平成22年度防衛省概算要求紹介
リュドミラ「さて。今回の萌えない神楽学校は特別編なのだ」
神楽「で、なにをするんだ?」
リュドミラ「8月31日、遂に防衛省の来年度予算概算要求が発表された」
深海「その概算要求を紹介しようというのだな?」
リュドミラ「その通りだ。作者的には防衛省関連のウェブページでは一番おもしろいところであるから、みんなにも是非見て欲しいのだ」
荻原「あの…貴女はどちらさま?」
リュドミラ「ワチキのことか?ワチキはリュドミラ。親しき者はリューダと呼ぶ。作者が無謀にも構想中の新小説の主人公なのだ」
荻原「すごいですねぇ。リュドミラさん」
神楽「では、早速、本題にいってみよう!」
リュドミラ「概算要求しめて4兆8460億円なり。前年比プラス約1400億円増の3%増なのだ」
神楽「ふっかけたねぇ。まぁ、あくまでも概算要求だし」
深海「注目はやはり22DDHか」
神楽「うむ。時事通信の報道によれば、22DDHは基準排水量1万9500tで、5機が同時離着艦可能。最大航空機搭載量はヘリ14機。ひゅうが型よりも格段に大型化している」
ちなみにひゅうが型は基準排水量1万3500t。同時離着艦3機、搭載量11機。
リュドミラ「注目すべきは単なるヘリ空母ではなく一種の多目的母艦として計画されている点なのだ。洋上補給能力を持ち、しかもトラック50台、人員4000人を輸送する能力があるという」
深海「人員4000人は兵員400人の間違いか、災害時などに民間人を運ぶ際の最大値であるらしい。兵員4000人なら明らかに多すぎだ」
神楽「満載4万トンのワスプ級強襲揚陸艦も精々2000人が限度だからね」
リュドミラ「イタリアの<カヴ―ル>やスペインの<フアン・カルロス1世>のような空母兼揚陸艦というのは世界のトレンドになりつつあるからなぁ。ニホンもその流れに乗ったというわけなのだ」
神楽「だが民主党政権では難しいのではないか?」
深海「予算削減圧力を引き受ける被害担当艦だ!という見方もあるね」
神楽「要求の先頭に書かれているのは弾道弾防衛に関してね」
深海「これまで3個高射群(2個高射群に配備済み)に配備する、という方針から全高射群に拡大して、ほぼ全土に配備されるわけだ。まぁ射程は短いから全土をカバーできるわけではないけど」
リュドミラ「迅速に機動展開、長期の任務遂行のための機動展開車輌、隊員の待機用テントの整備というのも興味深いのだ。これは北朝鮮のテポドンII発射の時の教訓かもしれん」
荻原「次に書かれているのは巡航ミサイル対策ですね。日韓大戦で早速高麗軍が日本に撃ちこんでいますが」
神楽「中国、韓国は巡航ミサイル整備を進めている。弾道ミサイルとともに対策が急がれる分野ね」
深海「で、それでその対策が03式中距離対空誘導弾の改良と、防空用レーザーの研究」
荻原「レ、レーザー?」
神楽「日本もレーザーに手を出す時代が来たか」
リュドミラ「レーザーが完成したら次はドリルなのだ。ふっふっふっふっ」
深海「まぁあくまで巡航ミサイル防衛用だから射程は短いのだろう。まぁ物理的にミサイルを破壊するならかなり高出力が必要だが」
神楽「アメリカとイスラエルの開発しているTHEL、つまり戦術高エネルギーレーザーは小型のロケット砲や迫撃砲弾あたりの迎撃がやっとなようであるが。どれだけの規模になるのやら」
深海「それに03式中SAM改良か。能力向上とともに取得コスト低減…やっぱ高かったか」
深海「続いては航空優勢の確保。中国も韓国も空軍力を向上させているからね。その為に戦闘機の近代化改修を推進する」
神楽「というわけで念願のFー2へのAAM-4搭載改修開始か。F-4EJ後継なし、純減が噂される中で不幸中の幸いかもしれないね」
荻原「AAM-4というのは?それが搭載されるとどうなるんですか?」
