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化け玉  作者: 津嶋朋靖
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35 コザクラの妄想

  賢治の足下にコザクラが駆け寄る。

  コザクラが人間の少女(12)に化ける。


36 森の中

コザクラ「あたしやりたい!!」

ハギ「やるって……いいのか?」

コザクラ「あたし頑張る!! 人間に化けたい」


37 青竜神社(翌朝)

  木々の間から朝日が差し込む。

  コザクラがラン、ユリ、キクを連れて神社に入る。先にボタンが弟のマンサクを連れてきている。

  狸達の前に長老が立つ。

長老「さて、お前たちの中から、化け狸を選ぶことになった」

コザクラ「選ぶって?」

ボタン「俺達全員じゃないんですか?」

長老「資質のない者は化けられん。よって、お前達に資質があるか、御神木様に見定めていただく」

コザクラ「御神木様って?」

長老「うむ。見た方が早いだろ。(御神木の方を向く)御神木様。姿をお見せください」

  御神木の小さな洞から、白い煙のようなエクトプラズムが湧きだす。

コザクラ「ひ!? なにこれ!!」

  エクトプラズムは次第に人の形となっていき、やがて白い簡素な着物を纏い、杖を突いた爺さんの姿となる。

コザクラ「な……なんなの?」

御神木様「狸達よ。怖がることはない。私はこの木に宿る精霊じゃ」

コザクラ「精霊?」

御神木様「かつては、この辺りの神であったがな、今ではほとんど力を失ってしまった」

コザクラ「神?」

御神木様「まだ力が残っていた頃、私は森を人間の手から守るために、お前達狸に力の一部を分け与えた」

コザクラ「それで狸は化ける事ができるんですか?」

長老「そうだ。だが化ける力は狸の中でも一部の者にしか受け継がれぬ」

コザクラ「なぜですか?」

長老「化け玉の数に限りがあるからだ」

コザクラ「化け玉?」

  長老は、木の洞に首を突っ込み、金の鎖に繋がれた勾玉を六つ咥えて出す。

長老「これが化け玉だ」

コザクラ「わあ!! 綺麗!!」

長老「この化け玉は、引退した化け狸が置いていったものだ」

  御神木様がエクトプラズムになり若い狸達を包み込む。

コザクラ「え? なに」

御神木様「狸達よ。その勾玉には私の神力が込められている」

コザクラ「神力?」

御神木様「その神力を引き出せば、お前達は望む姿に変化できる」

ボタン「どうやるんですか?」

御神木様「その勾玉を身に着けて、心の中で変化したい物の姿を思い浮かべよ」

  狸達は勾玉を口に咥える。

  ポンという音と共に狸達は煙に包まれる。

  煙が晴れる。

  キクはまったく変化なし。

  ユリは狸のままセーラー服姿に。

  マンサクは顔だけ人間になったが、身体は狸のまま。 

  コザクラは十二歳の少女こざくらに変身。

  ボタンは二十歳の青年ぼたんに変身。

  ランは六歳の少女らんに変身。 

こざくら「わあ!?(咥えていた化け玉を手に取って眺める)」

長老「変化できたのは三匹だけか。他の者は化け玉を置いて帰りなさい」

キク「ええ!? くれるんじゃないの?」

長老「化けられん者には必要ないだろ」

マンサク「俺化けられた」

  マンサクが長老の前でくるっと回る。

長老「化けられただと?」

マンサク「うんうん」

長老「これはなんじゃ!!(尻尾を踏みつける)」

マンサク「いたーい!!」 

  狸の顔に戻る。


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