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6:魔法戦闘記アルク

 8歳になり、サラに教わりながらエリック兄さんと訓練したおかげで魔法戦も様になってきた。春になればエリくんティウスは学園に旅立ってしまう。邪痴好色のサラから逃げるためにもそろそろ逃亡技術面を一段階上に上げないといけないだろう。


「というわけでガーランド、魔法ありの武術戦闘訓練をしたいんだガーランド、助けてくれガーランド」

「お、おう。坊主も必死だな…」

「急がないと貞操が死ぬんだよぉ!!」


 魔具が杖タイプの人は魔法オンリーの戦闘が基本だが、剣などの武器タイプの人間は魔法を使いながらの剣術などを使用する魔法戦闘というスタイルを取る人もいる。魔法と剣技、2つを同時に意識しなければならないため難しいが、使いこなす魔法剣士などは初級魔法しか使えないとしても白兵戦でかなりの力を発揮する。


 俺の場合は様々な武器になる魔具の性質、魔法適正、多重発動等その戦術の組み合わせは無限大と言ってもいい。決め手に欠ける俺が持てる決め手となるもの、それがこの無限大の組み合わせ。そしてサラから貞操を守る唯一の方法だ。


「まあサラは純粋な魔法使いタイプだ、魔法戦闘ができるようになれば逃げるぐらいは今の坊主でもできるだろうしな、相手してやろう」

「ありがとうガーランド!」

「構わねえよ、紹介した女が依頼対象の貞操奪ったとか言われてみろ、女目当ての野郎どもに群がられちまう」


 訓練場にガーランドと向かいながら訓練方針を相談する。まずは俺が打ち込みながら魔法を放つ、安定してきたら今度は打ち込まれながらの魔法使用、次いで模擬戦をしながらと段階を踏み、最終的には多重発動等も戦闘に織り込めるようにしていく。


「じゃあやるぞ坊主、好きに打ち込んでこい」

「うん!」


 打ち込みながら魔法を放つ、今までの訓練で実力はぶっ倒れるほどに知っているので遠慮なく全力でいく。大剣マッチョのガーランド、見た目に反してその戦闘スタイルは技巧派である。技巧派と言えばもっと違う武器を使いそうなものだが、扱える筋力があるならば一つ持つだけで盾としても使え、使いこなせる人間は少ないことから相手に利用されることも少ないとのことでガーランドは大剣を好む。


 重い方が強い破壊力を生む、これは力学的に正しい真理だ。だが重いものは扱いづらく取り回しも効きにくい、そういったデメリットとのトレードオフなのである。それを天秤にかけ、別の武器を選択する人が大半だ。しかしガーランドはその筋肉と技術によりデメリットを握り潰し、相手に活用されないというメリットに手直しした。理論派なのに解決策が脳筋、それが偉大なる我が師匠なのである。


 魔法を受け、剣を流し、大剣で切り返し。足捌き、体捌き、手首の返しと体全体を液体のようにして流麗に筋肉が舞い踊る。汗がキラキラとした光の粒子となり、黒光りの筋肉が光の粒子を散布していく。キモイ。


「悪くねえけど、もっと剣戟と魔法をしっかりと連携させろ。打つことは出来てるが打ててるだけだ。剣と魔法が互いの隙を埋めあえてねえし、攻撃の間隙を消せてもいねえ。そんなんじゃいつまでたっても俺には当てられんぞ」

「剣で戦いながら打つだけでも大変なんだよ!」

「打つタイミングと狙い目をちゃんと考えろ、ただがむしゃらに打つな!どこでどの魔法をどこに向けて使えば効果的か考え続けて打たなきゃ初級魔法なんざ虫刺されにもならねえぞ!」