深海「AAM-4というのは航空自衛隊の空対空ミサイルだ。それまでのAIM-7スパローミサイルは発射したら敵に命中するまでレーダーで敵を照準し続けなければならなかった。だからその隙に攻撃を受ける危険性がある。しかしAAM-4であればミサイルに搭載するレーダーで自ら敵を照準して追尾するんだ」
神楽「それ故に隙を突かれる心配もないし、別の敵を攻撃することもできる。空対空戦闘能力は飛躍的に上昇するよ」
荻原「なるほど」
深海「それに加えF-15の改修。それまでの近代化改修に加え、新たに電子戦能力を向上させ防御力を高める。航空自衛隊は着実に質的向上を目指している」
神楽「しかし、やはり新しい戦闘機がないと苦しいな」
リュドミラ「レーザーにも驚かされたが、次もなかなか凄いことが書かれているのだ。ステルス機対処技術の研究とは。まぁしかし何れは必要になる」
神楽「今でこそステルス機はアメリカが独占しているけど、将来的には各国も保有を開始するのは確実ね。ロシアはPAK-FA、中国はJ-XXというステルス機計画を進めているし。あとF-35は…大丈夫なのかな…」
深海「一つは先進統合センサーの開発で、戦闘機に搭載するものだ。図説ではレーダーの性能をさらに高めるとともに赤外線センサーや電波傍受システムを組み合わせてステルス機への対処能力を高めるようだ」
神楽「問題は電波・光波複合センサシステムの方ね。図を見る限りでは、まさに日韓大戦劇中のXEP-1Cね」
リュドミラ「P-Xらしき機体の下部に板状の…フェイズド・アレイレーダーかな?…が備え付けられ、上部には赤外線センサーを装備しておる」
リュドミラ「次は島嶼侵攻対策なのだ」
深海「とりあえず海空自衛隊と協力しながら西部方面隊で演習するよってことと、あとはヘリコプターの整備だね」
リュドミラ「気になるのは最後の将来多用途ヘリコプターの研究などだ。運動性向上のための研究とだけあるが、もしかして偵察ヘリに引き続きヘリの国産化を進めるつもりなのか?」
荻原「次はテロやら特殊部隊やらへの攻撃の対応、と」
深海「都市型戦闘訓練とか警察との連携強化とかお馴染の項目に加え、注目は次の2つ。つまり新戦車の整備と第一師団の改編だ」
神楽「いよいよ10式戦車調達開始かぁ」
深海「予算節約のために4年分58輌一気に調達だってさ。日韓大戦の総数40輌程度はなんとか回避かな」
リュドミラ「まぁ概算要求通りに通ればの話なのだ」
神楽「戦車師団解体を主張する民主党が戦車の量産なんて認めるかねぇ。ポスト冷戦時代に新しい戦車なんていらない!と戦車調達そのものをやめかねん」
深海「暗いこと言うなよなぁ」
荻原「まぁまぁ」
深海「第1師団の改編ってのは具体的にどうなるのかよくわからないなぁ」
深海「次は化学・生物兵器対策か」
リュドミラ「能力の充実というお決まりの文句が書かれているのだ。そして注目は…新装備、NBC偵察者の整備だ」
深海「将来装輪戦闘車輌シリーズの第一弾の配備が開始か…」
荻原「将来装輪戦闘車輌とは?」
深海「つまりだね。同じ車体をベースに様々な用途の車輌を開発して、予算の節約をしようというお話だ。それで陸上自衛隊では車体を共通化した様々な装甲車輌を研究していたんだ」
神楽「これの後に機動戦闘車と近接戦闘車が続くはず。どうなるかは知らんがね」
リュドミラ「さらに言及すべきことはNBC偵察車は名前の通りに様々な状況に対応できるということなのだ。Nは放射能汚染、Bは生物汚染、Cは化学汚染を示す。従来の化学防護車は放射能汚染と化学汚染にしか対応しておらず、別に生物偵察車という生物兵器・災害用の専用車輌を必要としていたのが、これからはこれ1台で大丈夫なのだ」
荻原「便利ですね」
深海「それから災害対策、新型インフルエンザ対策と続く」
荻原「自衛隊も新型インフル対策をするんですね」
神楽「そしてその後に平素からの監視活動拡大とある」
深海「P-1とかSH-60Kの取得とか、まぁこれまでの調達の延長だね。あとAWACS、AEWの能力向上と。他に注目すべきは」
深海「1つは音響測定艦だね。中国や韓国が潜水艦を増強しているから重要だ」
