婚約破棄され追放された私が、守護獣の契約者だと発覚したらしい~今更”愛を試しただけだった”と掌を返したって、もう国には帰りませんよ?~
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「次代の守護獣様の契約者の名は――ミルファ・ヴェンディア。私の命が尽きる前に、彼女をここへお呼びください」
しわだらけになった老婆が、玉座の前で静かにそう告げた。
この場には国王は勿論、王族に連なる者や上位の貴族たちなどが集まっている。
守護獣――それは古くからこの王国に住み着き、結界を張る事でこの国を外敵から護り続けた神の使いとも呼ばれている存在だ。
そして守護獣は自らが指名した人間を契約者として傍に置く。
つまりこの老婆こそが当代の守護獣の契約者であり、その命が尽きかけている事を察した守護獣が次なる契約者を求めてその名を告げたのだ。
しばらくの沈黙を破り、国王がゆっくりと口を開く。
「ミルファ・ヴェンディアか。余の記憶が正しければ、ヴェンディア伯爵家の娘であったと思うのだが、大臣、どうだ」
「はっ、陛下のお言葉の通りヴェンディア伯爵家にはミルファという娘がいたはずでございます」
「そうか、それならば話が早い。すぐに彼女をここへ呼ぶとしよう」
次なる契約者が王国の人間であり、さらに召喚するのに非常に都合がいい貴族令嬢であった事を知った彼らは喜びと安堵の声を上げている。
これで向こう数十年は安泰だと、国王もまた胸を撫でおろしていた。
だがその中でたった一人、国王の第一子である王太子シヴァンだけは冷や汗を流して落ち着きのない様子だった。
「――おおそうだ、シヴァンよ」
「はっ、はいっ!?」
「確かお前はミルファ嬢と親しくしておったな」
「あ、い、いえ、それほど、でも……」
「ちょうどいい。お前の口から彼女にこの事を伝えてもらおう。できるな?」
「うっ、そっ、それは……」
父王の要求を聞いたシヴァンの顔が見る見るうちに青ざめていく。
親しくしていたのならば守護獣の件を伝えてこの場に呼び出すのは難しくはない。
まして彼は王族。しかも王位継承権第一位。
伯爵令嬢であるミルファが断れるはずもない。
「どうした、何か不都合でもあるというのか?」
「い、いえ、そういう訳では……」
そう、親しくしていたのなら何一つ問題はないはずだった。
彼の脳裏に浮かぶのは、膝を落とし深く絶望したミルファの顔。
正式な形ではないものの、いずれ婚約者として迎え入れ生涯愛し続けると誓ったミルファを、彼は裏切ったのだ。
理由は非常に単純で、別のもっと身分が高い女性が好きになってしまったというものだ。
ミルファへの愛が無くなった訳ではないもののその女性と婚約を結ぶ方が遥かに簡単であり、天秤にかけるとシヴァンにとってどちらを選ぶのが良いかと言うのは明白であった。
故につい先日、ミルファに対して婚約の予定を破棄すると宣言。
さらに秘密裏に婚約していたミルファの存在は不都合という事で、ありもしない罪をでっちあげて勝手にミルファに対して国外追放を言い渡してしまったのだ。
「何やら顔色が悪いようだが、どうかしたのか?」
「い、いえ、大丈夫です。申し訳ありません……」
「ならばよい。では、頼んだぞ」
「はい……」
急いで探し出して和解しなければ。
破裂しそうな心臓を抑えながら、悟られる前に玉座を背に歩き出したシヴァンだった。
♢♢♢
数日前の昼下がり。
王太子シヴァンは、人気のない王都の外れにミルファを呼び出していた。
ミルファは待ち合わせの時間よりもだいぶ早く来ていたようで、シヴァンが姿を合わすとすぐに気づいて彼の下に駆け寄った。
「お待ちしておりました、シヴァン様」
「あぁ、よく来てくれた……と、言いたいところだが、今日はすぐ別れることになるだろう」
「……えっ?」
