第二話編入試験
一同は今、森の中を進んでいる。森の中には木々が生えているがそれ以外の植物らしき物は見当たらない。ここは森といっても砂漠の上にあるのでこの木々以外の植物はないのだ。しかし逆にこの木だけ生えているの理由がある、それは砂である。この世界の砂漠の砂は生活に置いて重要なエネルギー源なのである。この砂が結晶化した物を魔法結晶と言い高価取り扱われ、その魔法結晶を使いレプリカ魔法を使う事ができるようになるらしい。そんな砂の力で進化したのがこの砂漠の木である。この森の木はマジックウッドと言う名前でとても固いのが特徴だ。その木の根は15mもの長さらしい。木の枝を切り加工を加えると自分に合った魔法を使う事ができる。
森を進む中ステルがイレーネに話しかける。
「なあ、なんで俺らを連れて行ってくれるんだ?」
「あなたにやってほしい事があるのよ」
「何をするんだ?」
「総合学院戦闘祭で私がいる学院の生徒として出てもらいたいの」
「何だその総合戦闘なんちゃらってのは?」
「ええ、それはね……」
イレーネは総合学院戦闘祭について話し出した。総合学院戦闘祭はセルフィンド王国内の学校の間で行われている年間行事である。学校同士は各分野で代表を出し合い戦闘を行う、その成績がいい学校は高い支援金や武装機・施設を配当させてもらえるらしい。しかしイレーネの学校は連年負け続きでお金も資材も充分には揃ってないのだとか。そのため彼女達は一番配当物量の多い、全分野総合戦闘で勝ち進んでくれる人員を探していたのらしい。
「そう、だからうちの学校に編入して欲しいの」
「ちょっと待て、おいどうするルア?」
「ふーん、でもあんたも色々勉強しといた方がいいんじゅない?」
「そうか?ならそれでもいいのかな?じゃあ学校に入るのも悪くはないな」
「本当!じゃあ、あの、編入試験を受けてほしいんだけど」
「へー、で、どんな試験なんだ?」
「あ!森を抜けるわよ!」
視界いっぱいに光が入ってくる。森を抜けるとそこには広いひろ~い草原が見えたこの場所は第一草原と呼ばれ国を囲むように第二第三と四つに分けられている。草原の向こうにはとても大きな城とその下でとても広い範囲で城下町が広がっている。その町では技術が発達していてとても豪華な町並みに見える。草原の中にも道はあり間隔は離れているがそこらには家も建っている。砂漠ではないのは土を作り出すことができる魔法具を作ることが出来たからだそうだ。
「この草原の建物には森での出来事や他国の情報を国に伝える役割を持っているらしいは」
「へー」
話ながら歩き進み町の中までやって来た。見渡せば町の人々の活気ずく姿が見える。そんな姿を見ながら10分ほど進むと白い塀に囲まれた建物が見えてきた、かなり広い範囲の土地を使っている。校舎も綺麗なようだ。
「結構広くていい場所なんじゃないか?」
「ダメなのよ、他の学院は土地は同じくらいでも最新研究施設や武器武装機部屋時には異空間施設まで配備してる所もあるよ」
「でも土地は広いだろ」
「ええ、でもこの土地は数十年前に英雄と呼ばれた人たちが手に入れたもので施設・設備も数十年も前の物なのよ、他の学校は毎年毎年最新設備を手に入れていて今のままじゃそのうち廃校なのよ!廃校になったらきっとあの人への借りできっと………」
涙ごもりながら話しているイレーネ。借りって何だろう?そんなことを思っていると学校の前まで来ていた。学校の門の前の壁には学校名精霊魔法学院と書いてあるが少し錆びている。
「じゃあ行きましょうか」
「ああ」
学院の中に入ると目の前の道を進んだところにコの字型に建つ四階建てのとても大きな校舎がある、右側には宿舎がありこちらから見ると校舎側が女子寮で奥が男子寮になっている、宿舎の反対側には集会を行うための大きめの教会があり、教会は塔がありかなり高い所までつずいている、その塔の最上階には毎日朝にならされる鐘があるスペースは密会するには穴場なのだとか。その向こう側には校舎と繋がった闘技場があり、その闘技場と繋がっているとなりには研究室と戦闘用の道具の備品庫を兼ねた研究棟があ。研究棟では二年ずつに行われる魔研大会での魔法研究が行われている。その反対側つまり宿舎側だがそこには図書館が配備されている。建物から建物には真ん中に噴水があり十字路で繋がっている。
「じゃあ早速院長に会いましょうか」
「ああ、いいぞ」
校門からつずく十字路を真っすぐ進み噴水を横切り校舎へ入る、今まで誰にも合っていないと言う事は今は授業中なのだろう。玄関から歩いてすぐにある階段を上っていく、最上階の四階につく。階段から廊下を挟んでその奥に道がある。この道は四階にしかなくその奥の部屋にも四階からしかいけないようだ。
「この道を進むと院長室よ」
無言のまま進んでいく。扉の前で軽くノックする。
「失礼します院長」
「どうぞ」
返事をもらいイレーネから部屋の中に入って行く。
「どうしましたか?イレーネ」
落ち着いた物腰で話す院長。
「はい!この学院へ編入させたい生徒がいましてその……」
「そうですか、こちらとしても入学したい生徒は大歓迎なんですが、編入試験は厳しいですよ?」
「はい!是非受けさせてください!」
受けるの俺なんだけど、と思いながら話を聞く。
「そうですか、ならば試験を行いましょうか。では闘技場に行きましょうか」
「ええ!」
俺まだ何も話してないんだけど…そのまま部屋の外に出る、院長室までの道を出て右の廊下を進んでいく、途中で一つの部屋に入り先生を呼んだ。この四階は職員のへやなどになっているらしい。廊下を進み角には大きなドアがありその先に行くと観客席がある。闘技場の入り口はここと3階にあり研究棟からも入ることができる。闘技場は直径100mの円形で地面は砂である。2階上の高さにある観客席に等間隔に光る球体が配備されている。その球体に囲まれた地域は死にそうになった時緊急転送出来るようになっているらしい。
闘技場を見渡していると院長が話し出す。
「それでは試験を始めます、いいですか?」
「は、はい」
「先ほど呼んだのはグルーダ先生その担当教科は魔法学です」
「よろしく」
「ではこれから、あなたは彼と魔法で戦闘してほしいんです。魔法具はここにあります、どれを使ってもいいです」
そこには机がおいてありその上に木の杖などの道具がいくつか置いてある。
「あ、魔法使う道具なら自分のでもいいんですか?」
「ああ、その体につけている道具ですか?よろしいですよ」
「では早速始めましょうか。先生よろしくお願いします」
「はい!それでは私は反対側に行きますのであなたはそこから中に入ってください」
そう言い走り出す先生、ステルはいきなり走り出すとそのまま空に向けてジャンプする。上に上がりながら体を回し頭を下に向け足を曲げるするとそこでステルの体は止まり更にその場を蹴りだし地面に向かう、更に体を捻り地面で砂煙も立てずに着地する。
「いっ、いったいなんですかあれは?」
「さ、さあ?何でしょう?」
戸惑い気味に会話する院長とイレーネ。先生は走っているので見ていない。そこで先生が到着し話しはじめる。
「それでは編入試験を始めましょう。試験内容は魔法使う戦闘で私と戦闘し及第点を取るわかりましたね?」
「はい」
「それでは始めましょうか。院長お願いします。」
院長ははっとして声を出す。
「あっ、ええ。それでは編入試験を始めます。どうぞ始め!」
スタートの声を聞き手を前に出すステルだった。