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第一話 

特に思いつかないな。

 ギルドの中に入ると、建物の外観とは違い荒々しく騒がしい印象をうけた。中は広く、1階は酒場なのかカウンターやテーブルで酒を飲んでいる強面こわもてのおっさんたちがちらほらいた。みな武器を所持しているところをみるとハンターなのだろう。

 

 カウンターの右のほうに若い男に話しかけられてる金髪の女がいた。むさくるしい男たちばかり目に入ってくる中で綺麗な金髪をもち、凛としていて整った美しい容姿の美女はひと際輝いて見えた。

 

 一瞬こちらを見た気がしたが、奥のテーブルに座ってる男たちをみて頭の片隅に置き去りになった。

 

 気になったのは、奥のテーブルで酒を飲んでいる4人の男たちだ。手入れのしてないだろうぼうぼうのひげのはやしたやつ、まぶしいと錯覚するほどつるつるの頭をしたやつ、ムスッとした仏頂面の体の大きなやつ、特に気になったのは右目に縦傷のある男だ。気になったというのは、分かりやすくよからぬ考えを思いついたかのような卑しい笑みをしてこちらを、というよりレイネのことをみていたからだ。それをみたシュラウドは顔をしかめる。

 

 あきらかに何かしようとしてる顔だな。

 

 「レイネ。俺から離れるなよ」

 「・・・うん。・・・そばにいる」

 「いい子だ」


 ゆっくりとマイペースに話すレイネにシュラウドは優しげな顔をむけながらレイネの頭をなでてやる。レイネは気持ちよさそうにを受け入れる。その表情はいつもの無表情ではなく少し笑みを含んでいるようにおもえた。


 シュラウドはレイネと2階に続く階段をのぼりながら、一瞬だけさっきの4人組を鋭い目つきで見て、再び顔を前へ向けた。


 その眼差しに気付いたのは4人組男たちではなく、カウンターに座っていた金髪の美女だけだった。シュラウドを見ていた金髪の女は、凍てついた氷のようで、人を人だと思わない眼差しに背筋をぞくりとさせ、嫌な汗をかいていた。


 「なんだあの男は。一瞬だがすごい殺気だった。」

 

 金髪の女は、少しでも恐怖を薄めるためか思ったことを口に出していた。隣にいたさきほど話してかけていた男が顔を向けるが、それに気付いたふうもなく、金髪の女ことアリシアは両手で顔を覆いながら、鋭い眼差しをしていたシュラウドのことを考える。

 アリシアはさきほどたまたまシュラウドを見ていたわけではない。シュラウドがここに入ってきたときからふと目で追っていたのだ。

 髪の色が気になったわけではない、いまでは大陸より東にある島、太陽が昇る島と呼ばれる侍で有名なトウショウ国と貿易するようにもなったし、あの国のものも大陸でよくみかけるようになった。トウショウ国の者は男も女もみんな黒髪だ。しかし、先ほどの男はトウショウ国の顔立ちをしていなかった。トウショウ国と大陸で暮らす人間とでは少し顔立ちが違う。一目でそれとわかるものだからまず間違いなくトウショウの者ではないだろう。しかし、それだとおかしい。大陸のどの国をみてもトウショウ人以外の黒髪など見ないし、聞いたこともない。

 

 そう考えると、アリシアは髪のことも気になってくる。

 

 先ほどから、隣の若い男が話しかけているが、さらに思考をめぐらせるアリシアの耳には男の言葉などまるで入ってこなかった。

 

 黒髪の男は髪だけだはなく全身も背負っているサックも真っ黒だった。黒がすきなのだろうか。背は高く、長い黒髪は後ろで一つに束ねられていた。容姿は整っていた。あの切れ長で鋭い目。


 「・・・目。・・・鋭い目!」


 さっきのシュラウドのするどい眼差しを思い出して体を震わせたアリシアの表情はどこか恍惚としたものであった。

 その顔を見た若い男は、あまりに色っぽい表情に自らのあそこの一物が起つのを感じながら、ただじっとアリシアの顔を眺めていた。

 

 やっと、目が覚めたのかアリシアは勢いよく立ち上がると、シュラウドを追って2階へと上がっていった。

 

 


 2階に上がったシュラウドとレイネの2人は正面奥にいる受付嬢の元へ行き、話しかけた。


「ハンター登録をしたいんだが」

「ギルドは初めてですよね?」

 と尋ねてくる受付嬢の言葉に頷きながら、彼女を観察してみる。セミロングのアッシュブロンドの髪をした、理知的な女性で目元も雰囲気も優しげで、ふくよかな胸をしているなと考えていると、じっと見られているのに気付いたのか、優しげな笑みを向けられた。さっきの下種な男と違った、不快ではなくとても魅力的な表情をしている。

「では、まずお名前をこちらの紙に記入していただきます」と、紙とペンを差し出してきたので、名前を記入する。


「シュラウド様ですね。登録するのはお一人でよろしいですね?」

「いや、この子も頼む」

 おれがそういうと、レイネはただの付き添いだと思っていたのか、少し驚いた様子でレイネを見つめる。レイネは人見知りなので見つめられていると分かると、俺の背後に隠れて受付嬢の様子をうかがっている。

 

「失礼しました。付き添いだと思っていたものですから」

「もしかして、この子は登録できないのか?」

「ハンター登録の年齢対象は15歳以上でして」

「なら、大丈夫だ。レイネはこう見えて15歳だからな」

 申し訳なさそうな表情を見せる受付嬢に、俺は少し笑って言った。「え!」と驚いた受付嬢はまたレイネをみる。


「まぁ、レイネは見たね12、3歳にしかみえないからな」

「申し訳ありません。大変失礼いたしました」

「いいって、レイネはそんなこと気にしないしな」

 俺の後ろに隠れているレイネにそういうと。レイネもコクッとうなずいた。それをみて受付嬢は気を取りなをしたように登録手続きの仕方を教えてくれた。

 