シヴァンの発した言葉の意味が理解できなかったのか、ミルファは首を傾げる。
そしてミルファがそれについて尋ねようと口を開いたところで、重ねるようにシヴァンが人差し指をさしてこう言い放つ。
「ミルファ・ヴェンディア。残念だよ。こういう形で君に裏切られる事になるとはね」
「……え?」
「キミとの婚約は破棄――いや、そもそもまだ婚約を結んでいなかったな。その話も全てなかったこととする」
「えっ、ええっ……ど、どうして――」
全く状況を理解できていないミルファは困惑し、相応しい言葉が出てこない。
一瞬、その様子を見ていたシヴァンの口角が上がったのだが、それどころではないミルファは全く気づかない。
そして漏れ出しそうな本音を抑えながら、シヴァンはわざとらしく大手を広げて言葉を紡ぐ。
「どうして、だと? 心当たりがないとでも言うのか? ならば言ってやろう。以前君が僕にお菓子を贈ったことがあったな」
「は、はい……手作りで、喜んでいただけるかと思って……」
「喜ぶ? ふざけるのも大概にして貰おうか。君が僕に渡したのは、お菓子ではなく毒物だろうが!!」
「!?」
「君からの贈り物という事で期待して蓋を開けてみれば、怪しい匂い。疑いたくはなかったが、毒見役を用意して食べさせてみるとどうだ。その者はすぐに悶え苦しみ始め、帰らぬ者となったんだ」
「う、うそです……私はそんなこと絶対に……」
そう。嘘だ。大嘘だ。
こんな事実はどこにもありはしない。
それでもこれこそが真実であると振る舞い続ける。
「残念だよ、ミルファ。君だけは最後まで僕を裏切らないと信じていたのに……」
「う、裏切ってなんかいません! 私は、私はただ……」
「言い訳など聞きたくない! 君がやった事は王家に対する明確な叛逆行為だ。普通ならば即座に処刑台送りだが……」
一呼吸おいて、今度は囁くように。
「僕の君に対する最後の愛、恩赦だ。君が一人でこの国を去り、二度と我が国の土を踏まぬと約束するのならば見逃そう」
「……え」
「そして条件として、君の生家、ヴェンディア伯爵家に戻る事も禁止する。もし戻ったことが発覚すれば、君の家族にも先ほどの罪を背負ってもらう事になるだろう」
「そ、そんな……」
あくまで彼女一人だけを、誰にも真実を知られぬまま追放する。
今のところは順調だ。あと少し、あと少しで完了する。
シヴァンは己の醜い本心と真実を隠して演技を続ける。
「さあ、僕の気が変わる前に早く姿を消してくれ。残念だよ、本当に」
「ぅ、ぁ……」
膝を付き、崩れ落ちる。
様々な感情が溢れ出て、気づけば頬を涙が伝っていた。
どうすれば良いのか。どうしたら自分の無実を信じてもらえるのか。
必死に思考を回しても、答えは出てこない。
「さあどうした。一家諸共処刑台に送られたいのか?」
それだけは、絶対に避けなければならない。
自分は何も悪いことをしていないけれど、自分のせいで家族が酷い目に会うのは絶対に嫌だ。
その想いだけで体を動かし、ふらふらと立ち上がる。
そして別れの言葉すら出すこともできず、生気の抜けた表情のまま背を向け、ミルファは歩き出した。
♢♢♢
「どうしよう……私これから、どうすればいいの……?」
もう、随分と歩いた気がする。
誰にも気づかれる前にいち早くこの国から出ていかなければ。
その思いだけでひたすら歩き続けた。
しかし激しい運動とは無縁の生活を送っていたミルファはお世辞にも体力があるとは言えず、途中で力尽きて崩れ落ちた。
着ている服が汚れる事を躊躇いもせず、その場に座り込んでしまう。
「どうして……? 私、何もしてないのに。悪いことなんてしてないのに……どうして……お父様、お母様、助けて……」
もうとっくに枯れたはずの涙がまた溢れてきた。
もはやそれを拭うこともせず、ただ深く絶望を映した虚な目で空を眺めている。
