第一話 見知らぬ森と廃船の少女
どうも、作者の松本翔です!
初投稿の異世界転生ファンタジーです。
名付けに力が宿る…そんな設定が好きな人に読んでもらえたら嬉しいです!
温かく見守ってくださいな。
体がふわふわ浮いてる……これ、夢か?
交通事故に巻き込まれた相馬弘一は、気がつけば白い空間に浮かんでいた。痛みも、重さもない。不思議なほど静かで、透明な空間。
「……ここ、天国か?」
ぽつりと呟いた時だった。あたたかく光る魂のような何かが、目の前に現れた。言葉はない。ただ優しく、あたたかい輝きだけがそこにある。
「……なんやねん、あんた」
返事はなかった。だがその光はふわりと近づき、コウイチの胸に静かに溶けていく。
――そして目が覚めると、そこは見知らぬ森やった。
「うわっ……マジか。どこやここ……」
空気も匂いも、完全に異世界。
混乱しながらも、生きるために森を歩き続けたコウイチ。
数日後、森の先に古びた巨大な船を見つける。
「映画で見た帆船みたいやな……めっちゃデカい」
ワクワクと不安が入り混じったまま、中へ足を踏み入れる。
――その瞬間、刃が風を裂いた。
「うおっ!? ちょ、ちょい待ってやって!」
かすめる短剣。現れたのは、やせ細った少女。ボロボロの服をまとい、鋭い目つきでこちらをにらんでいる。
「お、落ち着いてって。ほら、武器持ってへん。手、上げてるやろ?」
少女は黙ったまま距離を取る。
そのとき――お腹の「ぐぅ~」という音が静かに響いた。
「……あ、腹減ってるんか。ちょうど肉焼こ思てたとこや」
森で仕留めた小動物の肉を焚き火で炙る。
少女は迷いながらも、少しずつ近づいてきた。
「焼けたで。……ほら、熱いから気ぃつけてな」
少女は無言で肉を受け取ると、がつがつと夢中で食べ始めた。
「そんな急がんでも、誰も奪わへんって。……ゆっくり食べや」
焚き火のそばでふたり、ぽつぽつと会話が始まる。
「ここ、一人で住んでたんか?」
少女はこくりとうなずいた。
「もともとは……船。奴隷商人の。……二年前に疫病が流行って、大人たちは……全部、死んだ」
「一人で?」
「うん。ずっとここで……一人」
年の頃は12歳ほど。こんな小さな子が、たった一人で――
「すごいな……よう頑張ったなぁ」
少女の目がわずかに揺れた。
夜になると、コウイチは船内の安全な場所を見つけて寝床を作った。
翌朝、町を探しに行くと言うと、少女は不安げな表情を浮かべた。
「……行くの? ひとりで?」
「ああ、なんとか人の町を見つけたい思てな。けど、この辺り詳しいわけちゃうし……」
しばらく黙っていた少女が、ぽつりと呟いた。
「……わたしも、行きたい。一緒に……行っていい?」
その言葉に、コウイチは少し笑った。
「ほな、名前ぐらいあった方がええなぁ」
少女は目を見開く。
「えっ……名前?」
「そや。ずっと一人でおったんやろ? せやけどこれからはワイと一緒や。せやから、名前ぐらい持っとこ」
少し考えてから、コウイチは口を開いた。
「エレナ。なんか……強さと優しさ、両方ある感じするやろ?」
少女――いや、エレナは驚いたような顔をして、それから照れくさそうに笑った。
「……エレナ。うん、いい名前……ありがとう」
その瞬間、コウイチの中で、何かが“光った”気がした。
――だが、それが“力”だとは、まだ知る由もなかった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
まだまだ謎の多い導入部分ですが、ここから主人公・コウイチの異世界での旅が始まります。
次回は名もなき少女との出会いが、物語を大きく動かすきっかけになります。
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