神楽「それに中距離型無人偵察機。概算要求の資料を見る限り、日韓大戦劇中にも登場したTACOMの偵察型のようね」
荻原「では滞空型無人機というのは?」
リュドミラ「日韓大戦劇中でも説明されておるだろう?TACOM-Rは平時の監視任務用には適していないのだ。つまりそういう任務のための偵察機ということだろう」
神楽「これはネット上で聞いた受け売りなので話半分で聞いて欲しいが、なんでも一般の航空路と重ならないように無人偵察機を飛ばそうとすると日本の場合、硫黄島あたりから飛ばさないといけないそうな。そして、それではグローバルホークでも航続距離が足りない」
深海「そして技術研究本部のホームページなどを見ると、防衛省自衛隊はそれを自前で用意するつもりなのかもしれいない」
神楽「それから国際貢献とか各国軍との交流とかそんな話が続いて…」
神楽「宇宙関連施策の推進とC4ISR能力の向上と」
荻原「宇宙関連ってのはなんとなくわかりますけど、C4ISRというのは?」
深海「C4ISRというのは指揮、管制、通信、コンピューター、情報、監視、偵察の頭文字を示す。つまりだ。敵の様子を探る情報収集能力を高めたり、通信システムを改善して、これまで声だけでやり取りをしていたのを図説とか映像とかいろいろなデータをやり取りできるようにしたり、そういう風に単純に戦車を増やしたり大砲の威力を上げたりとかそういったことに頼らずに効率を高めて実質的な戦闘能力を高める、ということだ」
荻原「…よく分かりません」
リュドミラ「まぁ勘弁してやれ。作者も概念はなんとなく理解しているが、その程度なのだ。ふっふっふっふっ」
神楽「まぁ大規模な軍拡は難しいから、少数の戦力も最大限の効果を発揮できるように!ってことだよ。まぁ戦争ってのは必ず被害が必ず生じるものだから最小限の戦力で最大限というのはどうも疑問を感じるのだけど」
深海「確かに。戦争をするには損害分を補充できる余分な戦力が必要なんだけどな。無駄扱いされているけど…」
神楽「それであらたに作られるのがサイバー防衛隊か。レーザーといい、何かSF染みてるな」
リュドミラ「しかし、コンピューターネットワークへの攻撃は絵空事ではないのだ。欧州や韓国でも既に大きな被害を出しているからな」
神楽「中国には“超限戦”という新しい戦略思想を構想しているし、北朝鮮もそれに倣ってサイバー攻撃能力を高めているというしね」
深海「あとは防衛省の組織を改善しますよって話だね」
神楽「まぁ注目すべきところはこれくらいかな?」
深海「あとは“主要な研究開発”の欄に新規事業としてXASM-3の開発が書かれているくらいだね」
荻原「XASM-3とは?」
神楽「Xはまだ正式に採用されていないことを示し、ASMとは自衛隊では空対艦ミサイルを示す。つまり航空機に搭載し、空中から敵の軍艦などを攻撃するミサイルのことなの」
リュドミラ「今、航空自衛隊ではASM-1とASM-2の二種類のミサイルを使っているのだ」
深海「で、実は自衛隊では過去にそれらの後継としてXASM-3の開発を進めていたんだ。なんでもロケットエンジンとラムジェットエンジンを組み合わせた推進機関で超音速飛行し、ステルス形状で、敵のレーダー波を追尾するモードもあるとか…」
荻原「なんか凄いですね」
深海「まぁ開発中止になっちゃったんだけど」
神楽「これはその復活ということでいいのかな?」
リュドミラ「やっと終わったのだ…」
深海「長かった…」
神楽「というわけで、皆さんも防衛省の概算要求をご覧になってはいかが?防衛省のサイトのトップページから“予算等の概要”を押すと見れますよ」
深海「あと“各種資料”から“評価結果”というのも見てみるとおもしろい」
荻原「それではありがとうございました」
というわけで、今回は趣をかえて防衛省が財務省に提出した概算要求を紹介してみました。ま、盛大に削られるんでしょうけどね(涙)
2014/6/20
内容を一部変更
2014/10/23
内容を一部変更