 それから、俺とレイネの登録を済ませ、名前をマリーだと名乗った受付嬢は、さっきの失敗を取り返すようにはりきって、丁寧な言葉でギルドやハンターについての説明を始めた。



「ギルドとは、依頼主様から依頼を聞き、依頼書を手配し、それをハンターの方々が受け、成功報酬として依頼主様から頂いた報酬を依頼を請け負ったハンターの方に手は足し、その報酬の一部を仲介料として頂くといった、いわば仲介業ですね。ギルドはたいてい大陸のどの国にもあります。ギルドに所属していると他の国に入る際、手続き無しに通ることができます。もちろん国内でも同じです。ご存知の通り、ここ『ベルニスク』は、大陸で最も有名で最大規模を誇るハンターギルドです。」


「もともと『ベルニスク』は小さなギルドでしたけど、この国の現国王ダグラス様がハンターでしたころ、ダグラス様がリーダーとして率いていた『栄光の剣』の活躍により、大陸で一番のギルドへと成長したのです。そのあとダグラス様は前国王の娘でいらっしゃますフローラ様とご結婚なされて、国王まで上り詰めた平民出身の英雄なのです。ですから、ダグラス様に憧れてハンターとなる方々が大勢いるのですよ」


「なるほどな。だが、それだとこの国の貴族は国王に対してあまりいい顔をしないんじゃないのか?」

「そういう方々もいますが、この国の筆頭貴族でありますローゼンバーグ公爵はフローラ様の従兄でして、とても仲がよろしいですから」

「・・・ふーん。元ハンターである国王に、不満のある貴族も表立った行動はできないということか」


 と、1人納得してるおれにマリーは続けますねと説明を再開した。


「さきほど説明しましたようにハンターはギルドで手配された依頼を受け、それを成功させると報酬をもらえるといった形をとっています。ハンターにはランクがあり、自分のランクに見合った依頼しかうけることができません。ランクはF・E・D・C・B・Aとその上にSランクがあります。シュラウド様とレイネ様はFランクから始めることになります。Bランクに上がるのが難しく、DランクとCランクのハンターが一番多いですね。Sランクハンターになると王族貴族が集まるパーティーにも呼ばれると聞いたことがあります。有名なSランクハンターには『雷人』スクワーロ様や『剣姫』カナリア様などがいますね」


「依頼には、モンスターを退治する討伐ものや、薬草などの採取するもの、お手伝い、護衛などさまざまなものがあります。モンスターなどにもランクがあります。最近では王都から南西にあるスーリの森でAランクモンスターのトリゲラムが出没したとか、噂されていますよ。真偽のほどはわかりませんが、もし討伐ということになると、BランクAランクのハンターの方がパーティーを組んでことにあたることになるでしょうね」


 マリーの話を聞きながら、Aランクモンスターなら俺たちには関係ないな。Fランクなわけだしと特に興味を惹かれることなく心の中でつぶやく。説明が終わり、晴れてハンターになった。


「さっそく依頼をお受けになりますか」

 依頼書を広げながらマリーが尋ねてくる。依頼書を見る限りたいしたものはなかった。


「討伐系の依頼はないのか」

「え~と、・・・あ。ひとつだけありますよ」

 マリーから手渡たされた依頼書にはホビーラビットの毛皮10個と書かれていた。討伐というより採取

の依頼だった。


「まぁ。Fランクだからな、こんなものしかないか」

「Fランクだからと言って、嘗めたりしてはいけませんよ。どんな人も最初はFランクから始まるのですからね」

 と、叱るようにたしなめられたが、ホビーラビットなど運動にもならんのだがと思いながら依頼書を見やる。

「シュラウド」と、普段自分からあまり話しかけてこないレイネが話しかけてきたことに少し驚き、背後から顔をだして俺を見上げるレイネに顔を向ける。


「レイネどうした」

「・・・・・お腹すいた」

 無表情な顔でありながらはずかしそう答える様に、俺は笑ってしまった。マリーも一言も話さないでいたレイネが自分の前で初めて発した言葉が「お腹が空いた」だったので口に手を当てながら声を押し殺したように笑っていた。それを見たレイネは少し頬膨らませてムッとした表情をして俺の後ろからマリーをみつめる。

 マリーはレイネに悪いと思ったのか、表情を引き締めるがそれでも口元がにやけていた。


「笑って悪かったよレイネ。お詫びにお前の好きなリンゴ飴を好きなだけ買ってやるから、許してくれ」

 

 リンゴ飴と聞いたレイネは無表情な顔を頬に朱の差した美しい笑みに変え、喜んでいた。

 シュラウドはこの国に来るまでの2か月のあいだにレイネの機嫌を直す方法を見出していた。レイネが初めてリンゴ飴を食べた顔はそれはもうとろけんばかりの笑顔をしていた。初めて会ったときにくらべいろいろな表情を見せてくれるようになったことにシュラウドはうれしく思っていた。


 レイネからマリーに顔を移してみると。呆然としているマリーがいた。おそらくレイネの笑顔にあっけにとられたのだろう。

 


 依頼を受け、受付を後にしようとした際に、マリーがまたねとレイネに声をかけていた。マリーは相当レイネをきにいったようだ。当然だけどな・・・。


 

 

 階段のところで1階のカウンターにいた、金髪の女が話しかけてきた。


・・・・・なんだろう。話がなかなか進まない。。。

短かったのでちょっと足してみました。

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