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たとえば  作者: ニャア
2/4

刀に

追われる少女の、その後。

少女は荒い呼吸をしながら、寂びれた街の中を駆け回る。

 もっと、もっと、もっと。生きたいという欲望のままに走る。

 走る。走る。

 転げるようにある家の角を曲がった時、初めて少女の足が止まった。

 彼女の顔に絶望の色がうきでる。

 目の前には、壁。

 どうしようもないほどの高さだった。

 彼女を追っている相手でも乗り越えられないだろう。

 かすれた、浅い呼吸を繰り返しながらも少女は壁にぶつかってゆく。

 「壊れろ。壊れろ。ねえ、おねがいっ壊れてよおおっ!」

 体をぶつける。 壁をかきむしる。 登ろうとする。

 しかし、服が苔で汚れていくだけで、まったく進まない。

 その間にも先ほどの足音は近ずいている。

 ズルッズルッズルッ

 コンクリートに爪を立てる。肉が削れて雨と血がドロリとまじる。

 不規則な呼吸をくり返しながら、あるとき少女はフッと肩の力を抜いた。

 ゆっくりと振り返る。

 その目に先ほどまでの恐怖はない。

 全てを受け入れたかのように彼女は微笑む。

 目の前の男に向かって。男は片手に斧を持っていた。

 男が黄色い不清潔な歯をみせて、ニタリと笑ったその時。

 

 彼の目に短刀がささっていた。一瞬の出来事に男は気付かない。

 そしてその次の瞬間、勢いよく目から血が噴き出た。

 少し遅れて男のみにくい叫び声が響く。

 壁の上からおりてきた女性が、その間に少女をつかんで再び壁を飛び越えた。

 唖然とすべてを見ていた少女は、その女性の顔を見てハッとわれにかえった。

 「ったく・・・。あんなの助けないわけにはいかないでしょう?

  お代はいらないからさっさといきな。あんたも私も、知らない他人。いいね?」

 少女はコクコクとうなずく。それしかできなっかた。

 「ん。じゃあね。わたし急いでるから。」

 ひらりと手を振って女性は優雅に角を曲がっていく。

 一人残された少女は、最後にぽつりとつぶやいた。

 「あの人・・・RMT社の副社長の・・・」

 神さん。短剣使いの影のリーダーだ。

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