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其の四



  「世界を支配する方法」



【其の四】



――話は唐突に始まった。


A:「この世界は『ある組織』によって、ほぼ計画通りに『世の中の仕組みづくり』を行ってまいりました。そして、現在、その計画は完成間近となっています」


俺:「計画?」


A:「はい。その計画とは『人類の統一支配』です。もっとわかりやすく言うと『NWOニュー・ワールド・オーダー』……つまり『新世界秩序』です」


俺:「はは、それってテレビで聞いたことあるよ。いわゆる『陰謀論』『都市伝説』ってやつだろ?」


A:「はい」


俺:「まさか……これから話す『リーク情報』ってのは、その『陰謀論』『都市伝説』のことじゃないだろうな?」


A:「ご明察のとおりです」


俺:「あんた……俺の家に侵入してまでして渡したい情報が『陰謀論』『都市伝説』って、一体、何考えてるんだ? 頭、おかしいのか?」


A:「いいえ。おかしくありません。というより、あなたの今のその『反応』……いいですね~」


俺:「何が、だよ?」


A:「『陰謀論』『都市伝説』というワードに対して、その『生理現象』に近いほどの『拒絶反応』『無思考反応』……そのあなたの反応を見れば、いかに『組織の洗脳』がほとんどの人間に及んでいるか、ということがよくわかります」


俺:「はっ? 洗脳? 勘弁してくれよ。オカルトな話なら別でやってくれ」


A:「はっはっは。オカルトの話ではありません。『ただの真実』のお話です」


俺:「おい、いい加減にしろよ。それなら……真実っていうのなら、その『証拠』は持っているんだろうな?『証拠』が無けりゃ、それはただの『妄想話』に過ぎないぞ」


A:「もちろん。『証拠』はあります。資料や写真もありますが、わかりやすいのは『動画』でしょう。これを見てください」


Aは、そう言うとポケットから『透明のフィルム』と『中身(水?)の入ったペットボトル』を取り出した。


フィルムには、何かの『銅線』のようなものがつながれていた。


A:「あ、すみません。コップをお借りできますか?」


俺:「コップ? は、はあ」


俺は、Aの注文どおり、うちで使っているコップを渡した。


Aは、そのコップにペットボトルの水? を入れ始めた。


俺:「す、すいません。ペットボトルの中身は水ですか?」


A:「はい。水です。ただし、これは『圧をかけた水』で……通称『マナの水』といいます」


俺:「?……マナの水?」


そうしてAはコップにその「マナの水」というものを入れたあと、そこに『透明のフィルム』についている『銅線』を中に入れた。ちなみに『銅線』の先には四角形の銀色の板がついている。


すると、『透明のフィルム』から映像が映りだした。


意味が分からなかった。


つっこみどころが満載なので、どこからつっこんでいいのかわからないくらい……意味がわからなかった。


A:「では、早速、その『証拠』となる動画をお見せしま……」


俺:「ちょ、ちょっと待て―い!」


あまりにも淡々と進めるAに、俺は当然のつっこみを入れた。


A:「はい?」


俺:「いや、『はい?』じゃなくて……どうしてこの現象についての説明をしないんだよ?」


A:「現象?」


俺:「そうだよ。このペラペラの『透明のフィルム』がどうして『携帯電話の画面みたいに映像を映し出したのか?』、そして、『そもそも電池も何も……電気を供給するもの自体がないのに、どうしてテレビのように映像を映し出すことが出来るんだ?』……て言うより、何が一体起こってる?!」


俺は、捲くし立てて一気にAに疑問をぶつけた。


当然だろう……今、目の前で起こっている現象は、もうこの時点で「一般常識のレベル」を超えているのだから。


A:「ああ、まず『透明フィルム』に関してはある有名な某フィルム企業が開発したものです。これはだいぶ前からあったものですので、まあ、知っている人は多いと思いますが……」


