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エセ陰陽師と猫又の不自由気ままな散歩旅~飼い猫から魂を分けてもらったので、二度目の人生はウチの子と異世界を謳歌してみせる~  作者: 虎柄トラ
第一章 ティタニアル大陸編 アライア連邦国

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第21話 私も呼ばれたからに決まってんじゃん

 僕が冒険者となってから気づけば早三週間が経過していた。


 その期間で変化あったのは主に二つで、まず一つがリンが看板猫をクビになったことで、良くも悪くも僕と一緒にいてくれるようになった。もう一つはあの時の大行列によって思った以上に利益を得たらしく、トニアさんから一か月間タダで泊っていいという破格の許可を得た。それどころか食事までも無料だ。回数制限があるとかでもなく、営業時間内であれば好きなタイミングで、好きなだけ食べることができる。


 どちらも猫泊亭というか主にリンに関係するものばかりで、僕は相も変わらず冒険者として毎日依頼をこなす日々を続けていた。それでもリンが付き添ってくれるので、毎日楽しく過ごせている。

 ただ時々、リンはガレスの話し相手にとしてギルドに残ることがあった。寂しいという感情を抱く時もあったが、それ以上にリンたちが仲良さそうに談笑しているのを見れて嬉しかった。

 精神安定剤がとか言ってた昔の自分が懐かしい、僕も少しはあの頃に比べて成長できているようだ。


 で、今日も僕は日課の依頼を受けるためギルドに向かっていた。討伐にしろ、採取にしろ基本的に僕は一日二つの依頼を受けるようにしている。近場であったりすぐに達成できそうな依頼を優先して選べば、時間もそれほどかからないし効率もいい。

 他の冒険者は腕試しだとかで高難易度の依頼を選んでいたりするけど、僕は身の丈以上のことはしない。安全安心のリスクの少ない依頼を淡々とこなすのがちょうどいい。どんな仕事であれ命あっての物種、死んでしまっては元も子もない。


 今日もそんな感じで危険性の少ない依頼を受けるはずだった……。


 ギルドに到着して扉を押し開けると、待ってましたと言わんばかりに受付嬢が目の前に立っていた。

 一日も欠かさずに冒険者ギルドに来ているけど、こんな出迎え方をされたことは一度もない。とてつもなく嫌な予感がする。それにいつもいるはずのガレスの姿が見えないのも気になる。


「メグル様、おはようございます。早速で申し訳ないのですが、ギルドマスターの部屋にお越しいただけますでしょうか?」


「おはようございます……あの、僕何かやらかしました?」


「お答えできかねます。では、ご案内いたしますのでついて来ていただけますでしょうか?」


「あ~はい。分かりました……」


 僕は歩くたびに振り子のように揺れる三つ編みを呆然と眺めつつ、彼女のあとについて行った。あの一定間隔に揺れる髪を見て、少しでも気を紛らわせておかないとメンタルが保てそうになかった。

 呼び出された理由は何となく察してはいる。あの約束を実行する日がついに訪れたのだろう。


 ギースからの依頼は断ってはいけない……どんな依頼であれ必ず受けなければならない。


 いつかこの日が来るとは分かってはいたが、まだ一か月経ってないじゃないか……せめてトライアル的な感じで最低でも三か月は待ってほしかった。


 本当にもう緊張で口から心臓が飛び出そうだ……。


 三つ編み受付嬢は僕を部屋前まで案内すると、すぐに本来の仕事をしに戻っていった。前回はガレスが扉を開けて中に入るように勧めてくれたけど、今回はまさかの放置プレイ。


 この先は僕一人でやれってことなのか……。


 ノックしたりとかの作法は前の世界と基本的に同じ。多少違いがあったとしても、その時はガレスの動きを真似すれば、それなりには誤魔化せるはずだ。


 いざ覚悟を決めてノックしようとした時、内側から勝手に扉が開いた。


「よく来てくれた、メグル君リン君も。さあソファーに座りたまえ」


「……はい、お邪魔します」


 ギルドマスターであるギース自ら、僕たちを迎え入れてくれた。歓迎してくれているのは伝わるけど、なんか前に会った時よりもわざとらしく聞こえた。これから面倒ごとをおまえに振るぞという気配を感じる。

 ここまで来た以上何も聞かずに帰ることはできないし、そもそも拒否する権利すらない。僕があとできることは簡単な依頼であることを祈るだけだ。


 ギースは扉を閉めて施錠をした。前にもこんなことがあった、あの時はさらに扉前にガレスが陣取っていた。ここに呼ばれるたびに毎回、鍵を閉められている気がする。


 ふとソファーに視線を向けると、そこにはもう先客が座っていた。見覚えしかないその先客に僕は驚愕した。


「えっなんでガレスがいるんだ?」


「なんでって、私も呼ばれたからに決まってんじゃん! それよりもメグルさっさと座れば?」


 そこにいたのはガレスだった。ただいつもの受付嬢スタイルではなくて、制服の上に胸部と腕部、脚部それぞれに銀色に輝く金属製の防具を身につけていた。ただその防具よりも目が引くものがあった。彼女の背後にソファーの横幅を測るように巨大な剣が転がっていた。

 前に来た時はこんなもの置いてなかった。まさかとは思うけど、ガレスの服装のことも考慮すると……やはりあれは彼女の得物ということなのだろうか。


 あとガレスって、こんなタメ口全開のキャラだったっけ……?

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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