さて、今度はノイマン効果の解説よ。モンロー効果に続いてドイツで円錐形の窪みの内側に金属を張ることで貫通力が一段と増すことを発見した」

荻原「なぜですか?」

深海「固体には強烈な圧力に晒されると流体、つまりドロドロとした液体のような状態になるという性質がある。火薬を爆発されると内張りした金属が強烈な圧力に晒されて流体化して、モンロー効果によって前方に集中したエネルギーによって高速で噴出する。これがメタルジェットだ」

神楽「相手の装甲は超高速のメタルジェットが衝突すると、やはり強烈な圧力に晒される。内張りと同様に」

荻原「つまりドロドロになってしまうと」

神楽「そう。それでメタルジェットは装甲を貫通してしまうの」

深海「かくして成形炸薬弾は無反動砲だけでなく射速があまり期待できないロケットやミサイルの弾頭としても利用されている」




―歩兵砲―

三七式重擲弾筒

 口径:50mm

 全長:650mm

 重量:4.5kg

 射程:最大700m 有効200m


 第二次世界大戦中に主に森林戦で活躍した八九式重擲弾筒の後継兵器である小型迫撃砲である。歩兵小隊の重火器分隊に3門ずつ配備されている。

 調整ネジで飛距離を調節し引き金を引いて射撃する仕組みで、必要に応じて水平射撃も可能である。1人の砲手と2人の弾薬手で運用する。

 八九式に比べると砲身長が若干伸びており、そのために精度が向上して有効射程が大きく向上した。また発射音等が小さくなるように改良が施されている。


深海「今度は擲弾筒の現在版か」

神楽「陸軍を代表する重火器だからね。平成の世でも重宝するでしょう。現在でもフランスが似たような小型迫撃砲持ってるし」

深海「フランスはあまり信用しちゃいけないんと思うんだ」




二四式八糎曲射歩兵砲

 口径:81mm

 重量:約50kg


 大戦中に主力迫撃砲として活躍した九七式曲射歩兵砲や大隊砲こと九二式歩兵砲の後継として開発された軽迫撃砲である。九七式に比べると10kgほど軽量化され、また簡単に射撃する方向を転換することができる。

 後継として五四式迫撃砲の配備が始まっているが、未だに多くの部隊が本砲を使用している。


神楽「今度は史実の64式迫撃砲の帝國バージョンだよう」

深海「基本的に64式そのものだね」

荻原「あのぉ。迫撃砲ってなんですか?」

神楽「つまりだねぇ。簡単に言えば砲身を上に向けて撃つ大砲だね」

荻原「そうするとなにか良い事があるんですか?」

深海「それについては次に…」




五四式八糎迫撃砲

 口径:81mm

 重量:約37kg


 二四式八糎曲射歩兵砲の後継として採用した新型の軽量迫撃砲。イギリス製のL16をライセンス生産したもので、二四式に比べると16kgほど軽量化している。

 各歩兵中隊の軽迫撃砲小隊に配属され、歩兵直協火器として使用されている。


深海「ここらへんは史実の自衛隊とはほとんど変わらんのだね」

神楽「まぁわざわざ独自設定に突っ走る必要もないしね」

荻原「で、さっきの続きですが?」

深海「そうだったね。まず良い事として、急角度に打ちあげた砲弾はやはり急角度で落ちてくるから、物陰に隠れた敵を攻撃に真上から攻撃を浴びせることができる。これが利点の一つだ」

神楽「そして、もう1つは次だ」




五式一〇糎曲射歩兵砲

 口径:107mm

 重量:約160kg


 アメリカの107ミリ迫撃砲M2を国産化したもの。

 第二次大戦中に欧州へ派遣された陸軍部隊は主に現地で受領したアメリカからのレンドリースを装備して戦場に向かった。その時に連隊砲である四一式山砲の代替として供与されたのが本砲である。山砲よりずっと軽量で威力も十分だったので連隊砲の後継として正式に採用されることになり、五式曲射歩兵砲として国産化された。

 戦後、射程・威力ともに五式を上回るソ連12センチ迫撃砲に対抗するために二〇式一二糎曲射歩兵砲が本砲の後継として開発されたが、重量が増し徒歩歩兵部隊での運用は困難として自走化されて機械化部隊にのみ限定して配備されたので、多くの部隊では五式を引き続き使用することになった。

 1992年に後継の五二式迫撃砲が採用され、更新が勧められている。


神楽「さて、もう1つの利点。それは垂直に近い角度で砲弾を打ちあげることで反動を地面に吸収させることができることよ」

深海「さっきも説明したように。大砲は口径が大きければ大きいほど反動が強くなり、それに備えるために頑丈な機構が必要になる。それに比べて迫撃砲はそういった機構を省略して軽く造れる。それ故に歩兵が簡単に持ち運ぶことができる」