知らねーよ……そんなの。


A:「つまり、これは『超薄型テレビ』と思っていただければ結構です。まあ、テレビの受信機能はこれには付けてませんので厳密には『超薄型映像出力機』といったところですかね。まあ、そんなところです」


俺:「おいおい、ずいぶん軽く言ってくれるな~」


A:「はあ……まあ、これは大したことないですから」


確かに。


問題は、この『超薄型テレビ』を出力させている『電気』……つまり『エネルギー』をどこから取り出しているかだ。


俺:「ま、まさかとは思うが、この『超薄型テレビ』につながっている『銅線』の先にあるその『水』から電気を供給している、なんてことはないよな……?」


A:「さすが! お察しがいい……そのとおりです」


俺:「そんなバカなっ!」


俺は、興奮して思わず立ち上がった。


A:「もちろんどんな水でもいいわけではありません。この『圧をかけた水』……『マナの水』だからこそ、ですがね」


俺:「ど、どういう理屈だよ……これって物理法則とか反してないのか?」


A:「ああ……反してますよ」


俺:「か、軽いな~」


A:「物理法則というのは、あなたたち『人間』が作りだした『仮説』に過ぎません。そして、その物理法則には『間違い』が多くあります。その『証拠』がこの今の状況です。一般の多くの方は『物理法則に反することはすべてオカルト』という風に思考を停止させてただ批判するような『洗脳』を施されています。言っている意味がわかりますか?」


俺:「あ、ああ」


つまり、俺の最初の『陰謀論』『都市伝説』といって否定したことを言ってるんだな。


A:「あなたたちの作りだした『法則』に反しているが、しかし『現象』として、それは今、あなたの目の前で繰り広げられている。つまり、あなたの今、見ているコレは『真実』ですよね?」


俺:「ま、まあ……」


A:「もちろん、もしかしたらこれは『手品・マジック』か何かで『からくり・トリック』があるかも……ということも考えられるでしょう。どうですか?」


俺:「そうだな。これだけでは中々信じてもらえないだろうな。俺だって、今、目の前の現象を見せられてもまだ半信半疑だしな」


A:「そう。今のあなたのような目の前で起こっている現象でさえも、あなたの中での『非常識レベルが高い現象』だと、人は皆、うかつには信じられないのです……それだけ、あなたたちの『洗脳』は重症である証拠とも言えるのですが」


俺:「まあ、それはそうだと思う。否定はしない」


記者をやっている職業上、その辺は少し理解できる。


「『先入観』は『真実』を見逃す最大のフィルター」だからな。


A:「ありがとうございます。そこで私たちは考えました。その『洗脳』を逆に利用して『正常』に戻ってもらおうと。つまり、『洗脳』によって『常識外のこと』を『疑う・否定する』ような状態になっているのなら、逆に、いろんな『真実』を突きつけて、これ以上『疑う余地の無い状態』まで持っていく……そうすれば『観念』して、信じざるを得ない状況を作り出そうと。実際、このやり方は功を奏しました。今のところ、このやり方で『100%の確率』で『洗脳』が解けています」


俺:「それをこれから俺にやる……と?」


A:「はい。それが、これから見せる『動画』になります。この『動画』は今、見せている『マナの水から電気が起こる説明の動画』が入っています。これを見れば『水から電気が起きる仕組み』がわかり、それは『疑う余地の無い仕組み』ということが理解できるでしょう」


そうして、俺はその「動画」を見せられた。


そこには、この「マナの水」がどういうものか、「電気が起きる仕組み」がどういうものか、ということを説明しており、同時に、その仕組みを実験で見せるのだが、その実験もカメラを止めずにノンストップで映していた。なので、どこにも「動画をカット」するような仕掛けはなかった。


