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59 青竜神社(夕方)
狸達が集まっている。
長老が切り株の上に立つ。
長老「玄武神社と朱雀神社の御神木が枯れた原因は、誰かが御神木に除草剤という毒を注入していたためと分かった」
狸達がざわめく。
ハギ「なんで人間がそんな事を?」
アヤメ「人間だって御神木を大事にしていたのに」
長老「地元の人間はそうだ。だが、よそ者は違う」
ハギ「でも、なぜ?」
長老「分からん。だが、今後も御神木が狙われるとしたらなんとしても守らねば」
ハギ「どうなるのです?」
長老「森の調和が失われ、森は酸性雨に耐えられなくなり死の森と化す」
アヤメ「酸性雨ってなんですか?」
長老「大陸から風に乗って飛んでくる毒を含んだ雨だ」
アヤメ「雨に毒が! なんて恐ろしい」
長老「十五年前にも、この御神木は切り倒されそうになった事がある」
ハギ「姉さんが消えた時」
長老「そうだ。ハギの姉は森を守るために禁断の術を使い、命を落とした」
コザクラ「禁断の術?」
長老「化け玉は本来狸や狐を化けさせるために神様から与えられたもの。
だが、化ける以外にも能力がある」
ボタン「どんな力ですか?」
長老「雷を落とし、強風を起こすなど天気を操る術。そして怪我や病気を治す癒しの術」
コザクラ「どうやったらできるんですか?」
長老「化け玉を飲み込むんだ」
コザクラ「化け玉を?」
長老「変身中の狸が化け玉を飲み込めば神通力を発揮できる」
ボタン「スゲー!!」
長老「ただし。それをやった狸は力を使いきって死んでしまう」
コザクラ「ええ?」
ボタン「実際にやった狸はいるんですか?」
長老「いる」




