表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/53

44:ダンジョンの街メイズ

 ガーランドに紹介された防具屋で俺のサイズに合わせた防具を発注、その完成を待って出発した俺達はダンジョン需要で賑わう街メイズに来ていた。多くの冒険者、多くの旅商人、粗暴だったり、したたかに交渉したりといった曲者たちすら圧倒する気の強さで住民たちは酒や食事、ダンジョン産の品などを売っている。


 これ活気があるというレベルを超えてもう喧嘩祭りと言われた方が納得できるな…。あっ、セクハラをした酔っ払いがボコボコにされた上に財布巻き上げられて捨てられた。臨時収入だと思ったのにしけてんなぁとか言ってるよ、アイドルみたいなかわいい系の見た目なのに…。


「これは凄い街ね…」

「マチルダはメイズに来るの初めて?」

「一人でダンジョンに入るのは流石に自殺行為だし、お宝に興味があるわけでもないもの」


 魔物の討伐ならば戦う相手を事前に調査できる、中級の治療魔法が使えるマチルダならば死にそうになっても回復して戦える。だがダンジョンでは罠にかかって即死したり、出口のないところに閉じ込められて餓死なんてこともざらだ。


「…私はこの街あまり好きじゃない、うるさい」

「まあ、賑やかを通り越してるよね」


 渋谷ハロウィンとか、地元のチームがワールドシリーズ優勝したとか、ワールドカップで金星を上げたとか、そういうレベルの熱量を感じる。いくら賑やかさに慣れたサラでも落ち着いた性格の人間にはここまでの喧噪は苦手なものだろう。


「とりあえず今日はダンジョン1層のフロアボスを倒す所まで行くぞ。長時間ダンジョンに潜る準備はリース嬢ちゃんに任せて、坊主はダンジョン探索の予行演習だな」

「どのダンジョンに潜るの?」


 ここメイズにはダンジョンが複数あるがダンジョンには危険度に応じてS,A,B,C,D,Eと6段階の危険度が設定されている。Bを踏破できればパーティーとして一流、Aは一流冒険者のみを集めて踏破できる偉業、Sはそんな精鋭を集めてすら未踏破の探索非推奨ダンジョン。


 そんな多様な危険度のダンジョンにおいてメイズにはB~Eまで4つのダンジョンがある。なぜそんなにダンジョンがあるかは解っていないが、そもそもダンジョン自体がなにも解明されていない。どうやってできるのか、なぜ魔物がいなくならないのか、なぜ宝物が出てくるのか。


 しかし人間というのはよくわからなくても役に立つなら役立てる生き物だ。ダンジョン近くに街をつくり、産業として活用して人々の生活を潤している。


「まあ今日は予行演習だからEランクの不死の回廊だな、ダンジョンがどんな感じか確認させたいだけだからな」

「不死の回廊ってなんかすごいアンデット出そうな名前だけど…、それでもEランクなんだね」

「そう勘違いするやつもいるけどアンデットなんて出ねえぞ」

「え、じゃあなんで不死の回廊なんて名前なの」

「そりゃ挑戦者が死なねえからだな」

「え、死なないのそっち?」

「フロアボスに負けた所で裸に剥かれてこっぱずかしい落書きされた状態で入口に転移させられるぐらいだ」

「それは社会的に死ぬのでは…?」

「恥ずかしい秘密を書いた札を首からかけられたやつなんかもいるらしいからな、そういう意味では死ねるな」


 なんて嫌なダンジョンだ…。Eランクってダンジョン初心者が潜るのに危険の方向性そっちなのかよ、ある意味心折れるだろ。


「明日はD,そこを踏破したらCとダンジョンの難易度を上げる。Cからはマチルダが参加、Bになったらサラが参加、俺はいざって時の備えだな」

「え、Bまでやるの?しかも二人も参加して?」

「この二人の経験も豊富じゃねえしな、だた個々の実力は十分にBランクを踏破できるレベルにある。あとはダンジョンに慣れちまえば3人でも踏破できる、失敗しても俺が助けるから3人で試行錯誤してみろ」

「…アーくんよろしくね」

「アルクくん、頼んだわよ」

「一緒に戦うの初めてだね。二人が戦うのって俺がゴブリンにやられた後だったし」


 二人が戦うところを見たことはあるが、それは俺が負けて回復を受け、休憩しながらの観戦だ。マチルダの戦闘は聞いていた通り強化魔法を用いた格闘戦、しかも傷ついても治療魔法で一瞬で回復するし、ソロでの活動がメインだったから多数に囲まれるのも慣れている。


 拳1発で魔物を倒せて、傷ついても回復し、四方からの攻撃を舞うように捌く、正直に言ってマチルダに協力してもらえている幸運に感謝するレベルだった。囲まれての戦いに関してかなり参考になったのだ、一撃一殺、俺と同じく複数を同時に倒せないけれど、それゆえに工夫され、年月をかけて研ぎ澄まされたその技術。ガーランド?剣の一振りで何十体、下手をすれば百体でも倒せそうな衝撃を発生させる人外なんて参考にならない。あいつ本当に魔法使えないんだよね?


「今度はお姫様にも助けて貰わないとね?」

「ダンジョン潜るのに女装なんてしないからね?ゴブリンに殺されないための緊急措置なんだからあれ」

「…私もアーくんには女装しないでほしい」

「サラにそう言われると女装に逃げたくなるね…」


 もうさ、あれだけの期間女装して戦ってたら女装への抵抗感なんてなくなるんだよ、感情は無。できればやりたくないけど必要なら心を無にして袖を通せる。だからって仲間といるだけのことで必要性を発生させるんじゃないよ。


「不死の回廊なら特に準備せずとも問題ねえ、さっさと行って用事を終わらせるぞ」

「ん、そうだね。あんまりリースを一人にしても可哀そうだし」


 昼の間なら人目もあるし女性一人でも問題ない、メイズは色んな所から人が集まる都合上衛兵も多い、それだけじゃなく住民たちも街の治安を守ろうと不届き者には厳しい対応をするし、不審者を見逃すまいと監視の意識も高い。先ほどから怪しい行動はさせまいとする視線をひしひしと感じる。


 しかし初めてのダンジョン、しかも死ぬ心配はないチュートリアルとして適切な不死の回廊、せっかくだし楽しんでいこう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