そして、その動画で映し出された実験は、説明している男の理論どおりに進行し、そして今、俺が見たようにその動画の中でも電気を作り出すのに成功していた。


俺:「す、すごいな。でも、こ、これが本当のことであれば、それってつまり……」


A:「はい。フリーエネルギーです」


俺:「!?」


A:「大まかに話しますが、この『マナの水から発生する電気の仕組み』は、動画の中の男の説明どおり、『この空気中に存在しているエネルギーを集める・吸収すること』が『肝』です。このエネルギーは私たちは『真空エネルギー』とも言います」


俺:「真空エネルギー……」


A:「ちなみに、この『真空エネルギー』は『空気』が電気を起こす原因では無いという意味も込めてこの名称としています。つまり、『空気中から取り出すエネルギー』ではなく『真空中から取り出すエネルギー』ということです」


俺:「つまり、それって、空気のある地球だけの話じゃなく、宇宙でも同じってこと……なのか?」


A:「そうです。さすが、察しがいいですね。そういうことです。これが『宇宙すべてに共通する唯一無二の法則』です」


俺:「宇宙すべて……」


A:「はい。本来、エネルギーとは『作り出す』ものではなく、身の回りの『真空』から『吸収する』ものなのです。そうして『吸収したエネルギー』を『放出』する……ただ、それだけです」


俺:「シ、シンプルだな」


A:「はい。宇宙の法則とはシンプルなのです。これがわかれば、あとはその法則を『応用』するだけです。それが、今、目の前で起きている『水から取り出すやり方』だったり、直接、身の回りからエネルギーを吸収する装置で取り込むやり方だったり……まあ、様々です」


俺:「もし……もし、それが本当なら、どうしてこの『エネルギー装置』は普及してないんだ?」


A:「本当にわからないですか? フリーの記者をやっているあなたなら……わかるんじゃないですか?」


俺:「えっ……?」


A:「『フリーエネルギー』……確かに便利ですよね。だって自分の身の回りにあるものから取り出すだけなんですから。もし、そのエネルギーを取り出す装置を各家庭に置きさえすれば、電気代は無料タダで使えるということになります。そうなるとどうなると思いますか?」


俺:「ど、どうなる……?」


A:「すいません。言い方が悪かったですね。『フリーエネルギーが一般に普及して困るのは誰でしょうか?』……これならどうです?」


俺:「『フリーエネルギーが普及して困る奴ら』……? そりゃあ……」


俺:「!?」


A:「……出ましたか?」


俺:「現在のエネルギー関連企業……か」


A:「理由は?」


俺:「エネルギーが各家庭で作られることになると『発電施設そのもの』がいらなくなる……つまり電気を供給する必要が無くなるので『発電事業』は不要になるということか」


A:「まあ、そうです。しかし、もっとシンプルに言うと、こうなります……」


俺:「?」


A:「お金と権力が無くなる」


俺:「なるほど……『既得権益』か」


A:「そうです。そして、この『既得権益』とは、つまり『下層階級から利潤を奪う権益』のことです。シンプルに言うと『奴隷システム』ということ」


俺:「確かに……そうだな」


A:「では、ここで質問です。この世の中を支配しようとしている『新世界秩序(NWO)』は、ただの『陰謀論』『都市伝説』だと感じますか?」


俺:「!?……う~ん」


A:「この『現代社会』が、『人を支配する』という構造ではなく、『個人一人一人がより良い暮らしを送るため』に動いていると、あなたは本当にそう感じますか?」


俺:「そ、それは……」


否定できなかった。


何故か? そりゃあそうだろ。


目の前で「フリーエネルギーの存在」を知って、改めて、今の現代社会を考えたとき……、


「あまりにも矛盾・異様さが際立った」


――何なのだろう、この気持ち悪さは。


A:「さて――それでは、まずこの『エネルギー利権の真実』について、さらに掘り下げてお話していきますね」


俺:「あ、ああ……」


俺は、初っ端から「自分の中の常識」を吹っ飛ばされたのだが、これは「ほんの序章に過ぎない」ということを、この後、知ることとなる。



週一投稿ができるように頑張ります。

よろしくお願いします。


m(__)m

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