気づけばオレンジ色の太陽は地平線の彼方へ沈んでいき、間も無く夜を迎えようとしていた。
足が痛い。体が重い。お腹も空いた。喉も渇いた。
家に帰れば安息の地と温かい食事が待っているはずなのに、自分はそこから逃げるように歩いてきた。
家に、帰りたい。
でも私が帰ったら、みんなが不幸になる。
それだけは絶対に嫌だ。
しかしお金もなければ、着替える服もない。
生きていくために必要なものを何一つとして持ってくることができなかった。
今まで何一つ不自由のない生活を送ってきた彼女にとって、こう言う時にどのような行動をとったらいいのかを考える力も余裕も無かった。
このまま一生ここから動かずに、死んでしまうのを待つ。
そんな選択肢が彼女の中に生まれた。
もう私なんて生きていても仕方ないと、命を諦めかける。
「……うぅん、ダメ。それだけは、絶対にダメ」
首を横に振り、自らを鼓舞する。
両親にもらった大切な命を、こんな形で終わらせるわけには行かない。
そして何より、無実の罪でなんで私が死ななければならないのか。
そう自分に言い聞かせて、限界に近い体を叩き起こす。
これはきっと神様が私に与えた試練なんだ。
これを乗り越えれば、いつかきっと幸せを取り戻せるはず。
そう信じて涙を拭い、ゆっくりを歩き始めた。
同時に、彼女の中に小さな復讐心が芽生え始める。
私の事を一生愛すると誓ってくれた王太子シヴァンは、最後まで私の事を信じてくれなかった。
そんな男がいずれ治めるであろうこの国なんかにいてやるものか、と開き直り、彼に天罰が下る事を願いながら、ミルファは隣国を目指して進み続ける。
♢♢♢
「ーーよ」
声が、聞こえる。
聞いたことのない声だ。
「ーー目覚めよ、少女よ」
何というか、心の奥底に直接語り掛けられているような、不思議な感覚だ。
でも、無茶を言う。
既に自分の体は限界を迎えており、起き上がる気力なんてどこにもないと言うのに。
「……あれ?」
ここで少女ーーミルファは、己の体の違和感に気付いた。
しばらくの間飲まず食わずで歩き続け、満足に睡眠も取れない状態だったにも関わらず、不思議と体が軽いのだ。
良く見てみると体だけでなく服にも汚れや傷は一切なく、出発する前の貴族令嬢だったミルファ・ヴェンディアがそこに立っていた。
「……どうして?」
これは夢、なのだろうか。それともあの世?
周りを見渡してみると、彼女は今、透き通った海の中のような奇妙な空間の中心にいる事に気づく。
果ての見えない、幻想的な世界だ。
「私……死んじゃったの、かな」
「それは違う。もっとも、死の直前である事に間違いはないがな」
「ひっ!? だっ、誰ですかっ……?」
後ろから聞こえてきた声に反応して、慌てて振り返る。
するとそこには、ふさふさの真っ白な体毛を持つ大きな虎のような生き物が、ミルファを見下ろすように立っていた。
あまりの迫力を前に、ミルファは思わず尻餅をつく。
しかし不思議と痛みはなく、彼女の体を受け止めた床も硬いのか柔らかいのかよく分からない感触だった。
「ここは我が作り出した精神世界……次なる契約者が我の下に来る前に勝手に死を迎えようとしていたのでな。やや強引ながら精神だけ呼び出させてもらった」
「……へ? え?」
「まったく、いったい何があったと言うのか……ようやく見つけたかと思えばボロボロになって倒れているとは思わなかったぞ」
状況がちっとも理解できず、ミルファの頭は混乱する一方だ。
そんなミルファの様子を見て、巨大な獣は膝を折って正面からその鋭い視線を彼女にぶつける。
「そうだったな。まだお主は何も知らなかったか」
「え、は、はい……すみません……」
「良い。ではまず自己紹介から入ろうか」
ごくりと、息を呑む。
一呼吸おいて、獣はゆっくりと口を開いた。
「我が名は神獣アンキル。この王国では守護獣とも呼ばれている存在だ。覚えておくが良い」
