第六話
そこは狭くも広くもない暗がりの部屋。朝日の光が部屋の窓から入り込み、部屋の中を照らし出す。部屋の中には余り物がなく、あるものと言えば、備え付けられた簡易なベットと、ベットのすぐ近くにある丸い小さなテーブル。テーブルの上には水差しとコップ、灯りを灯すためのランタンが置いてある。他に部屋の中に置かれているものは物を書くための机と椅子だけのとても質素な部屋だ。
キッキリキーと、朝の訪れを知らせる鳥の魔物キリケヤケイの鳴き声がこのあたり一帯に鳴り響く。人々はこのやかましい鳴き声で起床し、朝食の支度を始める。キリケヤケイは毛の色が白や茶のものがいて、亜y真に赤いトサカをしているのが特徴だ。魔物に属するがたいした力はなく、人間によって捕えられては飼育され、卵を産み落とすのが仕事である。キリケヤケイの卵は栄養価が高く、稀に産み落とす金の卵はものすごい値段で取引されるが、落とすのはホントにまれ。生息地は広く、たいていどの国にもいて、やかましい鳴き声で起こされるのはどこも同じである。何せキリケヤケイの鳴き声はひどく響くのだ。
そして、この質素な部屋にもやかましい朝の調べが届く。そのやかましい鳴き声でベットに寝ていたシュラウドが目を覚ました。
「たく、どこにいてもこのやかましい声を聴くことになるのか」
寝ぼけ眼でシュラウドはぼそっと呟く。その呟きに反応したのか、隣で寝ていたレイネがもぞもぞと動き薄く目を開けるが、その目がシュラウドを捉えると再び閉じられ、シュラウドに寄り添い、すやすやと
可愛らしい寝息がシュラウドの耳に届く。
(あいかわらず、朝が弱いな)
声には出さず、心の中でつぶやく。レイネは朝が弱く、起きるのはとてもゆっくりで、シュラウドはいつもレイネの寝顔を見ながら起きるのを待つのが習慣になっている。
今日も今日とてそれは変わらない。そんな日常をシュラウドもレイネも好ましく思っている。
「そういえば……。今日は昨日のことでギルドに顔を出さないといけないんだったな。まぁ……どちらにしろ、依頼を受けに行くつもりだったけどな」
昨日シュラウドとレイネはアリシアという貴族のような美しいBランクハンターと出会った。アリシアがFランクの依頼に同行することになり、そこで、盗賊に襲われている者たちをアリシアが助けに行き、アリシアを心配したレイネとともにアリシアのもとへと向かい、結果アリシアと襲われてるものを助けることとなった。
昨夜王都に戻ってからギルドへと赴いたが、レイネが眠そうであることを理由に後日改めて説明することになった。
(ま……大方、アリシアが説明したことだろうけどな)
そう1人で昨日のことを振り返っていたシュラウドはレイネが起きたことに気付いた。
「よく眠れたようだな。レイネ」
「………うん」
と、だけ頷いたレイネはいまだ眠たそうだった。
ここは王都の中心からややはずれたところにある宿屋『リンゴの木』の一室だ。簡素で質素な部屋ではあるが値段が安く、何よりレイネが宿屋の名前を気に入り、シュラウドはしばらくの間ここに滞在することに決めた。
王都の中心は王族の住まう王城と貴族の住む貴族街、金持ちが住む富裕層で占められている。この国は主に農業とハンター業で成り立っていて、この国の南は作物が育ちやすい肥沃な土地で、天候も荒れることはなく自然による被害は少なく、良い作物が育つ。
通常魔物たちが町を襲う被害が大きかったりするが、この国には大陸最大のハンターギルド『ベルニスク』が存在するため魔物による被害は他の国より少ない。ためというのは、強いハンターが多く、王都以外の町にもギルド支部があるためだ。
シュラウドはレイネの髪を整えてやり、宿屋の1階で軽い朝食を済ませて、2人で宿屋を後にする。宿屋の外はすでに大勢の人で賑わっていた。通りには商人やハンターなど様々な人が行きかっている。石畳みの道が続き右側には武器屋と掲げられた看板があり、左には店の前に出ている盾を見るにここは防具屋だろう。
雑貨店、酒場を通りすぎると、そこは中心部の通りで昨日通ったように大きく、綺麗な建物がずらりと並んで、道行く人も豪華な衣装に身を包んでいる。やはりそこに鎧を着たハンターが混じるのはどこかおかしく見えた。
