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72 宮村家・玄関
少女に化けたこざくらと賢治が会ってる。
賢治「わかった。今、叔母さんは出かけてるから、メールで伝えておくよ」
こざくら「ありがとう。賢治君」
賢治「でも、なんでその男達が怪しいと?」
こざくら「えっと……実は、昨夜もその男達を白虎神社で見かけたの」
賢治「白虎神社で?」
こざくら「それで、今朝になったら、白虎神社の御神木が枯れていたのよ」
賢治「ええ!?」
こざくら「怪しいと思わない?」
賢治「そうだね。とにかく上がって」
こざくら「うん」
賢治「実はおばちゃんがいろいろと調べてくれたんだ」
73 同・賢治の部屋
賢治とこざくらがミニテーブルを挟んで話をしている。
こざくら「材木業者?」
賢治「そうなんだ。四国の方でもね。御神木が突然枯れるという事件があったんだ」
こざくら「それも、除草剤なの?」
賢治「そう。犯人は悪質な材木業者だって」
こざくら「どうしてそんなひどい事を?」
賢治「太い大きな木は高く売れるからだよ」
こざくら「そんな!! お金のために神様の木を切るなんて」
賢治「まったくだ。今にバチがあたるよ」
メールの着信音。
賢治は携帯を操作する。
賢治「叔母さんからだ。さっきの話、警察に伝えておいたって」
賢治は携帯をテーブルに置く。
こざくら「……!?」
携帯の画面にリュックサックから顔を覗かせる狸のコザクラの写真。
こざくら「その写真、この前と違うね」
賢治「ああ。狸の写真いっぱい撮ったから」
こざくら「今でもその狸の事、気になる?」
賢治「うん。もう会えないって、分かってるのにね(寂しそうに)」
こざくら、化け玉を握り詰める。
こざくらМ「ごめんね。賢治君。あたし、本当はここにいるの」
こざくら「もし、その狸が人間の女の子に化けて、賢治君を訪ねてきたらどうする?」
賢治「え?」
こざくら「ごめん。変な事聞いて」
賢治「さあ、どうかな? でも、そんな事があったら嬉しいな」
こさぐら「え? そうなの!! 実は……」
賢治「え?」
こざくら「ああ!! なんでもないわ」