 クソァ!言ってることは正しいのに見た目のせいで反抗心が先に立つ!受けに専念してもらっており、飛んでくる攻撃は反撃のみ。相手からの攻撃を意識しなくていいので反撃の飛んでくるタイミングやその時の自分の行動を観察、考察することにした。どのような時に反撃がくるのか、その時の自分の攻撃はどうだったか。だんだんと剣戟と魔法が連携していないということの意味が分かってきた。


 剣の隙を消そうと雑に攻撃魔法を放っているせいで剣の隙の時間を全て消し切れていなかったりするのだ、剣を受けた後、攻撃魔法を回避しての反撃、これをさせないために俺が打つべきは攻撃するための魔法ではなく足止めのための魔法、というように考えていかなければいけない。


 理解し、意識し、実践する。反撃が飛んできて反省をして再び実践。反撃が飛んでこない。少しずつ、反撃の頻度が減少していく。そしてついには反撃が飛んでこなくなった。


「だいぶよくなったじゃねえか!坊主は昔から理解が早くてやりやすい」

「見たくもない筋肉踊りから頑張って目をそらさなかったからね!」

「ハハッ!もっと見せつけてやるから目をそらさずに学び取れ!見惚れないよう気を付けなあ!」


 反撃を潰す連携はできた、今度は攻撃を通す連携だ。剣を当てに行くのか、魔法を当てに行くのかどちらが本命でどちらが囮か、防御に専念する相手をどう崩すのか、そのために必要な魔法は?そのために必要な剣戟は?


 考える、考える、考える、反撃が飛んできて考えすぎていたことに気付く。自分の隙を消す守りの連携を無意識で行えるようになるか、攻撃を通す攻めの連携との意識のバランスを取らなければならない。攻めの連携を試して、ガーランドはどう捌くのか、見て、考えて、試して、見る。守りの連携も忘れない。


 攻めの連携で打ち込み、守りの連携で離脱する。攻めから守りを剣で繋げ、守りから攻めを魔法で繋げ、攻めから守りを魔法で繋げ、守りから攻めを剣で繋げる。攻め、守り、剣、魔法それぞれの要素を一つの先方として縫い合わせていく。


「坊主、お前戦闘そのものへのセンスはすげえな!武器へ向き不向きがないんじゃなく才能がないのを戦闘センスが補っていたタイプか!」

「才能がないのが確定したの!?」

「ないな!だが武器に関してのだ。こと戦闘に関しての才能は間違いなくある。ただ武器と魔法のどちらも使いこなせなければその才能も埋もれて終わりだけどな!」


 どう戦えばいいのかがわかっていてもそもそも戦う術を持たなければ戦えない。10の力で剣を振れば勝てるとわかっても、力が10なければ勝てないのである。


「こんだけできりゃ十分だろ、一旦休憩がてら復習するぞ」

「はーい」


 しかし今日は初めて才能があるとガーランドに褒められた、Aランク冒険者ガーランドのお墨付きだ。アルクくんの疲れも吹き飛ぶご機嫌情報である。


「今日の訓練で坊主の才能がわかった。しかもこの才能は坊主の魔法適正、魔具の性質を考えると魔法戦闘という形式において一級品だ。魔法戦闘において初級魔法であることは大きなデメリットにならないしな」

「おお!!」

「というわけで今後は別の武器で俺が受ける、一通りやったら俺が攻める方を一通り、それが終わったら多重発動や武器の切り替えまで織り交ぜた応用だ。」

「わかった!」


 とんでもない量の訓練が増えた気がするが今のアルクくんは無敵モードである。初めてガーランドに才能を認められたのだ、しかもその才能は魔法適正、魔具、これまでの訓練と全てと噛み合うものだった。増えた訓練もその才能を活かすものだ、これは今までと違ってすごくモチベーションになる。


「まあ坊主が冒険者や軍人目指さないならあんま意味ない才能だけどな」

「は?」


 この筋肉はなぜせっかく上がった子供のやる気を潰すのでしょう。理論と筋肉をその体に詰め込むために情緒を捨てたのでしょうか。筋肉だけじゃなく情緒も育め。

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