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50 森の中(夜明け前)
森の中をコザクラとハギが駆け抜ける。
ハギ「俺は見たことがあるんだ。化け玉が光るのを」
コザクラ「お父さんも化け玉を使えたの?」
ハギ「いや、使っていたのは俺の姉さん。つまりコザクラにとっての叔母さんだ」
コザクラ「叔母さん?」
ハギ「あの日、姉さんの化け玉が突然光り出したんだ」
コザクラ「……(光る化け玉を見る)」
ハギ「姉さんはその時、御神木様が呼んでると言って、駆け出して行った」
コザクラ「それで、叔母さんは?」
ハギ「それっきり帰って来なかった」
コザクラ「どうして」
ハギ「その時、俺は子供だった。何が起きたか分からなかった。
ただ、大人達に聞いた話だと姉さんは森を守るために死んだと」
コザクラ「死んだ?」
51 朱雀神社(夜明け直前)
朱雀神社で巫女の衣装を纏った少女(17)が苦しんでいる。
コザクラとハギが神社の中に入る。
コザクラ「あなたは、朱雀神社の御神木様」
少女「狸よ。わらわはもう駄目じゃ」
コザクラ「しっかりしてください。何があったんです?」
少女「あやつらに、毒を……」
コザクラ「毒!?」
ハギ「毒って!? どういう事です? あやつらって?」
少女の姿は歪み、白い煙のようなエクトプラズムになっていく。
御神木が枯れ始めている。
茫然自失のコザクラとハギ。
夜が白々と明けてくる。