2人はギルド本部の清潔感がありながら、威厳のある建物の中に入る。中は昨日より騒がしく、人も多い。なぜだか、シュラウドはそこらじゅうから視線を感じていた。その視線を不思議に思いながらシュラウドはあたりを見回すと、2階へと昇ると
「やっときたか。待ちくたびれたぞ」
と、アリシアが待ち構えていた。アリシアは昨日と同じ全身が赤い戦闘服に、黒い胸当てを付けていて、綺麗な金髪をまっすぐと流している。
「アリシア。おはよう」
「おはよう。レイネ」
アリシアとレイネが笑顔で挨拶を交わす。それを見ながらシュラウドは
「で。昨日の件はどうなったんだ?」
「うむ。そのことなんだが……」
アリシアは自分の後ろにいる人物に振り返って視線を寄越す。
「えと、おはようございます。シュラウド様、レイネ様。実はお二人がきたら、案内するようギルドマスターから仰せつかってます」
アッシュブロンドでセミロング髪をした、ここのハンター達から絶大な人気のある受付嬢のマリーが、どうぞこちらですと奥の扉に向かって歩き出し、シュラウド達はマリーの後についていく。
扉を開くと長い通路が現れ、右にも左にも部屋があり、扉の奥から従業員たちの忙しい声が聞こえてきた。ギルドマスターは自室にいるようで、ギルドマスターの部屋はこの通路の一番奥にあるようだ。通路は床が白い大理石でできていて、毎日欠かさず掃除しているためか塵一つない綺麗な床が出来上がっていた。壁も白く、魔法石を使っている装飾灯が左右に一定間隔で拵えてある。
魔法石とは、鉱山などから採掘されるマナの結晶のことだ。マナは魔法の源であり、世界中のどこにでもあり、全ての生命に宿っている。マナがなければ人は魔法を使え無くなるだけではなく、自然が死滅してしまう。マナは生命に宿るいわば生命と同質のもので、それが枯渇するということはすべての生命が生きられなくなるということになる。
マナがなければ魔法は使えないが、マナがあったからと言って誰でも使えるというわけではない。マナは魔法の源であり、魔法を使うには才能と資質が求められる。それらがそろったものだけが魔法を使うことができる。
壁に飾ってある天使の絵が描かれた絵画を見ているシュラウドにマリーが少し興奮したように話しかける。
「聞きましたよ。ミスカの森に住み着いていた盗賊を討伐したって、いまその話でもちきりですよ」
「なるほど。さっきの視線はそれが原因か。盗賊を倒したのは、俺ではなく、アリシアだと思うが……」
ギルド本部に入ってきたときに向けられていた視線は、噂によるもので、昨日アリシアが訪れてギルドマスターに報告したところに居合わせたギルドの職員がハンターに口をすべらせたため、あっという間にハンターの間で広まってしまった。
「何を言うか!盗賊の頭を倒したのはシュラウドではないか!……それになりより、シュラウドは私をたすけてくれたわ」
(ん?……わ?今口調が女みたいだったのは気のせいか……?)
なぜか興奮したように目を爛爛と輝かせて、頬を赤く染めているアリシアに見つめられながら、アリシアの乙女な口調にシュラウドは違和感を感じる。
アリシアは間違いなく女だ。それも、かなりの美女なのだが、堅苦しい、男勝りな口調からシュラウドには女として見てもらえていないのかもしれない。
「助けたと言っても、油断さえしてなければ、あの程度のやつに負けるとは思えんが……」
「それは……そうだが、助けられたことは事実だ。だから、ありがとう」
頭を下げるアリシア。プライドの高そうなアリシアがこうもあっさりとお礼と頭を下げたことにシュラウドとマリーが驚く。マリーも驚いているのは、アリシアとはそれなりの付き合いだがいままで一度として頭を下げているところを見たことがなかったからだ。
(驚きました。アリシアさんが、頭を下げるなんて、それだけシュラウド様のことを気に入ってるということかしら。いいえ、それだけではないはず……あのアリシアさんがPTを組むからにはもっと深い……!もしかしてシュラウド様に惚れているとか……?)
