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1:おぉ神よ!

 前世の記憶が目覚めてから3年、異世界の文字も覚え、勉強を教えてくれる執事のシルバに算術はできると見せてカリキュラムをスキップ、歴史やマナーなどの伯爵家として必要だが前世知識ではどうしようもないことを学び、屋敷を抜け出して街を探索してはシルバとカイル父さんに怒られる、よく学び、よく遊び、よく怒られる3年間を過ごした。


 屋敷のある街、スティング領都ステンは領内でとれた石材を用いられており、石造りの街は質実剛健な雰囲気を感じさせる。そんな街には領都らしく多くの人が住み、さまざまな施設が立ち並んでおり、休日をカフェで楽しむ人々、市場で食材を吟味する主婦、昼間っから飲んだくれる冒険者など多様な賑わいを見せてくれる。・・・昼間っから飲んだくれるのはやめようね?


 書斎での勉強中、シルバに算術をやって見せた時には天才だなんだと騒がれたものだが、屋敷を抜け出して遊びにいきまくっているので今では立派に問題児である。仕方がないんだ、エリック兄さんがインドア派だから俺がアウトドアを担当してスティング伯爵家のバランスをとっているのである。役割分担なのである。


「アルク、来週本洗礼にアルクを連れていくからそのつもりでいなさい」

「本洗礼を受けさせていただけるのですか!?」

「アルクの脱走癖には頭を抱えるが勉強はまじめにしているし、脱走以外の部分では分別を弁えている。少しだけ早いが本洗礼を受けてもいいだろう」



 この世界ではだいたい7歳ぐらいになると教会で本洗礼を受ける。本洗礼を受けると適正がある人間は魔法を使えるようになるのだ。といっても魔法が使えるかどうか、ぐらいの適正には遺伝性があり両親共に使えるならばほぼほぼ使えるそうで、スティング家では両親共に魔法が使えるので俺も大丈夫だろう。


「しっかりと弁えているならば早く魔法を練習できるに越したことはない。アルクは脱走をしても日が傾く前には帰って来たりと妙な一線は守っているから魔法に関しても無茶はしないだろう?」

「はい!それはもちろん!」

「それならばいい、戻ってきたら午後に魔法の訓練をするからな」

「えっ…午後に訓練だと僕はいつ街に遊びに行けば…?」


 なんということだ魔法が使えるようになると思ったら俺の脱走を咎めるための策略だったらしい。汚いな、流石貴族汚い。


「アルくんよかったわね~。魔法を早く使いたいってずっと言ってたものね」


 シルク母さんがにこにこである。天然おっとりあらあらママなシルク母さんは純粋に俺の願いが叶ったことを喜んでくれている。決して脱走時間が無くなったことを煽ってきているわけではない。


「魔法の訓練は僕も手伝うから一緒に頑張ろうね、アルク」


 エリック兄さんはイケメンスマイルで俺の退路を断ってくる。純粋な厚意で不慣れな弟を助けようとしてくれているのだ。決して弟を逃がすまいと外堀を埋めているわけではない。


………


魔法楽しみです!(さらば我が自由)


 自由を失った涙の数だけ魔法が強くなれるよ!(泣)


 1週間後、俺は教会の前にいた。この世界には魔物がいるし、伯爵家の次男という悪い人に狙われやすい身分だ、身を守れるぐらいには戦えないとコロッと死んでしまうかもしれない。せっかくの2回目の人生で流石にそれは悲しすぎる。自分の魔法に転生チートが宿っていることを願っていこう、ダメなら剣術かなにか頑張ります…。


「スティング家の方々、お待ちしておりました。本洗礼の準備はできていますのでどうぞ中へ」

「ああ、大司教殿、今日は息子をよろしく頼む」


 教会のお偉いさんに今日の流れを説明される。特殊な薬液を飲み、神に祈りを捧げる、すると自分の魔力を感じれるようになり魔法が使えるようになる。自分の魔力を感じたら神の啓示と言われる石板に触れると自分の魔法適正、魔力量、魔法出力が表示されるそうだ。


 適正は火、水、土、風、光、闇の6種類、一つしか使えない人もいれば複数使える人もいるらしい。魔力量はそのまま1日に使える魔力の最大値。魔法出力は一つの魔法にどれだけの魔力を使用できるか、ここが高くないと上級魔法などの出力の高い魔法が使えない。


 せっかくの異世界なのだから派手な魔法を使いたい、適正はどれを引けるかが楽しみだし、やったりましょうじゃないの本洗礼!!さあ大司教さん薬液プリーズ!!


……


 バリウムだこれぇ…まっずぅ…うぇぇぇぇ…


 神よ、なぜ薬液をこのような試練にしたのですか、心折れるレベルではないですが心萎えるレベルではあります、おぉ、神よ!


 あ、魔力きた!これそうっぽい!すごい!なんか胸がぽかぽかする!大司教さんこれそうじゃない!?


 本洗礼が終わった。これで魔法が使えるようになっているはずだが適正もなにも知らず魔法を使おうとするのは危ないらしいので神の啓示を見た後に簡単な座学、実践をして今日は終わりになる。なんか資格講習みたいだね。


「ではアルク様、こちらの石板に触れてください」

「わかりました」


ーーーーーーーーーーーーーー

適正:火・水・土・風・光・闇

魔力:A

出力:D

ーーーーーーーーーーーーーー


「なんだこれは!?」


大司教!?今までずっと冷静だった大司教!?なんなんだこれは!?


「アルク様落ち着いてお聞きください。全適正持ちの魔力A、このような人は世界中見渡してもアルク様含めて数人いるかどうかでしょう」


うおおおお!転生チートだ!魔法に転生チートがあったんだ!!


「ただし、出力:D、これはギリギリ中級魔法が使えないレベルです。強めの初級が使えるレベル。一日中魔法を使っていても魔力を使いきれないでしょう」


は?


「アルク様が使える魔法は初級魔法のみ、初級魔法では一日中魔法を使っても消費される魔力量はC級程度、つまりその…なんというか…、魔力の半分は無駄に余ってて全適正持ちだけど実質魔力はランクCで初級魔法しか使えないということになります…」

「大司教、つまり、簡単にいうと…?」

「器用貧乏です…。魔力量は大富豪なのですが…」


嘘やん…?





嘘やろ……?





嘘って言ってぇな大司教……

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