エピローグ
中世ヨーロッパのX国。
無情に燃え盛る炎。数えきれない程の人。首を落とされ、炎に焼かれる。神を裏切った者、悪魔に取り憑かれた者、ましてや神になろうとした者が。拷問、審問、懺悔、審判、それらを全て終わらせた者が。処刑される。
生きとし生けるもの。全てに死はおとずれる。
未来に偉人となり得た者。歴史に名を残した化学や文学の勇者にも、全てに死は訪れる。
死の後は、天国、地獄、又は無。
一番重要なのは、死が訪れる前に何をしたかだ。
歴史に名が残った者は、人間、地球、神に恩を返した者だけでは無い。
歴史に名を残した者の中には、反吐が出るほどの愚図、下衆がいる。
では、歴史に名を残さなかった者はどうだ。
万物の全てを諦めた人間。病に侵され、死が訪れた者。何か、行動を起こす前に消失してしまった人間。
彼らとは全く別物の、歴史に名を残すはずが、処刑されてしまった人間も。歴史に名は残さない。
ある時、X国の一人処刑人は考えた。
「彼らはなぜ、死ぬべき運命であったのか」と。
彼もまた、歴史には残らない人間である。
だか、彼が、たった一人の処刑人が死に至るまでを、死が訪れる前に何をしたかを私は歴史に残したい。そう思ってしまったのだ。
XXXX年X月X日
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