神楽「つまり歩兵部隊に密着した支援が行なえるってこと。だから迫撃砲は各国が歩兵部隊の自前の火砲として配備をしているのよ」

荻原「なるほど」




五二式一二糎迫撃砲

 口径:120mm

 重量:約600kg


 五式一〇糎曲射歩兵砲の後継として採用された中迫撃砲。フランス製のMO120RTをライセンス生産したもので、タイヤが装備されているので移動・展開が容易に可能である。

 各歩兵連隊の中迫撃砲中隊に配属され、五三式中型自動貨車に牽引されて運用される。


神楽「だけど弱点もある。それは射程が短いことと命中精度が低いこと。だからあまり長距離射撃には向かないのね」

深海「良くも悪くも密接した支援射撃用の兵器ということだね」

荻原「よく分かりました」




―対戦車ミサイル―

二四式対戦車誘導弾

 直径:120mm

 重量:16kg

 射程:1.6km


 日本初の対戦車ミサイルである。五七粍速射砲(英製オードナンスQF6)の後継対戦車兵器として各歩兵連隊の対戦車中隊に配備された。

 第一世代に分類される対戦車ミサイルで、有線を通じて兵士が操作する方式である。その為にミサイルの速度が遅く敵の妨害を受けやすい、操作に熟練を要する、などの欠点を持つ。

 後継として三九式重対戦車誘導弾の配備が始まると、七式無反動砲との後継として四七式対戦車誘導弾とともに各歩兵中隊の対戦車小隊に配備されるようになり現在にいたる。


深海「これもまんま64式対戦車誘導弾…」

荻原「兵士が操作するって、ラジコンみたいですね」

神楽「ラジコンみたいなものだね。ちなみに第四次中東戦争でイスラエル戦車軍団に大打撃を与えたサガーミサイルもこの系統」

深海「当時のイスラエルの戦車兵の対処法はミサイルが飛んできたら、その方向に主砲をぶっ放すことだったそうな。操作している兵士が驚いて、操作ミスをするのを狙うらしい」




三九式重対戦車誘導弾

 直径:150mm

 重量:約30kg

 射程:4km


 二四式対戦車誘導弾を配備したものの誘導方式や射程の短さが問題となり、配備と同時に後継ミサイルの開発が始まり、1979年に正式採用された。

 三九式は第二世代に分類される対戦車ミサイルで、目標を照準するとその情報が有線を通じてミサイルに伝えられ自動追尾する方式を採用し、二四式の欠点を改善している。

 “重”とつくことからも分かるように威力も従来の対戦車ミサイルに比べると桁外れであり、戦車だけでなく小型船舶の攻撃にも使われ、そのための専用弾も用意されている。射程は4kmと五七粍速射砲と同程度まで向上している。

 二四式に代わって全国の連隊対戦車中隊に配備されている他、四八式歩兵戦闘車にも対戦車自衛火器として装備されている。


深海「まんま79式対舟艇対戦車誘導…」

神楽「レギオンを吹っ飛ばしたヤツだね」




四七式対戦車誘導弾

 直径:110mm

 重量:約12kg

 射程:2km

 

 中隊対戦車小隊に配備されている無反動砲の後継として開発された対戦車ミサイル。第二世代と第三世代の中間に位置するミサイルで、射手が目標にレーザーを照射してミサイルは目標から反射するレーザーを追尾する仕組みになっている。そのためワイヤーを廃して飛翔速度が向上しており、また発射装置を射手から離して設置することができるので敵が発射地点を攻撃しても射手は安全である。

 軽量化が進み、肩に担いで発射することもできる。


深海「まんま87式…」

神楽「でも恥ずかしい愛称はないよ」




五六式多目的誘導弾

 直径:160mm

 重量:約60kg

 射程:10km以上


 三九式重対戦車誘導弾の後継として開発された新型のミサイル。多目的誘導弾という名称からも分かるように対戦車だけでなく舟艇などの様々な目標に対して使用される。

 ミサイルの先端に備えたカメラが目標を捉え、その映像を見て射手が誘導を行なう方式で、誘導用の有線に軽量な光ファイバーを採用することで飛距離を延ばすことに成功し、野砲なみの射程を得た。そのため、対戦車ミサイルながら五六式を配備する部隊には専属の観測員が用意されている。

 三九式重対戦車誘導弾が連隊ないし大隊の対戦車隊に配属されているのに対し、五六式配備部隊は師団の直轄とされ、現代は北部軍の部隊に対し優先的に配備が進められている。


深海「まんま96式多目的誘導弾ですね」

荻原「87式と並んで日韓大戦でも活躍してますね」

神楽「これでようやく重火器編終了ね。次回は歩兵の兵器、車輌編よ」

【誤解氷解】と【登場兵器紹介 艦艇編3】と【登場兵器紹介 歩兵の兵器編1】を加筆修正。

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