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第60話「瘴気の墓場」前編

 九月末。

 二年と三年の男子が、湖の森へ野営に出掛けた午後。

 昼食中。学園内にいる魔力値二百五十以上の全生徒が呼ばれた。食後、戦闘服を着て大教室に急遽集合とのこと。

 本格的に剣の授業か乗馬の訓練受ける時くらいにしか戦闘服の出番はない。今回、戦闘服着て待機って余程の事なのだろう。

 校舎一階の大教室にいるのは八十名あまり。男子学生が一年以外いないので女子ばかり。

 副学長が教卓の前に立つ。

「南の町南西にある共同墓地で瘴気が発生した。昨日から墓参りに行った一般人家族が帰宅していない。君達の任務は、行方不明者の探索と瘴気の種を見つける事」

 地魔法の女先生に代わる。

「選抜チーム作りました。元素魔法系と無属性系の人。呼ばれた人は、前に出てきて下さい」

 四大元素属性が、四種五チームと控え四種三チーム。無属性が、治癒系六人、生物操作系三人、その他一人。あと光属性のパトリシア嬢。

 呼ばれて頭抱えてる奴もいれば、呼ばれなくて残念がってる奴もいる。

 俺や知り合いが割りとメンバーにいた。

 保管場所に置いてある剣を取り、ベルトに装着する。金属だから重い。

 チーム分けして、学園が用意した幌馬車に乗せられる。

 俺のいた馬車には、ブルジェナ嬢、二年の水先輩、三年の火属性ランカ先輩。似非姫のキャロリン嬢、ヴォルフ、三年の水先輩、一年の火属性魔法剣士。

 墓地の地図を回し見してる間、同じチームのランカ先輩に俺は質問する。

「事前に知ってましたけど、こういう事、在学中にしょっちゅうあるんすか?」

「稀にね。瘴気の森とかの瘴気発生源から鳥とか野生の動物が、瘴気の種を外に持ち出して、お城跡の廃墟とか人気がない場所で発芽して、瘴気エリアが出来ちゃうの。瘴気元潰しに行く事は、過去一度参加したことあるわよ」と、ランカ先輩。

 瘴気の森。学園北西部にある大きい森だ。森の奥に、瘴気を放つ小さな遺跡があるらしい。

 定期的に沢山瘴気を放ったり、瘴気が少なくなったりを繰り返しているという。

 瘴気は、遺跡を伝い冥界から流れ出て来るのだとか。

 入学時、「瘴気の森に肝試しに行くな!」と、釘を刺されるのが一年生の定番行事だったりする。今の所、一年で肝試しに行った馬鹿はいない。

 三年生の実地訓練では、瘴気の森に入る。瘴気を吸わない様に装備を揃えて挑むそうだ。それでも、毎年何人かが瘴気にあてられ、学園外の医療機関に運ばれるとも……。

「国の兵隊とかだめだったんですか?」

「普通の兵隊さんだと、瘴気耐性がね。今回、神職者と魔法剣士系の人数揃えられなかったんじゃないかな。魔力値が高ければ瘴気耐性も高いから。近くに、魔法が使えて、瘴気耐性が高い人間って学園にしかいっぱいいないでしょ」

「しかし、女子率高くて大丈夫ですか? 男子学生呼び戻す方がええんちゃうかと」

「時間が無いんだと思う。行方不明者もいるし。早く瘴気元を潰さないと、墓地が冥界と繋がる可能性があるから。最悪そうなったら、強い魔法剣士だけでなく、紋章持ちの人達にも召集かかるんだろうけど」

「学園側も、学生らで十分って踏んでるからこその俺ら?」

「選抜されたって事は、将来有望って事でしょ! 胸張りましょうよ!」

 ランカ先輩は自分の胸をパシッと叩く。

「でもやっぱり怖いですよ」

 二年の水先輩が弱音を吐いた。

「対外的な戦争するなら士官学校の連中でいいのよ。なんで王国が、わざわざ女子も含めて学園なんてもの存在させてるのか考えた事ある? 女神アレスと敵対してる冥界の勢力と戦う為よ」

「そんな事考えてませんでした」

「あんたねぇ!」と、ランカ先輩が二年の先輩に説教垂れだした辺りで、俺に地図が回ってきた。

 東側を入り口にして西に長い。

 南側は古いエリア。北側が新しいエリアだ。

 中央に古い墓守り小屋と祠。

 略地図だからか、墓石墓石墓石。

 南側の真ん中へんに妙な丸い広場がある。

 なんでここに墓石建てへんの?

 そんなこんなしてる間に、馬車は目的地の墓地に着いたのだった。

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