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20:飢餓の追憶


 松明の明かりを照り返す無数の目の光が、地底湖の暗闇の中に浮かび上がる。

 足が竦むほど多くの視線は、しかし、長続きはしなかった。ヴェスパ人の死体たちはそれぞれにうなだれ、視線を足元に落としてしゃがみこんでいく。

 地底湖の底は一面が死骸に覆いつくされていた。魚、だけではない。蝙蝠だ。

 星のように松明を照り返す銀色の魚の腹とは対照的な、闇に紛れるような萎れた翼の蝙蝠の死骸の輪郭。それらもまた魚と同じように次々と死体たちにつかみ取られ、頭からかぶりつかれていく。何千何万――どれほどの数の蝙蝠たちが、この洞窟で世代を重ねていったのかを思い起こさせる。

『この群れの何処かに屍術師ペナクィテが紛れ込んでいるわけか』

 バーンスさんは斧を構えて上下左右に目を配る。

『天井にも何かいるようだが』

 見上げると、闇の中で天井そのものがずるずると蠢いているように見えた。――木の根に覆われているのだ。よく見ると、側面の壁もかなりの部分が根に覆いつくされている。活性バオバブの根はしっかりと地底湖を囲んでいるようだった。

 脇に抱えていたハープを足の間に挟んで、地図を確認する。地底湖はドーナツ型に広がっていて、棒人間のマーカーはまだ先、たぶん数キロは離れている。向こう側の、北側の岸辺にいるようだった。

「壁と天井は魔女が固めてくれています。今のうちに向こう岸に行きましょう」

『そこにいるんだな』

 バーンスさんは斜面を駆け下って、湖底へと降りていく。松明も持たずに先行しないでほしいものだと思いながら巻物(スクロール)をしまって後に続こうとしたが、

『来るな』とバーンスさんが叫んだ。

「どうしたんですか」

『足元が悪すぎる。腰まで埋まってしまった』

 松明をバーンスさんへ向ける。バーンスさんは周囲の死体をなで斬りにしながら暴れているようだったが、動きが悪い。胴当てから下が死骸の中にうずもれてしまって、ろくに歩けないようだった。

『魚と蝙蝠の下に、もっとぬるついた別の生き物の死骸があるぞ。足がくすぐったくてかなわん』

「引き上げます。斧をこっちに向けてください」

 ハープをいったん脇に置いて、しゃがみこんで片手を伸ばす。バーンスさんは血のりで汚れた斧の先をこちらに向けた。いつもの握力なら掴むことすら難しいだろうが、真鳥の魔法が効いている。片手でぬるつく斧頭を掴んで、そのまま引っ張り上げることもできる。

 ずるずると引き上げられたバーンスさんの脚には、クラゲのような透明な生き物の触手が引っかかっていた。これが湖底をかさ上げして、まともに歩かせてくれないらしい。

『すまない』

 バーンスさんは苦々しい顔つきで触手を払いのけ、立ち上がる。

『人間の餌どころか、魚の餌まで蘇らせる意味があるのか? 屍術師ペナクィテは一体ここで何がしたいんだ』

「同感です。死体が襲ってくるわけでもないし」

『……なんにしても、ここまで来て足止めか。魔法でなんとかならんのか?』


 ――どうする、真鳥。

(えっとね、バーンスさんにバンザイするように言ってくれない?)

 ――バンザイ?

(うん。服部くんもバンザイしてね。松明とハープしっかり持っててよ)

 ――それでどうにかなるのか?

(まあね)


「……バーンスさん、斧を持ったまま両手を上げてみてもらえますか?」

『何を言っている?』

「魔女からのお達しです」

 バーンスさんは顔をしかめて、斧の柄を両手で持ったまま頭の上に振り上げた。

『これでいいのか?』

「たぶん」

 ハープと松明をそれぞれ握りしめて、俺も両手を高く上げる。


(舌噛まないようにね)


 腰に何かが巻き付いた――そう気づいた瞬間、宙に持ち上げらていた。

 壁から伸びてきた太い根が巻き付いているのだと理解したときには、もうどうしようもなかった。まるでピンボールにでもなったような気分だ。高く持ち上げられてから大きく斜め後ろに反動をつけられ、そこから凄まじい勢いで斜め上に放り投げられる。腐った空気の抵抗を肌で感じる。――角度がつきすぎている。このままじゃ天井に激突する。どうにもならない虚しさを感じながら足をばたつかせると、その足の先が新たな触手に掴まれる。股が外れるかと思うような衝撃が股関節に突き刺さり、悲鳴を上げたくなったが、ガチンと閉じた顎がうまく開けない。

