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49 巣穴(現実)
コザクラ「むみゃむみゃ。賢治君」
突然、若い女の悲鳴が響き渡る。
女の声「ぎゃああああ!!」
コザクラはパッと起きる。
首にかけてある化け玉が光っている。
コザクラ「なに? 今の?」
コザクラは周囲を見回す。
ハギとアヤメ、子狸達が寝ている。
コザクラ「お父さん。お母さん」
ハギとアヤメが目を覚ます。
ハギ「どうした? コザクラ」
アヤメ「怖い夢でも見たのかい?」
コザクラ「どうしたって、聞こえないの?」
女の声「うわあああああ!!」
ハギ「何が? ん(コザクラの化け玉を見る)おい。化け玉が光ってるぞ」
コザクラ「え?(化け玉を見る)」
ハギ「コザクラ。何か聞こえるのか?」
コザクラ「お父さん聞こえないの?」
ハギ「たぶん、それは化け玉を付けてる狸にしか聞こえない御神木様の声だ」
コザクラ「化け玉をつけてる狸だけ?」
眠っているランの方を見る。
化け玉はランから離れたころで光ってる。
コザクラ「御神木様? でも、女の声だよ」
ハギ「女? じゃあ朱雀神社だな」
ハギは穴の出口へ向かう。
ハギ「様子を見てくる」
コザクラ「あたしも」
コザクラも後に続く。
アヤメ「お前さん、コザクラ、気を付けて」




