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未来の君への贈り物  作者: 宮渡 暁
二つの日常
36/41

パプリカ

「お……終わった……。」

整理が終わった頃には、もう昼過ぎだった。

「なんか食べるー?」

真紀が持ってきた缶詰を漁りながら私に聞いた。

「え?なんか作ってくれるの?」

「まぁ、軽くなら……。」

そう言うと、真紀は持ってきた食パンにツナを乗せ、その上にマヨネーズをかけ、レンジに入れた。

「おぉ!簡単だけど真紀にしては凄い!」

「私のことバカにしてるでしょ……。」

「いや、だってアニメのことしか頭にないと思ってさ……。」

「これでも家ではちゃんと朝ごはんは作ってたんだよ?ウチのお母さん、いつも忙しいから。」

真紀はきまりが悪そうに話した。

「そっか……そーいえば真紀のお母さんあったの来ないけど、どんな人なの?」

「えっと……西川暦だよ。」

「え?西川暦似なの!?めっちゃ美人じゃん!」

「似じゃなくて、西川暦なの!ウチのお母さん女優なのよ!」

「ほえっ?」

いやいやいやいや、西川さんていえばあの大女優だよ!?もう40過ぎなのに20歳の子にも負けないくらいの美しさを誇るあの西川さんだよ!?なんでそんな人の子がアニメ好きだったりするの!?

「信じてないでしょ!」

「そ、そりゃ信じられるわけ……。」

私がそこまで言うと、真紀は携帯から一つの動画を見せた。

「な、何これ?」

「西川暦のお風呂上がり。」

そこには風呂から出た後アニメを見ながらお酒を飲んでいる西川暦の姿があった。

「……ごめん、やっぱそっくりだわ。」

「まぁ、そんなことはいいんだけどさ、千紗、康太くんが来るまでどうしてるの?」

「どうしてるって?」

「康太くん、まだまだ来そうにないけど……。」

真紀はドアの方を見ながら言った。確かに来る気配すらない……。

「まあ、のんびりして待つよ。ケータイでもいじりながら。」

けれどそうは言っても、何時間もそうしていることはできず、私は限界を感じていた。

「ま、まだ来ないのかな……。」

「さぁ……まだまだ来ないねー。」

真紀はゲームに集中仕切っているからか、返事が素っ気なかった。

「ちょっとコンビニ行ってくる。」

真紀にそう言うと、私は部屋から出て行った。

「とりあえず立ち読みして、なんかケーキとか買って帰ろっかな。」

幸いここからはコンビニは近い。2.3分あれば着くだろう。

「てか、もう真っ暗じゃん。」

私は急ぎ足でコンビニに向かった。こんな真っ暗なとこ、一人でいられるわけないじゃん……。真紀なら行けるかもだけど。

そんなことを考えながら歩いていると後ろから急に肩を掴まれた。

「きゃーー!!!……ん?」

私の肩を掴んだのは楓だった。

「か、楓、何してんのこんなところで。」

「別に、バイトの帰りだけど?」

返事は素っ気なかった。

「そ、そうなんだ。私はコンビニ行く途中なんだけどさ、一緒に行く?」

「行くわけないでしょ。」

そう言うと楓は私と反対の方向へ歩き出した。

「追いかけるべきかな。いや、でも……。」

「やめときなよ。」

後ろから真紀の声が聞こえた。

「向こうが避けてるんだし、こっちが必要以上に構う必要なくない?」

「そ、そうだね。」

私は真紀に頷くと私はコンビニに歩き出した。

「なんかデザート買わない?」

「じゃあパプリカプリン買おっ!」

…………聞いたことないよ、そんなの!!

「あ、これこれ!」

そう言うと真紀は真っ赤に染まったプリンを私の持つカゴに入れた。

「なんか、色がキモいね……。」

「何言ってんの?黄色いプリンのほうがキモくない?」

いや、そっちが普通なんだけど……。

「千紗これね!」

「……何それ?」

「スモークパプリカ!」

「え、あ……うん。」

反論できないので、私は黙って真紀がカゴに入れるのを見ていた。


「うほっ!やっぱ上手い!」

「ヤバっ!スモークパプリカ激ウマ!」

真紀がカゴに入れた意味不明なものだったが、まさかここまで美味しいとは。人間の進化を改めて感じた。

「そーいえば、結局今日来なかったね。」

「え?誰が?」

「いやいや、康太くんに決まってるでしょ!」

私が言うと、真紀が今思い出したとでも言わんばかりの顔をする。

「……なにしに来たのよここに。」

「いやー、楽しすぎてつい……。」

「しっかりしてよー!てかこの部屋時計ないじゃん!」

「えっと……今夜中の三時だね。」

「え?まじ?」

時間がわかった途端、私は急に眠くなった。

「あれ、なんか眠気が……真紀、そろそろ寝ない?」

「私、今も寝てるけど?」

あ、そうか。真紀、遊びながら寝れるんだっけ……。

「そんじゃ、私寝るわ……。」

「ほーい!おやすー!」


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