 振り子の要領で掴まれた触手を軸に回転しているのが分かる。――また、反動をつけられている。胃が裏返って口から飛び出してしまいそうだ。天井付近から真横に投げつけられ、落ち始めたところでまた次の触手に掴まれる。あはは、そうかなるほど、ターザンの要領だ。こうやって根っこに投げ飛ばされながら向こう岸まで運び去られるのだろう。勢いでハープの支柱が頭に当たり、松明の炎が髪を焦がすが、やがて風圧で消えてしまう。視界が奪われた恐怖に鳥肌が立ったが、やがて流れていく視界の中に、淡い明かりが目に入る。

 どうやら目指すべき向こう岸には、幾つかのかがり火が焚かれているようだ。さっきの場所から見えなかったのはドーナツ側の地底湖のちょうど真向いだからだろう。

 バーンスさんのことが心配になったが、


(次で下ろすよ)


 確認している余裕はない。何処が天井で何処が壁か分からない。なんとか再び明かりを視界の端に捉えたところで、急にふわりと、緩いトスでも上げられたかのように宙に放り投げられる。ジェットコースターの頂上のような浮遊感が、足元から地面に飲み込まれていくような絶望感に変わっていく。下を見たくないけど見ないと死ぬ。落ち着け着地しろ――いや無理暗すぎ――地面何処だよあはははは――

 ジタバタしながらテンパってるうちに、壁から素早く伸びてきた一本の根が腰にまとわりついてくる。根は器用に落下の速度を殺しながら俺を受け止め、ゆっくりと岸辺に下ろしてくれた。


 心臓がバクバク鳴っている。体のそこかしこからひりつくような痛みを感じる。何か考えなければと思うのだが、やる気に思考が追いついて来ない。えーっと、今まで何をしてたんだっけ。

 自分の両手を見ると、火の消えた松明とハープをちゃんと握っていて、なんだかおかしかった。むしろ放そうとしてもうまく手放せない。恐怖で手先が固まってしまっているようだ。


(大丈夫?)

 ――二度とやるなよ。死ぬかと思った。

(慣れたら楽しいよ、きっと)

 ――他人事だと思って……。


『うおおおおおお――』

 頭上からバーンスさんの悲鳴が聞こえてくる。とっさに身を躱すと、俺が下ろされたのと同じところに、大の字になって思いきりよく落下してきた。

『ぐっは』

 うめき声と共に重たい落下音が響く。大丈夫かと駆け寄ると、後頭部がかなり地面にめり込んでしまっているのが分かる。これはやばいなと思ったが、バーンスさんはすぐにむっくりと体を起こした。

「……大丈夫、ですか?」

『くそ、根っこに斧を取られた』

 バーンスさんが地面を拳で叩いていきり立つと、そのすぐ傍に、続いて斧が落ちてきた。


(バーンスさん、斧で根っこを叩き切ろうとするんだもん。バオバブが怒っちゃって)

 ――言っとくけど俺も怒ってるからね。

(ごめんね。それより女の子女の子、生存者を救出しなきゃ)


 軽く流されてイラっと来るが、たしかに真鳥の言う通りだ。

 周囲を見回すと、まだ火のついているかがり火が幾つか残っている。バオバブが水を吸いつくす前から、浸水していなかった証だろう。

 松明に火を付け直して足場を探る。どうやらここは高台になっているようだ。湖底をうろつくヴェスパ人たちの目の照り返しからはかなりの距離がある。生き物の死骸も少なく、蝙蝠が幾らか落ちているだけで、魚とクラゲはいない。

 見回したが、周囲にヴェスパ人の姿は見受けられない。ハープを置いて巻物スクロールを開くと、棒人間のマーカーは東側の少し離れた場所にあった。

 ――いよいよか。

 いつでもハープが弾けるようにバーンスさんに松明を持ってもらい、二人で東へと歩いていく。しばらくは緩やかな下り斜面が続いていたが、唐突に高台は途切れ、古い神社のそれのような急こう配の階段が折れ曲がりながら続いている。

 その階段の踊り場で、一人のヴェスパ人の女の子がうずくまり、足元の蝙蝠を拾い上げていた。背中越しに見ても分かるほど体をガタガタと震わせて、怯えている。簡素な白い前掛けとスカートを着ているおかげで、生きているのだとはすぐに分かった。死体のヴェスパ人たちは誰一人として服を着ておらず、膨らんだ腹をさらけ出しているからだ。

 女の子は手元の蝙蝠をゆっくりと持ち上げ、顔の辺りに持っていく。

「食べるな!」

 思わず叫んで駆け寄ると、彼女はひきつけを起こしたように背筋を伸ばしてからこちらを振り返った。暗いせいで表情はよく見えないが、口元の周囲が何かでひどく汚れているのは分かった。

「こっちに」

 手を掴んで無理やり階段の上まで引っ張っていく。女の子の抵抗はほとんどない。細い腕、軽そうな、あまり肉のついていない体。典型的なヴェスパ人そのものだ。力を入れすぎないように気を遣う。

