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未来の君への贈り物  作者: 宮渡 暁
過去の君との出会い
13/41

さてどうしましょう…

「あ、千紗ちゃん大丈夫?朝から保健室にいたんでしょ?災難だったねえ。」

そう話しかけてきたのは私の彼氏が26歳だと勘違いして話しかけてきたクラスメイト。名前は……

まぁいいや。

「あ、これノート取っておいたから使って!」

彼女は自分のノートを私に渡すと、その場を去っていった。

「千紗ー!」

そう叫んだのは真紀。その後ろに楓。

「早く帰ろー!」

…結局この二人は学校に何しに来たんだろうか。


「でさでさ!どうする千紗ちゃん!?今日返事しなきゃならないんでしょ?」

真紀が顔を詰めて聞いてきた。

「う、うん。断っちゃおうかな。」

「えー!?なんで!?」

そう言ったのは真紀ではなく、今までずっと黙っていた楓だった。

「ど、どしたの楓?急に。」

「千紗、あんた何を思ってそんなこと言ってるの?」

「な、何って…。だって康太くんに記憶失って欲しくないし…。」

「それはあんたじゃなくて、康太くんが決めることでしょ!あんたは付き合いたいか付き合いたくないか、それだけを考えればいいのよ!」

楓はそう言い切った。

「もし康太くんがタイムマシンにのらなかったら10歳年上の康太くんにも会えるわけだし、私はそれでいいと思うんだけど…。」

「なにあんたが熱くなってんのよ!」

そういうと真紀は楓の背中を軽く叩いた。

「べ、別にそういうわけじゃ…」

「もしかしてあんたも康太くんのこと好きなの〜?」

「ちょ!真紀!?」

楓は真紀を追いかけて全力で走り始めた。


…もし康太くんと付き合うことになったら、康太くんは無茶しないでいてくれるだろうか。楓にさっき自分のことを考えるように言われても、そんなことを考えてしまう。

「千紗ー!早くしないと置いてくよー?」

気がつけば二人とももうあんな遠くまで走っている。でも私は、この時だけは後を追わなかった。追いかけるより見えなくなるまであの二つの背中を見ていたい。なぜかそう思えたのだ。

しかし、私の期待を裏切り、二つの人の形はどんどん大きくなる。


…なんで戻って来てんのよ!


すると反射運動だろうか。私は反対方向を向くと全力で走り出した。

「ま、待ちなさい千紗ー!」

「なんで戻って来てんのよ!」

「あんたが追いかけてこないからでしょー!」

確かに一理あるが…。


「つ、疲れたー!」

家に着いた私は靴を脱ぐとその場に倒れこんだ。


も、もう動けない…。


「起きなさい千紗!こんなとこで寝てたら風邪ひくわよ?」

台所から母が出てくる。包丁とオタマを持った状態で…。

「お母さん。」

「なぁに?」

「なんで私の周りって変な人ばっか集まるのかな?」

「あんたが変だからじゃないの?」

いや、わかってる。わかってるつもりだったけど、自分の娘にサラッとそんなこと言って欲しくないです…。

「今日はおとうさんも早いから3人で食べよっか。」

「あれ?彼氏のことは言わないんだ。珍しいね?」

「いや、近所の奥さんと話してたんだけどさ、あんたに彼氏できるわけないわよね?お母さん勘違いしてたわ。」

現代の主婦たちは昼間っから何話してんだよ、おい!

「ちょっと疲れたから部屋で休んでくる。」

「ご飯の時には降りてきなさいよ〜?」

私は聞く耳を持たず自分の部屋に入った。



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