「しゅ、守護獣、さま……?」
そう口にしたのは良いが、ミルファの思考は未だ追いついていない。
混乱する頭をゆっくりと静止していき、そしてようやく理解した。
「守護獣様っ!? ほっ、本物なんですか……?」
「うむ。お主が知っている守護獣と我は同じものだ」
「だっ、だとしたらどうして私の前に……? そう言えばさっき契約者とかなんとか……」
「そうだ、ミルファ・ヴェンディア。お主こそが次の我の契約者となる人間だ」
「えっ、そっそんな……どうして私が……?」
「落ち着け、ミルファよ。これは揺るぎない決定事項だ。この国に生きる人間の中で、我が次の契約者に最も相応しいと判断した人間のみが選ばれるのだ。光栄に思うがいい」
「そ、そうなんですか……」
ミルファの頭の中では様々な思考が入り混じってなかなか適切な言葉が出てこない
確かにこの国に生きる者の中で、守護獣とその契約者の事を知らない人間は恐らく誰一人としていない。
しかし誰もが自分とは縁のないことだと思って生きている。
勿論その姿を見た事があるものなどほとんどいない。
ミルファもまた、そのうちの一人だった。
「して、何故お主はあんなところで死にかけていたのだ。何があったのか、言ってみるがいい」
「は、はい……実は――」
そう言われて、ミルファは全てを吐き出した。
王太子シヴァンにされた仕打ちと、今の自分のどうしようもない状況。
全てに絶望しながらも、何とか救いを求めてさまよっていたことを、全て。
神獣アンキルは時折相槌を混ぜながら、最後まで聞き届けた。
そしてこう切り出す。
「なるほど、状況は理解した。ならばお主はどうしたい」
「……えっ?」
「知っての通り我の契約者となった者は国に留まり、我と共に国を守る結界を張る役目を負う事になる。故に王国の人間たちはお主が我の下に来ることを望んでいる訳だ」
「それは……」
「だがお主の今の状況、そう簡単に戻れるわけではあるまい。心境的にも、いろいろ思うところがあるだろう。故にどうしたいか、聞いているのだ」
そう言われて、ミルファは考える。
今の自分は、王太子暗殺の冤罪を背負わされて国を追放された身。
しかしそれと同時に王国にとって絶対に必要な守護獣の次の契約者でもある。
どうするのが、正しいのか。
「ちなみにだが、その王太子シヴァンは次なる契約者がお主と知って慌てて連れ戻そうとしているようだ。我の知る限り、他の者はお主が追放されたことすら知らないようだったぞ」
「……そう、ですか」
それを聞いた事で、ミルファの思考は一気に一つのゴール目掛けて走り出した。
変だと思っていたが、やはりあれは王太子がミルファを秘密裏に処理するためにでっち上げたものだったのだと。
それを理解した彼女は、震える口を開いてこう告げた。
「守護獣様。もし私が国を離れたいと言ったら、守護獣様はお許しくださいますか?」
「……ほう。つまり我と契約して国を守護する役目を放棄すると」
「はい。少なくともあの人――シヴァンが断罪されるまでは、戻りたくありません」
「なるほど。だが、お主の体は今死にかけていることを忘れるな。我と契約すれば命も助かるだろうが、もたもたしていれば手遅れになるぞ」
神獣アンキルは敢えて語気を強め、ミルファに圧をかけた。
彼女が自ら発した言葉に対する覚悟を問うためだ。
しかし彼女は、一切怯むことなく、先ほどまでとはまるで違う鋭い眼で言い放った。
「――それでも、構いません」
「……本気なのか」
「――はい。本気です」
本当は今すぐ戻って家族に会いたいけれど、そうしたら有耶無耶にされてしまう可能性も十分ある。
王太子は裏切りの真実を隠したままミルファを連れ戻したいようだけれど、誰の手も借りずにこっそり私を見つけ出すなんてできるわけがない。
だからたとえこのまま野垂れ死ぬことになろうとも、敢えてこのまま身を隠す道を選びたい。
