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第76話「紋章持ちと令息達の思惑」

 紋章持ちの発表からブルジェナ嬢の周辺が騒がしくなった。

 最初は数名の男子学生だった。

 昼休みの食堂。

 俺は姉御と対面で飯を食っていた。後ろのテーブルにパトリシア嬢とブルジェナ嬢が座ってる。

「ブルジェナ・サンチ嬢。放課後、我々とお茶しませんか?」

「はっ!?」

 食事してる最中に、集るみたいに囲まれていた。

 一緒にいたパトリシア嬢もびっくりしている。が、彼らはピンクちゃんにはお構い無し。

「ごめんなさい。午後とか、お友達と先約がありますから!」

「土日はどうですか? 授業もないですし」

「そうです、そうです」

 食い下がる男子達。

「いっ、いえ。あのー。そのー」

 食べかけのままトレーを持って返却口へ。

 トレーを返すと、食堂を飛び出していった。

「大丈夫かしら?」

 ジェル姉が心配そうに彼女を見送った。

 全然大丈夫でなかった。

 食堂ナンパ事件を皮切りに、ブルジェナ嬢はやたらと上級生からデートの誘いを受けるようになる。

 全ての先輩男子から誘われているわけではない。

 "風"属性と"無"属性の連中だ。それも貴族の令息と平民の金持ちのボンボンばかり。

 ブルジェナ嬢の属性は"風"。それに"火"の紋章を持った"元素精霊の淑女"になった事で"火"属性も付与されている。

 属性因子で反発してしまう"地"と"水"でなければ、彼女との間に出来た子供は、"風"もしくは"火"になる。

 特に"火"属性は貴重だ。

 その昔、イクシリア王国が建国される前。魔法を持った者達が群雄割拠していた。小さな国の王だったり、豪族だったり。幾度となく小さな戦争や小競り合いはあちこちで行われていた。

 今のイシュリール王家の先祖が、女神アレスから元素魔法系でも"無"属性でもない通称"聖"属性魔法を与えられ、各地の王族や豪族を討伐していった。

 早い段階で イシュリール王家の軍門に下らなかった小国の王族や豪族は滅ぼされていった。

 我がクライン家は、早いうちに家来になったから、今では公爵様してたりする。ご先祖様、ありがとう。貴方の判断は正しかった。

 で、"火"属性は四元素魔法の中でも破壊力と殺傷力が高い。故に、"火"属性の権力者は抵抗し続けた。が、王族の究極奥義は"魔力無効化"。これを行われたら魔法使いもただの人。物理攻撃仕掛けられたら、物量が勝つ。

 そういうわけで、"火"属性魔法保持者は少ない。

 もしブルジェナ嬢と結婚して、男の子が産まれその子が"火"属性なら、子孫には"火"属性が定着する。

 "火"属性の貴族は少ない。王室も"火"属性の家来を欲しがっている。

 爵位を貰えるか、階級上がる可能性がある。

 両者願ったり叶ったりだろう。

 同級生男子にも、ナンパ目的でブルジェナ嬢に話かけてた奴もいたが、隣にいたジェル姉が睨みを効かせて追っ払った。

 同級生女子からも顰蹙買いかけていた。

 何故なら、同級生達の認識は「ブルジェナ嬢はヴォルフ・チェインバー卿の彼女」だから。

 ナンパ君は、「先輩に頼まれて」と言い訳していた。が、何故か納得されてた。実際、士官学校系の奴が、先輩から取り成し頼まれていたから。

「一国の姫に相当する価値を持つ」

 今のおひぃさんは、王配を必要とするお姫様状態だった。

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