マリーの知るアリシアは強く、気高く、そして美しく、女ハンターの憧れで、ハンターでないマリーにとっても憧れる女性。ハンターの間ではファンクラブあるとかないとか。アリシアを誘うチームはたくさんあり、その中にはBランクメンバーで固められた『紅蓮の獅子』やSランクハンターで剣姫と呼ばれるカナリア率いる女性ハンター限定のチーム『妖精の剣』からの誘いもあったが、すべて断っている。誰とも群れない一匹狼であることから『高嶺の薔薇』とも呼ばれている。
そんな、アリシアが誰かとPTを組んだ。しかも、その相手がFランクハンターであることからハンターたちみんなが驚いた。故にマリーが、アリシアが女として、シュラウドに惚れたと勘ぐるのも仕方ないことだろう。
「まさかアリシアにお礼を言われるとはな!」
「意外か? でも、私ほどではないと思うよ」
恥ずかしそに笑みを浮かべる。
「アリシアは優しいいい子」
レイネは何気なくつぶやく。レイネの何気ない一言でアリシアはさらに照れたように顔を背ける。それを見ていたマリーはクスリと笑う。
「こちらがギルドマスターの自室です」
マリーに案内されたギルドマスターの部屋の中は、床に豪奢な赤い絨毯が敷いてあり、ソファ・テーブルとともに最高級の物が使われている。右側にある大きな本棚にはびっちりと本が詰まっていて、その隣には剣や槍といった武器が立てかけてある。机がある窓側に後姿の男が立っている。
シュラウド、レイネ、アリシアが部屋に入ったことをたしかめマリーは扉を閉めた去って行いくと、ギルドマスターである男が振り返って3人を順に見て、言う。
「私がベルニスクのギルドマスターを務めているカイザーです。どうぞおかけください」
ソファは3人が納まるくらいの大きさで、右からアリシア、レイネ、シュラウドの順で座った。ソファを勧めてきたのは、背の高いメガネをかけた理知的な男で、歳は30代後半とみられる。濃い茶髪に顔は整っており、仕事のできる男の雰囲気を感じる。シュラウドが想像していた人物像とは違い、穏やかで話の通じる人物に見えることに驚いていた。シュラウドの想像していた人物像はガサツで、声が大きく、話を勝手に進めていく強引な人物と勝手に決めつけていたのだ。
「昨晩のことはアリシア君から話を聞いてるよ。初の依頼だったのに大変だったようだね」
ギルドマスターはシュラウドを観察しながら会話を始める。
「まったくもって面倒ごとだった。それより、あの少女はどうなったんだ?」
あの少女とはマルゴットのことだ。昨日王都についたあとマルゴットとテリーはアリシアがギルドに連れて行っていた。
「あの子が気になるのですか?」
カイザーは入れたお茶をシュラウドたちに出しながら、ややからかいを含んだ声で言う。
「……別に。なんとなく聞いてみただけだ」
出されたお茶は湯気をたて、いい香りが鼻から流れ込んでくる。
「ふむ。あの子も彼も仲間が死んでしまって気分は沈んでいるでしょうが、体に問題はありません。ただ、彼女たちの素性を私の口からいうことはできません」
最後のほうは彼女たちの素性は聞くなと鋭い目で言う。素性を話せないということは何かわけありなのだろう。姫と呼ばれていたことから複雑な事情があるとみてシュラウドもアリシアも深くは追及しなかった。
「ギルドマスター。盗賊の死体はどうなりました、それと赤マントの男は?」
アリシアがカイザーに尋ねる。
「カイザーでいいと言っているのに君は……。まぁ……いいでしょう。盗賊の死体ならすでに回収していますよ。君の言う赤マントの男の名はゲールといって指名手配のなかに彼の名がありました。彼は元Bランクのハンターで、理由はわかりませんが、闇ギルドに属していたようですね」
「闇ギルド!そういえばシュラウド、あのとき『笑う死神』の生き残りかと聞いていたな……」
「………」
シュラウドは眉を少し吊り上げただけでアリシアの言葉に沈黙する。
「『笑う死神』とは闇ギルドのなかでも特に危険な者たちで、顔の左側に刺青が彫ってあることがメンバーの証だとか……。ただ、数年前に彼らは壊滅したと聞いています」
