表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たとえば  作者: ニャア
4/4

人に

 シーザは、RMT社の2代目社長だ。

 彼の父親(3年前永眠された)が開業し、

 なんとか評判のみで経営していっている状況である。

 

 まあ、その評判が恐ろしいほど良かったのだが。

 

 「久しぶりの集会だね~。」

 と、シーザは微笑む。

 何人かが頭を下げながら隣を通っていった。

 その時だった。

 

 「シイイイイイイイイイイザ様ぁぁぁぁぁ!!!」

 女性の、甲高い声が響く。

 そして、カツン カツン カツンと恐ろしいスピードで鳴るヒールの音。

 彼女は、走っていた。人離れした速さで。


 「ミラージェ!」

 それを見つけたシーザが、嬉しそうに両手をひろげる。

 そのままのスピードで、飛び込んできた彼女を抱きしめて、


 そのまま倒れる。


 流石に、細身のシーザには耐えられなかったのだろう。

 「あうっ。」

 腰をぶつけて濁った悲鳴を上げた。

 「シーザ様。ミラージェにございます。大丈夫ですか?

  今日はお弁当を作ってきました!」

 茶色のくせ毛が愛らしく揺れる。

 ピンクのつなぎを着た彼女とシーザのじゃれあいに、

 周りの人はため息をついたり、またか・・・とつぶやいたりしていた。


 「起きてください。シーザさん。」

 それを冷たく見つめる目があった。

 「あっ、伸也君。久しぶり。」

 ストレートの長髪の、スッと切れた目を持った青年だった。

 ミラージェを立たせて、シーザに手を貸す。

 「ありがとう。」

 

 無邪気に笑うシーザを、半分あきらめたように見つめ

 「集会の時間ですよ。」

 といった。

 「あれ、もうそんな時間?神ちゃんは?」

 「まだ来ていません。」

 「へえ・・。めずらしいねえ・・。」

 そういいながら、シーザは伸也の肩に寄りかかっていた。

 「・・・重いです。」

 どこか怒りを抑えた声で言う伸也を無視し

 「神ちゃんがいないと変~。」

 とだだをこねる。

 

 「すぐきますよ。連絡がありました。」

 シーザの、肩に乗っている手をはがした。

 「ふうん・・。」

 もう一つの手で髪を触りはじめる。

 「・・・やめてください。」

 今度は隠さずに、嫌悪をハッキリと示した。

 その時だった。


 ドシュッ。


 シーザの額のど真ん中に短剣が突き刺さる。

 少し遅れてシーザが目を見開き、そして

 崩れていく。

 「!?」

 ミラージェが声にならない叫びをあげた。

 伸也だけが、そのシーンを冷たく見つめている。


 真っ赤な血が飛び散った。

 それは、恐ろしく現実感がない。

 床に崩れたシーザは、辺りに赤黒いそれを広げていった。

 

 「早く集会を開いてください。シーザさん。

  私が言わなくてもそうしろや、ああん?」

 空気が一気にピリピリとし始めた。

 「いやあ・・。やっぱ神ちゃんの突っ込みは必要だよ。」

 刺されたはずのシーザが、

 あるときムクリと起き上った。

 頭からは、大量の血が出ている。

 が、それを気にする様子はない。

 そして刺さったままの短剣を遠慮なく引き抜いた。

 

 ポッキュン


 情けない音を立てて引き抜かれる。

 どうやら、おもちゃの短剣らしかった。

 「そういうのはいいので。はやくしろ、シーザさん。

  ついでに、あなたが待ちわびてない人も帰ってきましたよ。」

 え・・?誰かいたっけ?

 シーザの顔は、ありありとそう語っていた。

 「忘れないで下さいよ。オリバーです。」

 次の瞬間、ドタドタという激しい足音と

 「シーザァァっ!」

 という大きなさけび声が響いた。

 オリバー・スズルスだ。

 

 この、神ちゃん・ミラージエ・神也・オリバーの4人こそがRMT社の有名な福社長である。

お久しゅうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