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9:初めてのお泊り

 リース達のもとに到着した俺達はシルバとサラに死体の処理を任せ、ガーランドと共に俺が出した魔法のお湯で汚れを落とす。


「森を出てすぐに汚れを落とせるのは最高だな」

「うん、この魔法は本当にできるようになっててよかったと思うよ」


 服を変え、みんなのもとに戻るとすっかり食事の用意が済んでいた。


「アルク様、お疲れ様でした。お食事の用意ができていますが食欲は大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ、ありがとうリースお姉ちゃん」


 初めての実戦をした俺を心配してくれたのだろう。ガーランドが一緒だから体は大丈夫とはいえ、その心まではわからない。リースはそこを案じてくれたのだ。


「おう、坊主の戦闘センスは一級品だ。フォレストウルフ相手に堂々とした戦いぶりだったぜ、飯を食いながら反省会をするからそれを聞けば嬢ちゃんでもこいつの才能はわかるだろ」

「そうですか」


 専属で仕える相手が一流の人間に褒められて嬉しいのだろう、リースがとても柔らかな笑みを浮かべる。クール系美人のリースお姉ちゃんだが俺のことを弟のように思い、主従関係を超えて可愛がってくれている。しかし俺が褒められたことをそんなに嬉しそうにされると少し気恥ずかしい。


「…私もどんな戦いをしたか気になってた。アーくんのとれる戦法は本当に幅広いから」

「旦那様への報告もあります、ぜひ私も聞きたいところですし、食事にいたしましょう」


 シルバに促されみんなで食事をとる。本来従者は共に食事をとらないが、ここは屋敷ではないし時間も勿体ない。家自体主従関係にうるさい家風でもないので一緒に食べることにしていた。


「じゃあ何を考えて武器、魔法を選択したか説明してもらうぞ。坊主の口でどういう考えかを説明することにも意味があるからな」

「うん、まず武器を双剣にしたのはね…」


 みんなに俺の考えを説明していく、森であることからリーチの長い武器は不向き、初級魔法で殺傷力が高いのはファイアボールだが火事を考えると使用不可、他の初級魔法では殺傷力が足りない、となると魔法はけん制として本命は武器、殺傷力と扱いやすさ、懐に入られた時の対応を考え双剣を選択。


 足が速いため攻撃を当てに行くよりもカウンターを決めるほうが確度が高いと考え、ストーンバレット、マッドスワンプによる移動先、行動の誘導。飛びかからせることができればカウンターを決める絶好のタイミングになると考えた。もし途中でどれかの魔法が当たるならばそのまま魔法で動きを封じて槍で突き刺せばいい。


 一つ一つ、何を考え、何をしたのか、そのためにどの魔法を選択したかを説明していく。ガーランドは見ていたのでそれぞれの行動に理由付けがされていくことに満足そうだ、サラは魔具が杖であり、魔法戦闘はしないが、自分のスタイルに活かせることはないか真剣に聞いている。シルバとリースは8歳でしかない俺が、ガーランドから才能があると聞いていたとはいえ、ここまで考えて戦っていたのかと衝撃を受けているようだった。


「これは…、旦那様への報告も気持ちよくできそうですね」

「言ったろ?こいつの戦闘における才能は一級品だ。武器、魔法に関してこれと決め打てる才能がないから全ての武器、全ての魔法、持てる知識を鍛え上げ、才能を活かせる土台を築く必要はある。しかしそれができるならばこいつの才能は強く輝く」

「…私のスタイルは純粋な魔法使いだから懐に入り込ませないように魔法を打つ。けど入り込ませることを前提に置いて本命を用意するなら魔法使いの弱点を餌として活用することができる。…うん、良さそう、アーくんありがとう、私のヒントにもなった」

「アルク様、よく頑張りましたね」


 みんながすごく褒めてくれる。リースに至っては笑顔で頭を撫でてくる。恥ずかしいが俺はまだ8歳だ、美人のメイドさんがなでなでしてくれるというのなら喜んで甘えよう。わーい。


 食事をしながらの反省会を終え、馬車で数時間の移動と小休止を繰り返すこと数度、村の近くまできたのでここで1泊する。夜遅くから村に入っても村民の迷惑となってしまうため夜を明けてからお邪魔することになる。


 男女2つのテントに分かれる、俺以外の4人がサラシルバ組、ガーランドリース組の交代で夜番をしてくれる。サラも流石に夜番の相方に加えて一緒にテントに寝ている人もいる中襲ってはこないだろう。さすがに今日はフォレストウルフとの闘いで疲れたし、ゆっくり寝よう、おやすみなさーい。





 サラを舐めてた、あいつ仕掛けてきやがった。暑苦しさと重みを感じ目を覚ましたら目の前にサラの顔があったのだ。今まで出したことのない叫びをあげ、強化魔法でサラを突き飛ばし、風魔法で自分に加速をかけテントから離脱、土魔法でサラのいる地面を遠ざけながらその場を逃げて隠れている。


 油断していたところに襲い掛かってきた貞操の危機は、過去一の発動速度で、3種の多重発動を無意識下での完璧な制御を可能にした。大人の階段を上らないためには魔法使いとして階段を上る必要があると本能が判断したらしい、こんなきっかけで上りたくはなかったが。


「…アーくんどこ?夜だし危ないよ…?」


 目下危ないのはお前である。一度窮地を抜け出せたのはただの幸運だ、目を覚ましたタイミングが、サラが目的を達せると油断した一瞬をつけたのだ。とりあえず今いるここならばサラから見つかりにくいだろうが時間の問題だろう、下手に魔法を使えばそれも感知されてしまう。つまり使う時は勝負をかけるときだ。


 問題はなぜみんなが気付いていないのか。いや、ここまでの騒ぎで出てこないということはおそらく何かの方法で寝かされているのだろう。考えられるのは毒か魔法、闇の睡眠魔法なら可能だが闇の適正をサラは持っていないので毒の可能性が高い、一応闇の魔道具を使用した可能性もあるがリースが出発前に身体検査は行っていたはずだ。


 俺が貞操を守り切るには誰かを起こすしかない。サラと俺の実力差を考えるとチャンスは1回きり、試せる相手も1人が限界だろう。そうなると誰を起こすかは決まっている。問題は毒なのか闇魔法なのかだ。解毒は闇魔法、浄化は光魔法。毒ならば前者、魔道具などを用いた闇魔法ならば後者でなければ効果がない。さらにどちらも人の体に効果を及ぼす魔法だ、こういう魔法は一個人を対象に同時に使用することができない。


………………


 考えはまとまった、可能性は2つに1つ。ここに隠れていても見つかるのは時間の問題、ならばやるかヤられるか、負けられない戦いを乗り越えるしかない。









 エリック兄さんこんなのから逃げてたんだね、マジで謝るからどうか加護をください。

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