表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

わたしは、ずっと“ちゃんとした子”だった

「みのりって、なんでもできるよね」

そう言われるのが、ずっと苦手だった。


高校2年の夏、わたしは図書館の自習席に座って、塾で渡された問題集を開いていた。

エアコンの風は冷たいのに、手のひらは汗でじっとりしている。


(本当に、わたし、できる子なの?)


模試の結果は、いつも「平均ちょっと上」くらい。

先生には「指定校推薦も狙える」と言われていたけど、本当は、希望の国立大学に一般受験で行きたいと思っていた。


でも、どれだけ頑張っても、伸びなかった。

英語は何度も読んだのに文法が頭に入らないし、数学の応用問題では途中で思考が止まる。

夜、机に向かいながら、泣いたこともあった。


「こんなに頑張ってるのに、なんで?」


自分を責めることが習慣になっていた。


それでも、塾の先生に「いいところまで来てるよ」と言われるたび、期待に応えなきゃ、と無理やり前を向いた。


でも――秋の模試。

志望校の判定は、E判定だった。


教室の窓から、夕日が校舎の壁を赤く染めている。

模試の結果票を手に持ったまま、わたしは席から動けなかった。

努力って、こんなに簡単に否定されるんだって、初めて知った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