 階段から少し離れた足場のいいところまで戻ると、

『吐しゃ物か』と、彼女の顔を照らしたバーンスさんがうめいた。

 女の子の顔と服は、吐き散らかした死骸の残骸で薄黄色に汚れきっていた。――どうやらかなりの量を食べてしまったらしい。

『君はまだ生きているのか』

 バーンスさんは問うが、答えはない。女の子は何かを探しているようにきょろきょろとするばかりで、心ここにあらずといった様子だった。

「生きているはずです――脈はある」

 手首を取って確認を済ませると、

『なら、指でも突っ込んで吐かせようか』とバーンスさんは言う。『こんな得体のしれない死骸なんぞ食っていたら、どのみち死んでしまうぞ。なんで食ってるのか分からんが……。この子が屍術師ペナクィテだとしてもよく分からんな』

「ですね。――君の名前は?」

 女の子は俺の質問が聞こえていないようだった。また足元の蝙蝠を拾おうとするので、慌ててその手を掴んで止める。

「聞こえてないな」

『押さえておけ』

 バーンスさんは斧を地面に置いて、その上に松明を重ねるようにして置いた。俺もハープを壁に建てかけて、女の子の華奢な腕を押さえる。

 バーンスさんは容赦なく顎を掴んで女の子の口を開かせ、おもむろに指を二本突っ込んだ。ちょっと引いてしまうくらいに遠慮のない指の動きに女の子はたまらずうめいて、すぐに大量の吐しゃ物を吐き出した。――相当な量を口にしていたらしく、黒っぽい塊が後から後からこぼれ落ちていく。

『馬鹿馬鹿しい。こんなことをするために地底に下りてきたわけじゃない』と愚痴りながらも、バーンスさんは吐き気の収まりかけた女の子の顎を再び掴む。何も吐かなくなるまで徹底的にやるつもりなのだろう。優しさはないが、合理的ではあった。


 やがて、嘔吐を繰り返した女の子の口からは胃液すら出なくなった。もらいゲロをしないために別のことを考えようと気を逸らしているうちに、ザニカが漏らしていた彼女の名前を思い出した。

「たしか君は、ポキィと言ったね。ギィルメロン家の娘さん。お父さんの名前はザニカ。お兄さんはシーゲルだ。合ってるね?」

 女の子はしばらく空嘔吐と咳を繰り返すばかりだったが、

『……違う』

 喉風邪を引いているようなしわがれた声で、そう答えた。

 ――違う?

「なら、君は……」

『私は――キスキア』

 女の子はそう呟くと、突然地面にかがみ込んで、吐いたばかりの自分の吐しゃ物をすくいとり、再び口に入れようとする。

「やめろって」

 慌ててその手を押さえつけ、後ろから抱きかかえるように拘束する。

『放して。お腹空いてるのに。食べさせてよ』

 キスキアと名乗る女の子は脚をばたつかせ、腕に噛みついて抵抗してくる。かなり強い力だ。魔法で強化されていなければ肌が噛み破られていたかもしれない。

『気がふれているな』

 バーンスさんは斧と松明を拾い上げる。

『どうする。連れていくのか、それとも――』

「殺しはしません」

『よく分からんものは始末しておくに越したことはないと思うがな』

「この子が屍術師ペナクィテだとしても、殺しません。――暁の魔女は生き物の精神を読み取れますから。彼女が生きてさえいれば、事態を解決する手がかりになるでしょう」

 というか、そもそも人を殺したくないのだけれど、そういう感情をバーンスさんと共有するのは難しそうだ。なんとか理屈をでっちあげて納得してもらわなければ。

『もう少しはっきり言え』

「最悪なのは、屍術師ペナクィテを殺しても、沼の水位が増し続けることですよ。死んでも解けない魔法だってこの世にはある」

『……その可能性は考えてなかったが。あるのか? そんなことが』

「ありますよ。俺の育った国ではわりと一般的な現象です。恨みを持ったまま人が死ぬと、落雷で貴族が死んだり、首だけで空を飛んだり、呪いのビデオを見た人が死んだりします」

『ビデオ……?』

「ともかく、いろいろと問題が起こるんですよ。それより、キスキアという名前に心当たりはありませんか」

『心当たりか。ヴェリア人によくある名前だということは分かるが、それ以上はな』

 ――ヴェスパ人ではなく、ヴェリア人の名前か。

『その子を抱えたままさっきみたいにぶん投げられて進むのは難しいだろう。他の道を探してくる』

 バーンスさんはそう言って、松明と斧を持ったまま高台の西の方へと歩いていった。


 近くのかがり火まで女の子を引きずっていく。ひどく暴れて足元に落ちている蝙蝠に手を伸ばそうとするので扱いづらい。吐しゃ物まみれの口で何度も腕に噛みついてくる姿を見ていると、無性に不安になってくる。

「このかがり火は君がつけたの?」

 適当に質問をしてみても、

『うるさい。何か、食べさせて』

 聞く耳を持たない。このまま連れていくにはかなり骨が折れそうだ。バーンスさんが戻ってきたら、ハープでも聞かせて意識を奪う他なさそうだった。


(ね、服部くん越しに誘導催眠かけてみるからさ、思ったことをそのまま口に出してみてくれない?)

