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化け玉  作者: 津嶋朋靖
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34 森の中

  コザクラとボタンが向かい会っている。

ボタン「みんながどれだけ心配してたか……」

コザクラ「言われなくたって分かってるわよ」

ボタン「じゃあ、なぜすぐに帰ってこない?」

コザクラ「帰れるわけないでしょ!! あたし怪我して動けなかったんだから」

ボタン「とかなんとか言って、すっかりあの人間に懐いてたじゃん」

コザクラ「懐いてなんか……いないわよ!!」

ボタン「本当だろうな?」

コザクラ「なによ!! ヤキモチ!?」

ボタン「そ……そんなんじゃ……」

コザクラ「それにしても、よくあそこにあたしがいるって分かったわね」

ボタン「長老に聞いたんだよ」

コザクラ「長老に?」

ボタン「あの人間、前にも何度か怪我したタヌキを保護した事があるんだ。だから、コザクラも保護されているかもしれないから、時々様子を見にいくようにって」

コザクラ「じゃあ、あんた毎晩あの家に行ってたの」

ボタン「あ……ああ。(モジモジする)」

コザクラ「なんで?」

ボタン「なんでって……当り前じゃないか」

コザクラ「人間怖くないの?」

ボタン「あの人間は大丈夫さ。俺が行くといつも美味しい物くれるし」

コザクラ「なあんだ。あたしにかこつけて餌をもらいに行ってたのね」

ボタン「ち……違う!! そんなんじゃ……ああ!! そうだ、親父さんから聞いたか?」

コザクラ「何を?」

ボタン「俺達、化け狸の候補に選ばれたんだ」

コザクラ「ええ!? 聞いてないよ」

  巣穴からハギが出てくる。

ハギ「ちょうどよかった。俺から、今話そうと思っていたところだ」

  コザクラ、振り返る。

コザクラ「お父さん」

ハギ「狸が化けるという話は聞いたことあるだろ」

  コザクラは頷く。

ハギ「あれは本当なんだ。ボタンはこの前、見たから知ってるな?」

ボタン「あの時はびっくりしたよ。人間が突然長老になるから」

ハギ「長老以外にも化け狸がいたんだが、みんな歳を取ったので、若い狸に後をついでほしいというんだ」

コザクラ「それで、あたし達に?」

ハギ「だかな、断ってもいいんだぞ」

コザクラ「なんで? 楽しそうじゃない」

ハギ「楽しいことばかりじゃない。辛いこともあるんだ」

コザクラ「化けるのって、そんな難しいの?」

ハギ「化けるのは簡単だ。問題はその後。化け狸は森を守る義務がある。そのために人間に化けて人間を騙したりするんだ」

コザクラ「ええ!?」

ハギ「そのために人間の習慣を勉強しなきゃならん」

コザクラ「人間の習慣?」


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