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月夜に  作者: 六福亭
13/18

13 ツィラとアダーリとエルザ


 夕方になり、私は、アダーリとエルザが帰ってくるのを待ち構えていた。

 

 空の弁当箱を持ったアダーリが先に台所に入ってきて、奧さんに「ただいま」と言った。エルザもその後から入ってくる。


 奧さんが、立ち尽くす私の肩をとんと叩き、二人の娘に言った。

「ツィラから、話したいことがあるそうよ」

 アダーリ達は私をまじまじと見つめた。胸が緊張で痛い。けれど、私のそばには奧さんがいる。私達を見守ってくれている。

 

 私は、アダーリとエルザに言った。

「今まで、嫌なことばっかりしてごめんなさい」

 エルザが「え」と声をもらし、アダーリに小突かれていた。

「私、アダーリとエルザと仲良くしたい。二人とも私を心配してくれてるって、本当は分かってた。素直に認めたくなかっただけなの。……ごめんなさい」


 先に動いたのは、エルザだった。姉の手を引いて。私に歩み寄った。それから、両腕を広げて、私とアダーリを抱きしめた。


 エルザは、腕の中の私に言った。

「これ、あたし達流の仲直り。覚えてよね」

 私の手に、アダーリが自分の手を重ねた。目を合わせると、アダーリは大人っぽく微笑んでいた。

「わたしのことは、姉さんと呼んでくれていいわ」

 エルザも言った。

「あたしのことも、姉さんと呼んでいいのよ!」

「いや、あんたはツィラよりも年下でしょうよ」

 アダーリとエルザが小突き合う。私はそれを見て笑った。黙って見守っていた奧さんが、

「夕食の支度をしましょう」と促す。

「三人とも、手伝ってね」

「はい」

 私達は、素直にうなずいた。



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