ミルファは強い決意を以って神獣アンキルにそう告げた。
怒られるかもしれない。失望されるかもしれない。だけどそれでも――
ミルファは拳を強く握り、アンキルの言葉を待った。
だが、アンキルは彼女にかけていた圧を弱め、ふっと笑い出した。
「クク……気に入った。いいだろう、すぐに我と契約を結べ、ミルファよ」
「えっ……」
「案ずるな。すぐにお主を国へ引き戻したりはせぬ。我もお主の旅についていくと言っているのだ」
「ええっ!? そ、そんな事、してもいいんですか?」
「元より我があの国の守護獣となったのは、世話になった初代契約者への恩に報いるため。そして歴代の契約者が本気で国を護りたいと願い続けたからにすぎぬ。我が守護し始めてから既に千年の時が経ち、次なる契約者が国の守護を望まぬというのならば、我もこの地を離れる理由となろう」
ミルファには理屈が正しいか正しくないかを判断することが出来なかったが、アンキルが自分の言葉を好意的に捉えてくれたということだけは分かった。
そして次の瞬間、巨大なアンキルの体が一瞬にして縮んで、可愛らしいもふもふの獣の姿になったかと思えば、勢いよく飛びあがってミルファの肩へと乗った。
「現契約者を介して、しばし国を離れると伝えておこう。しかし我には今の人間界の歩き方を知らぬ。案内してくれるか、次代の契約者、ミルファよ」
「は、はいっ! その、私で良ければ!」
気が付けば白き精神世界は崩壊し、ミルファの姿は再び森の中へと引き戻されていた。
だが、母親譲りの金髪は白銀に染まり、少し身長が伸びたことに加え、肩には可愛らしい小さな獣が乗っている。
ボロボロだった服も綺麗に一新され、不思議と体の底から力が沸き上がってくる気がした。
「さあ、行こうぞ。ミルファよ。我に今の人間界を見せてくれ」
「――はいっ! 行きましょう!」
今ならどこまでもいける気がする。
嫌なことは一時的に忘れて、思うがままに旅をしてみよう。
それから先のことは、また後で考えればいいんだ。
こうして一人と一匹のあてのない旅が幕を開けた。
♢♢♢
「――ッッ!! な、なんと言うことでしょう……守護獣様がっ……!」
「どうした!? 何があったのだ!?」
「守護獣様が――新たな契約者と共に旅に出ると仰り、つい先ほどいなくなってしまわれました……」
「なんだとぉっ!! これはいったいどういうことなのだ! シヴァンよ!」
「え、えっと、ど、どういう事なのか私にもさっぱり……」
玉座の間を出ていこうとしたシヴァンに怒号が飛ぶ。
震えながら振り返ると、決して逃がさぬという強い圧を張り付けた父王の顔があった。
「――なんということでしょう。陛下、守護獣様によると次期契約者ミルファを追い出したのは他でもない、シヴァン殿下との事です」
「――なんだと? 詳しく話を聞かせてもらおうか、シヴァン」
「うっ、えっとそれは――」
守護獣の証言がある以上、言い逃れは出来ない。
観念したシヴァンは全ての事情を打ち明けることにした。
それを聞いたこの場の全ての人間の表情が凍り付いた。
そして――
「……国を救う守護獣の契約者をお前は国外に追放したのだ。王位継承権の剥奪のみならず、お前自身も同じ目に遭わせるのが相応しかろう」
「そっ、そんな……! 父上、私はただ彼女の愛を試しただけで……!」
「黙れ! 二度と余の前に姿を見せるな! さっさと連れていけ!」
「は、はいっ!!」
怒り狂った父王によって、シヴァンは強制的に退室させられた。
その後の彼がどのような末路を辿ることになるのかは、もはやミルファには関係のないことなのだ……
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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