「シュラウドはそいつらのことを知っているのか?」
「…………」
シュラウドはアリシアに一瞥しただけで何も答えない。そんなシュラウドにアリシアは業を煮やしたように問いかける。
「シュラウド!やつらのことで知っていることがあるなら教えてくれ!」
「アリシア!お願い……やめてあげて」
レイネに懇願され、冷静さを取り戻したアリシアはシュラウドに謝る。
「シュラウド。……すまない。少し興奮してしまった」
しおらしく謝るアリシアに、「いや」とだけシュラウドは返す。カイザーはお茶を飲みながらシュラウドたちのやりとりを見ていた。
「ところで、シュラウド君はいまFランクだったね。アリシア君からある程度君の実力は聞かされている。どうだろう、この際Bランクになってみては?」
カイザーは3人を観察していた。アリシアのことはよく知っている。剣の腕も魔法の腕もかなりのもので、あと数件依頼をこなせばAランクに昇格させようと思っている。男性陣からも女性陣からも人気があり、これからのベルニスクの看板ハンターになるだろうと期待しているのだ。そのよく知るアリシアが誰かに頭を下げるところを見たことが無かったカイザーはひどく驚いた。そして、アリシアに頭を下げさせるシュラウドに興味をもっていた。
シュラウドは雰囲気からかなりの実力者であることがわかる。それにアリシアの人を見る目は確かだとカイザーは思っている。アリシアが相当な実力者だと云うならそうなのだろう。なにより自分の人を見る目は確かだとカイザーは自負している。カイザーの目からもみてシュラウドには何か期待させられるものを感じる。それと同時になぜか不安にさせられる。胸につっかえるもやもやした気持ちが何なのかカイザーにはわからないが、知りたくなってしまう。
カイザーは知的な学者肌ゆえに知的好奇心が高い。ようするに知りたがり屋なのだ。興味のある相手は骨の髄まで知りたくなる性格をしている。
シュラウドから視線をレイネに移すと、「ん?」とカイザーは首を傾げる。ただの少女にしか見えないが、カイザーはレイネに違和感を感じるが、シュラウドに話しかけられてすぐに興味が削がれてしまう。
「俺としてはありがたいな。Bランクになればそれなりの依頼はあるだろうから。だが、いいのか?FランクハンターをいきなりBランクにしてしまって……」
「何を言う!シュラウドにはすでにBランクに相当する実力はある。Bランクになるのは当然のことだ!」
アリシアは興奮したように、シュラウドに息巻く。レイネはその隣で静かにお茶を飲む。
「アリシア君の言うとおり。君が倒したゲールは元とはいえBランクハンターで、危険な盗賊だったんだ。それを倒した君はすでにBランク相当の実力はあると見た。通常Bランクになるには、Bランクの魔物を1人で討伐しなければいけないのだが、これは特例だよ。他の者が何か言うようであれば私が黙らせよう。」
笑みを浮かべた顔から、一転して真剣な顔でカイザーが言う。
「それに、できれば今すぐにBランク以上のハンターを招集してある魔物を討伐してもらいたいのだ。そのため君ほどの実力者を弄ばせている訳にはいかないからね」
「ギルドマスターが直々にBランクにしてくれるというなら、そうさせてもらおうか。それで、今すぐに討伐しなければいけない魔物とはなんだ?」
お茶を一口飲みカイザーに問う。
「トリゲラムという魔物をしっているかい?」
「トリゲラムといえば今噂になっているAランクの魔物だな」
「えぇ。王都から南西にあるスーリの森でトリゲラムが確認されています。トリゲラムは黒い外殻に覆われた巨躯の竜種モンスター。頑丈な黒い外殻を鎧のように纏わせ、黒い外殻はあらゆる攻撃を弾き返す。その下にある表皮も非常に堅く、頭には3本の凶悪で鋭い角を持ち、口からは強力なブレスを吐く、凶暴なモンスターです。本来ならこの国にいないはずのモンスターなのですがね……。Sランク、Aランクチームでことにあたるべきなのですが、いまギルドの主力チームは国外に出払っていましてね」
