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エセ陰陽師と猫又の不自由気ままな散歩旅~飼い猫から魂を分けてもらったので、二度目の人生はウチの子と異世界を謳歌してみせる~  作者: 虎柄トラ
第一章 ティタニアル大陸編 アライア連邦国

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第24話  あんたはここで待ってなさい

 ワイバーンがいるという丘は、冒険者の町(ソレイユ)から北の方角に位置している。北門を抜けてメトゥス帝国へと続く石で舗装された道路に沿って、三時間ほど歩くとたどり着けるらしい。元々その丘はワイバーンの縄張りではなくて、それどころか魔物もほとんど出現しない土地だった。

 そこにワイバーンが住処として居座るようになったのは、今から二日ほど前のことだ。ワイバーンはメトゥス帝国にある山岳地帯を住処としている。

 ワイバーンが国境を越えて南下してくることなんて、百年に一度あるかないかというレベルの稀有な出来事であった。しかも、そういった場合は必ず数十体規模の大群で南下してくるのだが、今回はたったの一体のみだった。


 はぐれワイバーンが一体だからこそ、その討伐依頼が僕に割り振られただけのことで、本来であれば昇格用の依頼どころではなくて、冒険者が協力し合って立ち向かわないといけないほどの脅威らしい。

 ワイバーンはゴールドランクの魔物であり、竜種の中でも最弱だと言われているが、矢を弾き刃も通さない強固な鱗、鎧を紙のように切り裂く爪と牙。さらに上空から強襲しては安全圏に飛び去るという、冒険者泣かせの一撃離脱の攻撃もしてくる。

 脅威であり厄介な魔物は数多くいるらしいが、その中でも竜種は圧倒的に討伐が面倒くさい部類に入る。その一方で竜種は素材としての価値も高く、倒すのは面倒だがお金になるということで、多少ながらも冒険者には人気の魔物だったりもする。


 またワイバーンの討伐方法についても移動中にガレスから教わったのだが……僕にはその方法は無理そうだ、できそうにもなかった。

 ギースが教えてくれたように、確かに彼女は火属性の魔法の使い手ではあった。だけど、その戦い方がまったくもって参考にならなかった。彼女の戦闘スタイルは僕のように火を直接放って戦う魔法使いのような後衛タイプじゃなくて、火を大剣に纏わせて戦う戦士のような前衛タイプだった。


 急降下してきたワイバーンをその大剣でバッサリやったらしい。いや無理だろ、刃を通さない鱗って、僕は説明を受けたはずなんだけど、その鱗をバッサリの時点でもう矛盾的なあれじゃないか……。


 そんな風に思っていた時期が僕にもありました……。




 町を出てから二時間近くが経過した頃だった。


 右手側に岩石があった、ただどう見てもそれがそこにあるのが不自然に思えた。道路から数百メートルほど離れた芝生が広がる平地に、誰かがそこに意図的に置いたかのようだった。そこにはその岩石が一つあるのみで、他に目ぼしいものもない。巨大な足跡が遠方から続いていたが、その足跡は一方通行であり戻った形跡はなかった。


 僕が岩石についてガレスに質問するよりも早く、彼女は背にした大剣の柄を握り締めて臨戦態勢に入っていた。まだかなり距離が離れているにもかかわらず、彼女はその石から目を離そうとはしなかった。冒険者である彼女が警戒するということは、あれは魔物なのだろう。岩石を模した魔物といえば……代表的なものはゴーレムあたりが思い浮かぶ。


「メグル、あんたはここで待ってなさい。私一人で倒してくるわ」


「あ~やっぱりあれって魔物だった?」


「そうよ、あれはゴーレム。だけど、あのゴーレムはいつもと様子が違うわ」


「どういうことだ?」


「ゴーレムはそもそもこんな場所にはいないのよ。採掘場とか岩場にいることが多いのよね。それに、あんな岩に擬態するようなことはしないわ。人型で歩き回っているのが普通なのよ」


 ガレスの話を聞く限り、あのゴーレムは特殊個体とか亜種に分類される魔物だろう。

 ゴーレムの定番の倒し方となれば、なんか頭部の文字を削るとか核を破壊したりとかだったはずだ。さて、この世界でのゴーレムは一体どうやって倒すんだろう。


 あれ……討伐対象以外の魔物って勝手に倒していいんだっけ?


「へえ~そうなのか。というか、依頼を受けていないのに勝手に討伐していいのか? ゴブリンの時に僕にそんな感じのこと言わなかったっけ?」


「確かにそう言ったけど、今回はそれに該当しないわ。あの規約は実力不足の冒険者が命落とさないために制定したもので、プラチナランク以上は状況に応じて討伐可能になっているのよ」


「ガレス……それ僕に説明してなかったよね。まあいいけどさ、それで僕はここで見ているだけでいいのか? 本当に何も手伝わなくても大丈夫なのか?」


「あんたがプラチナランクになった時にでも別途説明する予定だったのよ。あと、あんたを無事に目的地まで送り届けるのも、私の仕事。だから、あんたはそこで大人しくしてなさい。分かった?」


「でも、さすがにそれは過保護過ぎない?」


「シルバーランクがプラチナランクに口答えするなんて、いいご身分ね? リン、メグルを見張っておいてね。それじゃ行ってくるわ!」


 ガレスはそう言い放つと、ゴーレムに向かって駆けだしていった。


 ゴゴゴと重々しい音と地響きが距離が離れているにもかかわらず、振動を通じて足裏から全身に伝わっていく。擬態をやめて戦闘態勢に入ったゴーレムは、全高五メートルほどの無骨な石の人形に変化した。ゴーレムは一直線に走って近づいてくるガレスに向けて、拳を振りかぶり迎撃する気満々のようだ。


 ガレスはその勢いをそのままにゴーレムの拳が届かないギリギリの位置で、大地を蹴って飛び上がった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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