春の縁結び相談所_3
「さて・・・」店主が見る鏡。それは依頼を受けた後で見ることでその後の依頼人の様子を見ることができる鏡だ。
――りゅうちゃん行ってらっしゃい!――
「行ってまいります!」元気に答える青年。名前をりゅうちゃんという。
ささやきにも似た声で答えるは名付けて、せおちゃん。とある神様からとった名前だ。
守護神様が依頼した主はこの人か・・・店主はつぶさに見る。
神様に愛でられし選ばれた人間。
滅多に出ることはないが・・・かなり大勢の神様の恩恵を受けてるなこの人・・・
店主は思う、運がいいのか悪いのか・・・と。
――ご褒美はちゃんと忘れないでね!そうここよここ!――
「ありがとう」
健気で確かな夫婦像がそこにはあった。
ある意味で人間にとって一番きついであろう道をあえて選ぶ人間と随順する神様。
まさに理想的というにふさわしい。
人間には酷だが恋人ができない魔法をかけてある。期間限定だが・・・
守護神様が与えられる課題をこなすまでは恋人ができない魔法だ。
まぁすぐ終わるだろうが・・・
東京から命からがら帰ってきたりゅうちゃんは確かに神様からの言葉を聞き取れるようになっていた。
――おかえりなさーい!――
「ただいま~」
今日も今日とて日はまわる。