カイザーはお茶のお代わりはいるかと尋ね、アリシアとカイザーだけからのカップに新たなお茶を入れる。レイネはあれだけ寝てもまだ眠いのかシュラウドに体を預けるようにして目を閉じている。
「なるほど。それで、Bランクハンターを集めている訳なのだな」
「それで、トリゲラムを討伐しに行くのは俺とアリシアのほかにはどいつらなんだ?」
カイザーの背後の窓から太陽が昇った空を見る。
「そのことなんだが彼らをここに呼んであるんだ。もうすぐ来るはずなんだが……」
カイザーがそう言ったすぐ後に部屋の扉が数回ノックされ、どうぞとカイザーが声をかけるとマリーが扉を開け5人の男女が部屋の中に入ってきた。
「彼らが今回トリゲラムを倒すために共闘するBランクチーム『紅蓮の獅子』です。他にも『蛇龍の牙』も同行しますが彼らはいま依頼に出ていて今日中に戻る予定です」
紅蓮の獅子はチーム全員がBランクハンターで固められている。ヴァルバ王国では実力、メンバーのルックスともに高い評価された人気のチームだ。
「やぁ!アリシア!久しぶりだね。元気だったかい?」
金髪の青年がアリシアがいることに気付くと、さわやかスマイルを向けながらアリシアに近づく。
アリシアはソファまで近寄ってきた金髪の青年に一目くれただけで、興味がないようで「あぁ」とだけ、答える。
「やっぱり君も招集されていたんだね。………聞いたよ。ミスカの森に住み着いていた盗賊を倒したんだってね。さすがだね」
アリシアは寝ているレイネの寝顔を見ながら、お茶を飲む。アリシアは興味のない相手や気のない相手には素っ気がない。シュラウドとレイネには普段見せない様子もみせているが………アリシアにとってシュラウドとレイネは特別なのだ。
青年はアリシアにまったく相手にされていないず、困ったような表情を浮かべながらアリシアを見つめる。後ろにいた青年の仲間たちは相変わらずに相手にされていない青年に苦笑する。青年はアリシアを自分のチーム誘ったり、デートに誘ったりと積極的にアプローチをかけているが一度でもいい返事を返してもらったことがない。
「ところでカイザーさん。そっちの黒髪がアリシアと一緒に盗賊を倒したっていうFランクの男ですか?」
大柄な筋骨隆々とした30代後半の男がカイザーに話しかけた。
「えぇ。彼はシュラウド君。横になっているのがレイネ君。それと、彼は本日をもってBランクハンターになりました」
「「「「!」」」」
『紅蓮の獅子』のメンバー全員がカイザーの言った発言に驚いた。それも当然だろう、FランクからいきなりBランクになったのだから。
「カイザーさん!いくら元Bランクの盗賊を倒したからって、いきなりBランクに昇進はないでしょう!」
大柄な男は不満を滲ませた声でカイザーに訴えた。それの、当然だろう。彼らは苦労してBランクハンターになったのだ、それをFランクからBランクに一気に上がったとあっては快く思わないだろう。彼の仲間も不満そうな表情でカイザーを見る。
「これはギルドマスターとしての私の決定だ。異論は認めない。それに、アリシア君が彼を自分以上の実力の持ち主だと言ったのだ。私はアリシア君の人を見る目は確かだと思っている」
「な!」
金髪の青年は声を上げて驚いてアリシアを見る。レイネとアリシア以外の者が一堂に驚いてアリシアを見る。それにはシュラウドも含まれる。シュラウドはまさか、アリシアが自分をそこまで評価しているとは思っていなかった。
アリシアはさも当然と言わんばかりの様子をしている。
「だが、それでは君たちが納得しないだろうこともわかる。そこで今回のトリゲラム討伐で彼に実力を示してもらおうことにしよう。そこでシュラウド君が君たちを納得させられるだけの実力を
示せたのなら君たちも文句はないだろう」
『紅蓮の獅子』のメンバーはプライドの高いアリシアが、シュラウドのことを褒めたことに吃驚してカイザーの話を誰も聞いていなかった。
そのあと『紅蓮の獅子』の自己紹介とカイザーから討伐の件について詳しい話がなされ、その場はお開きとなった。
金髪の青年はカイザーが話している間シュラウドを睨み付けていた。
どこをどうしたらもっとよくなるか感想をください。お願いします。




