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未来の君への贈り物  作者: 宮渡 暁
二つの日常
39/41

日常に戻ろっか

………………………………。

雅という男性に会ってから三日。あれから何の進展もなく、私たちはただのニートになりかけていた。

「ねぇ、真紀。」

「なぁに?」

あれから真紀は寝ずにひたすらゲームだけをしている。もうここまできたらゲーマーを超えているだろう。

「明日から学校行かない?」

「実は私もそれ考えてたところ……。」

真紀は缶詰を開けながら言った。やはり真紀もそろそろこの生活が飽きてきたのだろう。

「じゃあ、今から帰る準備しよっか。」

私たちは立ち上がると、持ってきたものの整理をし始めた。

「とりあえず捨てれるものは捨てて行こうよ。来るときみたいに重いのは嫌だし……。」

「え……うん、わかったよ……。」

なぜか残念そうな真紀。私はそれに構わず作業を進めた。

「……まぁ、こんなもんでしょ!真紀、そっちの片付けすんだ?」

そう言って真紀の方を振り返ると、少量の荷物があるだけで、ゲームやマンガなどは一切なかった。

「あれ?真紀、ゲームとかマンガは?」

「捨てたよ?」

「え?」

「まぁ、いいんだよ……全部読んだし、全部クリアしたし、私は満足だから。」

「い、いや、確かに入らないものは捨てよって言ったけどさ、いるんだったら持って帰っていいんだよ?」

「そんなこと言ったら全部だよ?」

さすがにそれはやめてほしいが……。

「じゃ、じゃあ、マンガはともかくゲームは持って帰ろっ!高く売れるかもしれないし!」

私がそう言うと、真紀はもう一度荷物の整理をし始めた。

結局荷物はかなり重くなってしまった。来るときに比べればかなり軽い気もするが、それでも重い……。

「と、とりあえず私の家行こう!真紀の荷物もあるし!」

そう言って私たちは登山客のように重い荷物を背負うと、ヨロヨロしながら帰った。


「た、ただいまぁ……。」

「あら千紗、真紀ちゃんお帰り!学校休んでの長旅はどうだった?」

「かなり苦痛だったよ……。」

今更だが、これほど学校をサボって一度も怒らない母が不思議で仕方ない。

「二人ともロクなもの食べてないんでしょ?味噌汁あるけど食べる?」

私たちはコクリと頷くとダイニングへ向かった。

「お、美味しい……。」

思わず声が漏れる。毎日缶詰だったからか、いつも以上に美味しく感じた。

「おかわりもあるから、たくさん食べなさい?」

私は結構勢いよく食べていたつもりだったが、それ以上に真紀のペースがすごかった。私など全く比になっていない。結局私は一度しかお代わりできず、真紀が残りを平らげてしまった。

「ママさん、めっちゃ美味しかったです!」

満面の笑顔で真紀がそういった。

「あらほんとっ?じゃあ晩御飯も頑張るからね!」

そう張り切る母。私のお母さんは普段こういう人だったっけ……。


食事をとった後私たちは部屋に戻った。

「ママさんの味噌汁、マジ神だね!」

「最近ロクなもん食べてなかったからでしょ。」

そう言うと笑い出す私たち。

「さて、千紗、これからどうするの?」

「これからって?」

「結局康太くんに会えなかったけどさ、これからも探すの?」

「んー……いや、待ってるよ。いつか私の家に来てくれると思うし、学校もあるからね。」

少し考えて私はそう言った。

「そう、なら私も明日から学校行くよ。」

「いや、学校行くの普通だからね?」

「わ、わかってるよ!」

また私たちは笑い出した。

「私……今から家に帰るわ。」

「…………そっか。」

不思議と私は真紀を止めはしなかった。

「そんじゃ、また明日学校で!あ、保健室でもいいかも!」

「……ちゃんと授業でなきゃダメだよ。」

そう言うと、真紀は家から出て行った。

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