表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/59

44 陳と呉は相談する

 セガランが宿舎で碑文の解明をしていた時、陳と呉は咸陽の現場で法事を誰に依頼するか相談していた。

「呉よ。お前の知り合いの方士様はいるか?」

「親方、私の知り合いにいる事はいますが、宿屋の亭主でして。村の者に頼まれた時だけ執り行うだけですよ」


「法事が執り行えれば構わん」

「そうですか?」


「十分だ」

「親方の方はどうなんですか?」


「俺は駄目だ。こういう商売を親の代からやって来たから、その方面は避けて来たんだ。それに、この商売はそんな事気にしていたら、何も出来やしないさ」


「でも親方、祟りは信じているんですよね」

「そりゃそうさ。だから、曰くありげな現場は避けて来たし、これからも受ける気はない」


「そりゃ、随分勝手な言い分ですね」

「そうか? 死んだ者が全て孤鬼や厲鬼になる訳じゃないし、第一祟るなら恨みを持った奴じゃないのか?」


「そりゃそうですけど。事故で亡くなった奴なんかは、念が残って、その場で祟るじゃないですか」

「俺達の扱う現場は、そんな祟られた場所じゃないさ。名家の者や金満家の墓、偶に王侯貴族の墓がある位で、悲惨な死に方をした者の墓は扱っていなかったな」


「ですが、セガラン様から依頼されたこの現場はどうですか?」

「こゝは、セガラン様が言っていた秦朝関係者の墓じゃないか」


「そうですが、人足が何時の間にか消えていますよ」

「確かにそうだな」


「そうですよ。だから怪しい現場なんですよ」

「それなら、近隣の村から人足が来なかった筈だ。近隣から来たと言う事は、祟られた墓じゃない。もしそうならば、手伝いに来る奴が、一人もいなかったゞろう」


「それはそうですね。怪しい現場なら噂がありますから、手伝いに来る奴もいませんしね」

「そうだろ。安心しろ」


「では人足が姿を消した理由は?」

「それは・・・ 分からん・・・」


「可笑しいでしょ? 何もない墓なら人が消えるなんて、ありゃしませんよ」

「そうだな。でもな。セガラン様は『人が死ねば肉体は滅び、何も残らない。霊魂等は存在しない。医者として人の死を見て来た経験だ』と言ったじゃないか。セガラン様の国と清国では死は別物か? そうじゃないだろ。死ねば身体は腐り果て、土に還る。しかし霊魂は残る。あるものは転生し、あるものは天に昇る。地獄に堕ちるものもある。そこが違う点だな」


「そうです。この墓には残された霊魂があるんですよ。それが孤鬼や厲鬼になって、人足に憑り付いて、あの世に連れていかれた・・・」

「じゃあ、俺とお前はどうなんだい?」


「どう、とは?」

「俺達も祟られる対象だって言う事さ」

 呉は陳から二人が祟られる対象だと言われ、急に悪寒がした。今迄、人足の消えた事だけが気掛かりで、祟りだと思っていたが、自分もその対象だとは少しも思っていなかった。


「親方は平気なんですか?」

「平気じゃないさ。だけどな、人足が祟られて、俺達やセガラン様が無事なのは何故だ? 厲鬼も人を選ぶのか?」


「そんな訳ないじゃないですか」


「そうだろ。可笑しいだろ。だけどな、そう思っても、人が消えた現場に近隣から人を寄せられるか? 変な噂が立った以上、法事はしなけりゃいけないな」

「それじゃ」


「法事はする、人を寄せる為にな。だから兼業の方士様でも構わない、って事さ」

「良く分かりませんが、法事をやってもらえるなら、人足を又集める事も出来ますよ」


「そうだろ、だからお前の知り合いに頼もう」

「分かりました。早速連絡しますので」


「頼んだぜ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