第1話 人間とは......遺伝子の乗り物っ!!
「」の前は発言者の名前です
イキリという言葉を聞いたことがあるだろうか......?
簡単に言うと物事を大げさに言ってカッコつける ナルシストの様なものだ
最近では、イキリオタクという言葉をよく聞く
しかし、もし、中途半端な知識をつけた自称理系がイキっていたら......?
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4月......
私、常 識穂は、普通科の高校に入学した。
中学と環境が変わり、髪型を変え、電車通学になり、行くぞ!ワクワクの高校生活!
とは、ならなかった。
私の所属したクラスに 変なやつが居たのだ
私のクラスは1年1組
「社会は刻一刻と変化を続ける。しかし、物理法則は美しく、幾年も変化しない。ふふ、
だから僕は物理を愛するっ!」
私達の教室の片隅。
大声で独り言を呟く彼はの名前は、
生田 理人
とても変わったヤツ。まぁ、イキリだ
そして、なんか理系っぽいことをいつも言ってる
理系のイキリだ。イキリケイだ。
今は休み時間だが、彼は白衣を羽織って、外を見ながら大声で決めゼリフを言ってる
クラスにこんな変なやつ......なかなか居ないだろうな
常「はぁ......」
生田「はっはっははははは!!」
今度は1人で笑い出した
クラスメイトは彼から距離を置き、話しかけないようにしている
顔立ちはそこまで悪いわけでないから、イキリがなければ、クラス内でもそれなりの位置にいるはずなのに......
ガラガラっ
先生がドアを開けて教室に入ってきた
生田「はは.........」
それと同時に生田の笑いもピタリと止み、代わりに苦笑いを始めた
先生「席につけー」
先生「生田ー......白衣脱げ」
生田「あ、す、す、ぉ、すぃません......」
さっきまでの変な覇気はどこへやら
弱々しい噛み噛みの声を出して、
生田は席につく。
まぁ、その席は私の隣だ
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4月のある日
常「人間ってなんだろう......」
休み時間、ノートに落書きをしていた私は
深い意味は求めずに、何となく呟いた
何となく、小声で呟いた
しかし、直後、
生田「!!」
やつが私の言葉に反応した
常「げっ、」
生田「人間とは.....ね、ふふ、ふぅははは。」
うわ、なんかいきなり調子に乗り始めた
生田はポケットに手を突っ込んでクルクル回りながら私に近づいてきた
そして、ぴたっと止まり、
生田「簡単さぁ!」
生田「人間ってぇのは、『遺伝子の乗り物』さぁ!!!!」
マンガなら背景を キリッ!という効果音が描かれるような雰囲気で堂々と答えた
しかも、腕を曲げて変なポーズを取っている
常「は?」
しかし、言葉の意味がわからない
生田「理解できないか? まぁそうだろうな。 何せ 俺みたいな天才しか、ふふ」
またポケットに手を入れて、後ろを向いて笑う
一瞬、その内容を理解したいと思ったが、
やはりどうでもいいと思った
常「あぁ、うん。そう」
ここは適当に受け流しておこう......
生田「いぃでぇぇんし とわぁーーー!」
生田はくるりと振り返り、大声で言った
常「ひっ、」
まだ何かあるのか。いい加減もう席に戻ってほしい
生田「そうっ、遺伝子とは情報の方舟っ!」
常「……」
人間は遺伝子の乗り物で、遺伝子も方舟つまり乗り物
人間は乗り物の乗り物......
いや、こいつ比喩下手くそだろ
生田「まぁ、細胞の中の染色体が......ブツブツ
あら、なんかそれっぽいこと言い出した
染色体って言うのは、、核の中にあるヒモみたいなやつだっけ
生田「ブツブツ」
常「へぇ」
なんか普通なことを喋り出したな......
あれ?こいつふつーに頭いいのか?
生田「だから、ゲノムが......ブツブツ」
常「ん?、ゲノムってなんだっけ?」
生田「ゲノム?あ、そ、それはえっと、あれだよ」
常「あれって?」
あ、こいつ意味わかってないな
なんかゲノムってかっこいいから使ってるだけだな...
うん。多分頭良くないなこいつ。
生田「フン、ゲノム舐めんなよ。マジでヤベーから」
そう言って彼は席に戻った。と言っても私の隣の席だが
舐めるってなんだよ
別にゲノムをバカにしてないし
生田「ブツブツ」
生田は席についたあともなにかブツブツ言っている
バサッ
常「あぁ、教科書が」
私の机の中でちょっと飛び出していた生物基礎の教科書が、体にあたり、床に落ちた
私は教科書を拾う。
そして、なんとなく中身をパラパラと見る
その中にDNAの単元があった
その内容を読むとさっき生田が言っていたこととほぼ同じことが書いてある
まぁ、方舟って表現は無いし、
ところどころ生田が間違っているところもあった
いや、けっこう間違ってる!
さっき私にブツブツ言ってたけど、ほとんど教科書に書いてあることと違う!
なんだよ!嘘言ってたのかよ!
常「やっぱりただのイキリじゃん......」
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放課後、学校からの帰り道で、私はスマホの中にあるツイッターを開いた
†蓬理†@殺伐垢 というアカウントのツイートを見つける
ちなみにこれは
ホーリー アット さつばつあか と読むらしい
何を隠そう†蓬理†@殺伐垢の中の人は、
生田 理人なのだ
彼からフォローされたので、私もフォローを返してしまったのだ
まぁ、それは置いておいて、
私は画面に目を戻す。すると
『†蓬理†@殺伐垢 @...... 少し前
今日はちょっとおバカなクラスメイトに質問されたんだよ「ねーねー、人間って何で出来てるの?」だってww
だから「タンパク質、もっと言うと 遺伝子かな」
「でも、君の場合はちょっとスパイスもあるかな」って言ってやったんだよw
そしたらそいつ教科書で顔隠して照れてんのwww』
と、ツイートされていた......
常「え、なにこれ」
流石にひどいだろ......
タンパク質の話なんて全くしてなかったし、スパイスってなんだよ!あいつが言ってたのは乗り物だけじゃん!
それにぃ、私教科書で顔隠して照れたか?!! 照れてねーわ! 教科書で顔すら隠してねーわ! てか どこで照れるポイントがあったんだよ?!! 皆無だったよ?!
反論のリプを送ろうとしたが、ハッと我に帰り、 こんなことに付き合ってられないと
スマホの電源を落としてポケットの中にしまった
生田 理人......
一体何がしたいんだ........
不定期更新にしようと思ってます