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大学
「〇〇大学なんだ、すごーい!」「みのりちゃんなら余裕だと思ってた!」
合格が決まってから、何度もかけられた言葉。
嬉しいふりをしながら、胸の奥は、ずっとざらざらしていた。
(受験を“逃げた”って、誰も知らない)
(わたしは、勝ったんじゃない。ただ、降りただけ)
春。
桜が咲くキャンパス。
誰もが希望に満ちて、新しい生活に期待を膨らませていた。
だけど、みのりの心には、どこか空洞があった。
新しい友達もできたし、サークルにも入った。
それでも、笑いながら「楽しいね」と言っている自分を、どこか遠くから見ているような感覚があった。
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そんなときに出会ったのが、杉本くんだった。