 真鳥が唐突にそんなことを言う。

「催眠ね。通用すればいいけど」

(そうそう、そんな感じ。じゃ、やってみるから。頭の中空っぽにしてね)


「君はキスキアじゃない。ポキィだね」

『違う。私はキスキアよ』

「だって君の体はヴェスパ人だ。ヴェリア人の体じゃない。だから君はヴェリア人のキスキアじゃなくて、ヴェスパ人のポキィだ」

『違うわ』

「違わない。君はキスキアじゃない。ポキィだ」

『違うわ。だってこんなにお腹が空いてるんだもの。私はお腹が空いているんだもの』

「どうしてキスキアはお腹が空いているの?」

『だってヴァネッタが何も食べさせてくれなかったから!』


 そう叫んだ途端に、彼女の体がひどく震え始め、全身から汗がにじみ出てくるのが分かった。


『ヴァネッタは何も食べさせてくれなかったの。ヴェスパ人に鉄の檻を作らせて、そこに私を入れて、自分ばっかり美味しいものを食べて、匂いだけを嗅がせて、どんなに頼んでも、泣き叫んでも、食べさせてくれなかったの。あいつは私を断食芸人と呼んで、みんなの前でさらし者にしたの。昼間は市場の傍に放っておかれたの。通りかかる人がみんな私に向かって食べ物を見せびらかしたわ。でも誰もくれなかったの。下賤なマルダ人やヴェスパ人だけならまだしも、ヴェリア人まで一緒になって、私をいじめたの。小石を飲んだら食べ物をくれるって言うから、私、頑張って、飲んだのに、嘘だったの! 誰も食べ物をくれないの!』


 ――これは、記憶か。

 ヴァネッタに拷問された、魔法に目覚めた十四人のヴェリア人の少女。キスキアは、そのうちの一人の名前。

 真鳥の魔法の通り道になっているせいか、俺の脳裏にまで記憶が流れ込んでくる。

 

 まともに立っていられないほどのひどい腹痛。カラカラに乾き、開けるたびにじくじくと痛む唇を必死に動かして、檻の外へ向けて懇願している。細い腕を懸命に伸ばして、にじむ視界の先の青い果物を手に取ろうとする。

 だが、それを持っているヴェスパ人の老人は、しわだらけの顔に笑みを浮かべて、ぎりぎり手の届かないところで果実を上げ下げしてからかってくる。殺してやりたくてたまらなくなるが、哀れみを乞わないと果実が手に入らないのだと思い直して、必死で笑顔を作ろうとする。お願いお願いと繰り返す。だが老人は果実を少しずつ自分で齧り取ってしまう。このままじゃなくなってしまう。なりふりかまっている場合ではない。君は魔法を使おうとする。君は乾きの魔法が使える。体中の水分を気化させて、どんな生き物でも一瞬で蒸し焼きの燻製にすることができる。私の果実を食べられるくらいなら殺してやるとそう思う。

 けれど魔法は使えない。他の食べ物の匂いが君の集中を妨げる。足元を見ると、そこには美味しそうに肉汁をしたたらせる鹿の丸焼きが落ちている。そんなわけがないと思いながらも、君は必死で鹿肉にかぶりつく。口の中から土の味がする。生き物の糞の臭いもする。本当は今何を食べているのだろう。いいや、これは鹿肉だ。そうに違いない。そうでなくては困る。死んでしまう。

 嘲笑が檻の中に木霊する。糞を食べる君を四方に群がっている子供たちが馬鹿にする。

 顔を上げると、いつの間にか、そこにはヴァネッタが立っていた。

 汗一つかかないきれいな顔をして、退屈そうな眠たい目で、君を見下ろしている。

『あと一日耐えることができたなら、ここから出してあげましょう。食べ物をあげましょう』

 君は、頭の片隅では気づいている。

 もう何日も、何日も、あと一日と言われていることに。

 けれど彼女の言葉を信じたいから、しなを作って懸命に笑いかける。

『反省しているんです』と君は言う。

『悪いことをしました。反省しているんです』

 ヴァネッタは何も言わずに檻の前から歩き去る。君は泣く。泣いているような気がするけれど、涙が出なくてよく分からない。


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