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エセ陰陽師と猫又の不自由気ままな散歩旅~飼い猫から魂を分けてもらったので、二度目の人生はウチの子と異世界を謳歌してみせる~  作者: 虎柄トラ
第二章 ティタニアル大陸編 クラーク共和国

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第42話 国境町プレア

 検問所に隣接する国境町プレア。その名の通りクラーク共和国とアライア連邦国の境目にある町だ。


 事前に知識だけは仕入れていたが、冒険者の町(ソレイユ)の街並みとは真逆。レンガ造りの建物の方が希少で九割近くが木造だというのは本当だった。

 クラーク共和国の象徴であり領土の大多数を占めるフォルス大森林。その森を開拓する際に伐採した木材を利用しているらしい。


 この周辺には国境町以外には町も村もないし、アライア連邦国方面に向かうとなると、草原を一直線に伸びる道を延々に進むことになる。

 逆にクラーク共和国方面に向かうとなると、鬱蒼する森を進まなければならない。旅人が迷わないようにと、一応それなりに広めの道が用意されてはいるが、夜間に森に進入することは推奨されていない。


 また管轄はクラーク共和国が行っているようで、アライア連邦国はあくまで維持費の一部負担しているだけらしい。その中でも特に主だったものは、何でも屋の冒険者ギルドに関連する費用。条件はあるが基本的に依頼料は全て無料。魔物討伐から採取、お手伝いと条件さえクリアすれば、なんでもタダなのだ。


 冒険者の町に比べて防御面は薄いように感じた。検問所がその代わりをしているからなのか、見上げるような高い防壁もなく、門は常時開いたままで門番の姿も見えない。


 四方に検問所を用意するわけにもいかないだろうし、この東口以外の場所は一体どうなっているのだろうか。騎士が町中を巡回しているから安全というわけでもないだろうし……。


 住民から全幅の信頼を置かれていると言えば、聞こえがいいかもしれないが、自宅から一歩外に出れば皆から憧れの目を向けられる。常に聖人として振舞わなければならないとか、僕には一生をかけてもできそうにない。


 ふわっとした感想を述べつつ僕はキョロキョロを見回しながら町を歩いた。


 目的の宿屋自体はすぐ見つけることができた。いつまでこの町に滞在するかは分からないが、とりあえず一週間分をとっておくことにした。


 無事部屋を確保したあと僕は、時間潰し兼情報収集がてら町を散策することにした。


 国境町ということもあって、アライア連邦国で流通している品々が多数販売されていた。値段は国境価格なのか、冒険者の町よりも二、三割ほど高かった。その代わりアライア連邦国であまり見かけないような特産品は値段を抑えて販売されていた。


 綺麗な木目の入った木刀はお土産感覚で買いそうになった。はじめて手にしたはずなのに、長年使っていたかのように手に馴染む。あまりの馴染みっぷりに店主に断って、ついつい素振りまでしてしまった。

 木刀があるということは、その元となった日本刀も必ずあるはずだ。割高とはいえ模造刀どころか土産店に売っている木刀が金貨五枚。値札を見たおかげで正気に戻れたわけだが……。


 護符以外の攻撃手段として木刀も案外悪くはない気がしたが、命を預ける獲物としては少々心もとない気がする。木刀一本ですらあの値段、真剣本物の日本刀ともなると値段は予想すらできない。

 しかも、店主が言うには、そもそもその日本刀自体がほぼ流通していないらしい。この世界で唯一鎖国をしている国、エーレ王国が生産国だからだ。


 元の世界でも希少性が高く観賞用としても重宝されていた日本刀。


 エーレ王国は日本ではないため、正確にはエーレ刀と呼ぶべきか。流通すらしてないとなると、この大陸に現存するエーレ刀は全てプレミアム価格がついて跳ね上がっているはずだ。


 海を渡りエーレ王国に行くことができれば、まだ定価で購入できるかもしれないが、現実的にそれは不可能に近い。なら、いま僕にできることがあるとすれば、エーレ刀貯金をすることぐらいか。


 まあ今すぐに欲しいというよりも、将来の夢というかせっかく陰陽師っぽい服も着ていることだし、日本人たるもの一度ぐらいは日本刀を腰に携えてみたい、そんな感じだ。


 冒険者ギルドの国境町支部にも立ち寄った。つくりは冒険者の町とあまり大差なかった。木造二階建て、一階は食堂兼受付で二階は応接室やギルドマスターの部屋。二階への階段も鎖で封鎖されていたりと、本当にそっくりだった。


 事前に騎士が連絡してくれていたらしく、バジリスクを討伐したことによる報酬として白金貨二枚を受け取った。

 またその時に受付嬢が教えてくれたのだが、バジリスクは他の魔物とは異なり、討伐証明として部位の回収は基本的に禁止されている。このトカゲの証明部位は右小指のかぎ爪なのだが、剝ぎ取り時に血液が付着する可能性があるためらしい。なら、証明部位を変更すればいいのではと、素人の僕としては思うのだけど、規定によりそれもできないようで現在は討伐証明者による確認のみとなっている。


 そもそもあのトカゲをソロで倒す人はいないとまで断言された。必ずと言っていいほど高ランクの誰かが同行者として付き添うのが一般的であり、受付嬢も久々にその理由を口にしたらしい。


 立ち寄ったついでにギルドマスターに挨拶をしようと思ったが、ちょうど席を外しているようで会うことはできなかった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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